経済困窮で治療中断
県内医師ら4割強回答
県保険医協会が県内の医師と歯科医師に対し行ったアンケートで、44%が
「患者の経済的理由で治療がストップした事例があった」と回答した。
後期高齢者(75歳以上)の窓口負担を1割から2割に値上げする議論が進む中、負担が上がった場合、医師・歯科医師とも7割強が
「受診抑制につながる」と回答した。
窓口負担引き上げに懸念
調査は昨年12月からことし2月にかけ、協会会員である医師1,891人、歯科医師2,099人を対象に実施。
うち医師247人(13%)、
歯科医師257人(12%)の計504人から回答を得た。
「この半年間、主に経済的理由と思われる治療中断事例があったか」との質問に、
医師の35.8%、歯科医師の50.2%が
「あった」と回答。
さらに医師の49.4%、歯科医師の37%が
「医療費負担を理由に検査や投薬を断られた」
と回答した。
医師の46.6%、歯科医師の35.8%は
「医療費の未収金がある」という。
救急搬送患者の未収金を補てんする制度がある県によると、昨年度の補てん件数は日本人38件(201万円)、外国人3件(59万円)。
県医療整備課によると
「救急搬送以外の未収金はわからない。
これらは氷山の一角ではないか」としている。
また、社会保障費の抑制に向け、国が検討する後期高齢者の窓口負担引き上げについては、1割から2割に増加した場合、医師の66.4%、歯科医師の68.5%が
「受診抑制につながる」と回答した。
理由については
「収入が年金のみの高齢者は医療費を払えなくなる」
「重症化するまで受診に来ず(結果的に)医療費が増えるのでは」
との声があった一方、
「将来(の社会保障)を考えると必要不可欠」
とする意見もあった。
(2016年7月18日 千葉日報紙より)
窓口負担をあげれば、受診抑制が増える。
それは確かにそうですが、
中央でできる制度設計はこの程度が限度だとも思います。
前々から言われているような
一人1カルテで、どこの医療機関にかかっても受診歴を確認できるようになれば
同じ病気でドクターショッピングをしている患者の負担割合だけを上げたり、
自宅に残っているはずの薬を差し引いて処方したり、
重複処方も避けることが出来ると思います。
もう一つ。
医師が提案している検査や薬の中に、無駄が潜んでいないとは言えません。
ここをなんとかチェックできる方法がないものだろうか、と思うんです。
国保の場合は、保険者が審査会を開いて、
これは保険から払えないとなればその分の医療費は医療機関が負担する仕組みになっていますが、
不適切な(保険から支払えない)医療を受けた患者へのバックは、ありませんよね。
つまり、1割、ないし3割は回収できてしまっている。
ここをどうするのか、です。
仮に、「あなたの受けたこの医療は、保険からの支払いが不適切な医療と認められました」
といった通知が患者のところに届いて
その窓口で支払った分を患者は医療機関に返してもらうことが出来る。
そんな仕組みも必要ではないでしょうか。
さらにもう一つ。
他の業界では、お金を払う側が自分のお財布と相談しながら品物を買ったり、サービスを受けたりします。
そういう視点から見れば、収入の少ない人がそれなりの検査や医療を受けることが出来るようなサービスはあってしかるべきだと思います。
介護にケアマネージャーがいて相談しながらサービスを決めるように
医療にもキュアマネージャーがいてお財布の中でどんな医療を受けたらよいか、相談できたらいいのにと思います。
そうやって考えていくと、「受診抑制」の中には「賢い受診のしかた」も含まれているのかもしれません。

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