またまた行って来ました、お隣マレーシアへ!
狙いはもちろんトーマン。タイのシャドーとはまた違った魅力があふれる東南アジア屈指のルアー釣り対象魚。

スワンナプーム空港、離陸直後。養殖池がいっぱい。
バラ釣堀もこのあたりに多い。

タイ湾に出たと思うとすぐに見えたのが、シーチャン島。
昔の釣りVCDには、この島を舞台にした景気のいい映像がいっぱいあるけど現在はどうなんだろう・・・?

次に見えてきたのはパタヤ沖、ラン島。

さらにその沖の島々。このあたりまで船で出れば釣れそう・・・だけど実際はどうだろう?どうも現在のタイ湾ってあんまり釣れる気がしない。単なる食わず嫌いだろうか?

で、いっきに湖畔のリゾートの部屋。
便利な世の中になったもんである。飛行機とレンタカーでこんなに簡単に、外国の一級ポイントへ行けるのだから。
ちなみにこの部屋93リンギ。ちょうど10かけの930バーツくらいでけっこう高いのだが、今回は奮発してきれいな方のリゾートに泊まった。
雨に濡れた釣行後の水シャワーを避けたかったのはたしかだけど、今回こっちのリゾートに泊まったのはもうひとつ理由があった。
ここのリゾートにはジャングルにテント泊する2デイズ釣りツアーが企画されているからだ。
予定では明日とあさってはこのジャングルツアーを仕立てて、今日は午後の4時間くらいをリゾート周辺で釣ろうと思っていた。
受付のムスリム少女(といってもいいあどけなさ)に夕方のボート手配を頼むと「午後2時になったらボートマンが部屋まで迎えに行くから休んでてください」と言ったので、ボクは言われたとおり少しベッドに横になって休むことにした。
あぁ、さすが高級リゾート、ふかふかベッドが気持ちいい。すぐにまどろむボク。
しばらく後、ふと目が覚め、時計を見ると3時、あぁさすが東南アジアはどこでも一緒だなぁ、まぁこんなもんだろ、あまりの心地よさにもう少し眠りたかったボクはボートマンの少々の遅刻など気にせず眠り続けた。
もう一度目が覚めるとすでに4時を過ぎている!
さすがに飛び起き、受付に行くとムスリム少女もカウンターに突っ伏しまどろんでいた。あぁさすが東南アジア。
しかもとどめはここにきて「今日は空いているボートマンがいないので出船できない」と言う。
やっぱりマレー人もタイ人と同じ東南アジア人だったのだ。ASEAN万歳、東アジアの常識が通じると思っていたボクが甘かった。
結局、前回、前々回と使ったムハンマドのボートをあてに、5分ほど車を飛ばし別リゾートの桟橋へ。

そしてヤツは前回と同じようにそこに居てくれた。
またまた会ったなムハンマド!
今日もまたあんまり時間ないけど、よろしく頼むぜ。

いつものようにワンドの奥の奥へ。シャドー釣りでは考えられないほどの最奥部へボートをくいこませるムハンマド。
しかし呼吸なし、バイトなし、なんにもなしで1時間が過ぎた。
さっき湖に到着して水位を見たとき、今回は厳しそう・・・と思ったのが、まさにあたってしまいそうだった。急な増水、やはりこれは厳しい。
ムハンマドもとまどっているのが、その様子からみてとれた。魚の居場所がいまいち分からなくなっている。
しかしローカルの「経験」に勝るものはない。たまにやってくる遠征者の机上の推理などにまどわされてペースを乱すことはないよ。すべてまかせる。その豊富な実体験を元に少しづつでいいから魚の居場所をつきとめてくれ。そしてその魚をボクはミスることなく確実に釣り上げるから。
これが海外遠征の操船者付きボート釣りでとにかく魚を得る、もっとも確かな方法であることをボクは実体験で知っている。
いくつかワンドをまわるが依然ノーバイト、ノー呼吸・・・。
しかしルアー交換などしない。11センチのミノーを9センチに変えたら食ってくる?
ただ巻きにトゥイッチを交えたらいきなりドカン?
そんな釣りじゃない。そんな魚じゃない。そんな環境でもない。
魚の前にルアーを通せれば必ず食ってくる。気にするのは潜行深度とトレースライン、それだけだ。
・・・・といった威勢のよさも、あまりの無反応さにだんだん身を潜めてくる。
やっぱ生ナマズ、用意しとくべきだったなぁ・・・。
とその時
「ベイビー!」
ムハンマドが叫んだ。
稚魚ボールだ。
とはいえボクにはその存在がなかなか確認できなかった。その色はいつも見ているシャドーのそれよりピンクがかり、また生まれて間もない小さい稚魚にしては群れの間隔が広く、「ボール」という感じではなく「群れ」という雰囲気でピチャピチャとはねていた。
当然投げる。見つけた魚は確実に釣り上げる!
そういえばマレーシアで稚魚ボールにキャストするのはこれが初めてかも?
2投目でいきなりきた。

使用レンズ38mm相当、突き出し幅約55cm、釣り人の身長171cm
しかしこのサイズでもフッキング直後から重く、強く走る。
確信!トーマンってシャドーより引き強いよ!

と、ここで突然、今朝出発前に町で買った折りたたみ式ランディングネットの画像。
前回ネットなしで痛い目にあっているからね。
「備えあれば憂いなし」ってワケ。
ところが
同じく今朝買ったマレーの釣り雑誌にはこんな記事が・・・。

なんとトーマン・ハンドランディングの連続写真!

そしてこのトーマン・ハンドランディングをこの国では(華人の間だけ?)「空手道」と呼ぶ!!!
さきほどの「使用レンズ38mm相当、突き出し幅約55cm、釣り人の身長171cm」の魚をボート際まで寄せ、さぁランディング、というところでボクは迷った。
ムハンマドは完全に「空手道」の実技を披露する気だ。ムムッ、見たいぞ!
しかし前回かなりの良型をハンドランディングミスで逃がしてしまっているのも事実だ。せっかく買ってきたネット、使うべきか否か・・・・。ムムムムッ!
と、ひとり脳内で葛藤しているボクを尻目にムハンマドはぐぐっとラインをつかむ。
「ちょっと待って!」
そこでボクが取り出したのはネットではなくカメラだった。

秘技「空手道」の瞬間画像。
しかも上から鷲づかみである・・・。
この魚、3キロ近いよ、計ってないけど。
それをまさか上からいくとは。
オヌシ、やりおるのぉ〜!
いや〜しかし海外釣行ってやっぱり楽しい!その土地土地に伝わる伝統漁法(?)が目の前で見れる。
それにしても「空手道」、修行を積めばぼくにも習得できる日が来るのだろうか?
まぁ人の魚じゃできないだろうなぁ、ミスるのが怖くて・・・。
トーマン道 その弐につづく

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