「追憶・2002年「奥様女中」初めてのイタリア公演」
思い出
1996年1月に東京オペラグループ旗揚げとして公演した「奥様女中」。その後、色々な試みを続け、様々なキャスティングで公演を重ねていくこととなりました。この写真は、2002年7月6日、イタリアのフェラーラ近郊、ポッジョ・レナーティコにて、私、小鉄和広がはじめて「奥様女中」をイタリア公演した際のものです。セルピーナは、藤原歌劇団の高橋薫子さん。ヴェスポーネはステファノ・ヴィーゴ。小さな城の中庭、雨上がりの夜風の中、夢心地の本番でした。「俺は今、イタリアでイタリア語で喜劇オペラを歌ってお客さんに笑ってもらっているんだなあ!」と思ったのを覚えています。布施明にそっくりの町の文化担当の人、元気かなあ、お世話になりました。演出は我が友人、ロベルト・サンティー二。指揮はニコラ・グエリーニという美男子だったっけ。
そしてこちらの写真はその2日後、2002年7月8日にヴェローナ音楽院の中庭での公演。この時は開演定刻に観客が6人(!)しかいなくて凹んでいたら、30分押し(イタリアでは珍しくない)には立ち見まで出る超満員。ヴェローナの、地元の人中心の割と重い雰囲気の客席にビビリながら、必死で歌い終えた、という感じ。公演後に、イタリアの若者達が目をハートマークにして薫子さんの楽屋に群がってきたのは、よく覚えている。この写真は公演翌日の新聞にデカデカと掲載され、「やるじゃないの日本」みたいな見出しが大きく出て、隣のページの、ヴェロ−ナ野外劇場初日公演の記事に劣らない扱いだったのが切なくなるほど誇らしかったなあ・・。
・・・あれからもさらに公演を続け、そして2008年12月22日の「奥様女中」を迎えるわけです。これからも、いろいろな人たちと共演を重ねつつ、常に進化し続ける作品としていきます。どうぞよろしくお願いします!