さて、IUGGの簡単な報告。
とりあえず、いろいろな写真

高台から見ると屋根がいかにもヨーロッパ

天文時計

Kaeさんと飲んだレモネード
で、
興味深かった発表について、ポイントのみ
■Bruce Raup
Extending the GLIMS Glacier Database to global completeness and new data types
彼はGLIMSの氷河インベントリの集約を一手に引き受けており、GLIMSに入ってきた様々な質のデータにGLIMSのIDを付ける仕事をしている。この際に、彼はParent-child relationshipと言っていたが、特に氷帽に近い形の氷河は、末端によって分割されたり、分割されないないこともあり、氷河の数が「人為的に」増えたり減ったりする問題がある。と言っていた。
■C. Kienholz
Derivation and analysis of a complete modern-date glacier inventory for Alaska and Northwest Canada
最近J. Glaciol.に出版された、アラスカのインベントリの解析論文の話。彼は、アラスカのインベントリ作成を手掛けてきたが、この論文を合わせ、すでに3本の論文を出している。氷河をsemi-autoで分ける話、center-lineの話。そしてこの論文。氷河インベントリの作成で困ったのは、Clouds, Snow, Debris。末端タイプを、lake-term. 、Marine-term.で分けたり、デブリ氷河のデブリ域割合を出して解析したり、支流の本数も出している。見習うところ多い。彼によると彼は今後はどうも質量収支の方に変わるらしい。鬼に金棒だなあ。
■J. Graham Cogly
Glacier shrinkage, GLIMS and the Randolph Glacier Inventory
いろんなインベントリを使って、氷河面積の変化を出していた。ばらつきが大きいが、少なくとも氷河が小さいと縮小割合が大きいことぐらいは見えてきそうとのこと。
■Matthias Huss
The Randolph Glacier Inventory: applications and future needs
深さのデータをRGIに付けられるよう、GlaThiDaなど立ち上げて観測データと比較していくという、今後の方向性が示されていた。この発表以外の氷河の深さ分布の観測とモデルの比較で、Hussの方法は局所的には合わないが、平均するとほかのモデルよりは精度が良いことが示されていた。ice thicknessについては観測についてもほかにセッションが設けられている。
期待していた、W. Tad Pfeffer、Johannes Oerlemansは来なかった。ドタキャンぽい。
■Valentina Radic
Modelling glacier mass changes on global and regional scale: How precise can the models be?
この発表の目的は、How much trust projections? というコンセプト。以前のRadic and Hock (2011)のPDDとV-A scalingで氷河の将来予測をしたLow complex modelと、Clark et al., (2015)のダイナミクスを考慮したHigh complex modelを比較。減衰の速度がHighとLowで異なりHigh complex modelの方が徐々に小さくなる。
▲RGI working group▲
詳しくは雪氷に書くが、アジアの部分のみ報告。Asiaは氷河のoutlineにGAMDAMも含め、中国のや2nd Chinese glacier inventory、ICIMOD、スイスのインベントリなど、複数のインベントリがあるようになり、大幅に改善される。しかし、どのインベントリが最も良いかを判断するのは、まだ決め手がない。どのインベントリも急傾斜を除いているとか、自動で作成されたインベントリは季節積雪が入ってしまっているとか、デブリ氷河と岩石氷河の分け方とかで欠点がある。一つの方法として2000年にもっとも近いインベントリという案もあったが、決定ではない。
■ Brian Menounos
Modeling strategies to assess the response of western Canadian glaciers to past and future climate change
降水のデータについては、PRISMモデル(地形効果をいれたモデル)を使用して、西暦800年ごろからの氷河変動について推定。氷河のダイナミクスも入っている。
■John Moore
High Mountain Asia contribution to sea level rise by 2100
ELA=ELA(1980)+αΔT+βΔPで推定。Degree day factorを使っているが、mass balance sensitivityを観測?と比較して内陸で合わない、と指摘するなど、丁寧な解析の印象。
■Christoph Schneider
Dynamic response of Urumqi Glacier No.1, Eastern Tian shan, to climate forcing over the last decade
再凍結も考慮した、Heat BalanceベースのモデルCOSIMA(こーしま)を使用(どこかに公開されているような話をしていた)MaussionのHAR(RCMで最近数年間の気象の詳細を推定)とウルムチNo.1の観測値を比較。気温は夏は合うけど、冬がHARが高い。降水はHARがunderestimate(25%)。
■Liss Marie Andreassen
Reanalysing Norwegian long-term mass balance series
長期の現地観測を再解析。ほかの氷河と上流でつながっている氷河なので、ice divideの仕方で面積が変わってしまうのを問題視。確かに。こういう場合は、もう一つの氷河も観測した方が良い、という意見あり。内部融解も考慮してみたり、、、
■Larissa Kogutenko
Changes in glaciation of balkhash-alakol basin over the past 60 years
イリ流域の氷河の面積変化を1955-1974-1990-2008で出していた。三つのエリアに分けて、面積縮小を比較。Upper イリが最も縮小速い。これについて発表ではあまり言及していなかったけど、あとで聞いたら、ちゃんと夏涵養の地域と冬涵養の地域も把握、氷河が小さいと面積縮小率も大きいこともわかっていて、主に夏涵養のせいで敏感に縮小しているのではと考えていると言っていた。もうちょっと解析がほしい。
■Marlene Kronenberg
Mass balance reconstruction for Glacier Number 354, Inner Tien Shan, from 2003 to 2014
Quickbird, Geoeyeのステレオで標高変化を出していた。2003-2012
Kumtorの気象データを使用してmass balanceをDDFで計算。ランドサットのsnow coverと計算がよく合っている。雪の影響のある上流は標高変化なしと仮定して(なので雪の密度は必要ない)mass balanceをだし、-0.4 m/yr
■Nico Mölg
Characteristics of surge-type glaciers in the Karakoram
コロナ、ヘキサゴン、ランドサットで氷河の末端を比較して(1960-1990-today)サージしている(前進している)氷河としていない氷河に分類。とにかく氷河の前進後退傾向はまちまちでわからないが、カラコラムをさらに三つの地域に分けて、末端の長さ変化を出していた。最近1990からの方が南部で1960-1990よりも前進傾向。
Elevation changeを出したら、というHussのコメント。でもあまりやる気もないみたいな感じをうけた。プレゼンのあとで地域を広げてみたら?と言ったら、南部のパキスタンはコロナもヘキサゴンも手に入らないとのこと。実際にカラコラムのインベントリを作ったのは彼とのこと。グリーンランド周辺のインベントリも作成していて、どちらが簡単だった?と聞いたら、グリーンランドの西側なんて、ライン1本だから簡単だった、、、と言っていた。
■ Etienne Berthier
Geodetic mass balances of Himalayan glaciers from SPOT5, Pléiades and ASTER stereo-images
ICESatの問題としてトラックが同じ場所ではない、急傾斜部分、penetrationについてあげてから、チョタシグリ、Gangotoriの解析結果(elevation change)を見せていた。フィールド>Higher DEM>freecourse available DEMという風に領域を広げていく。
結果をWGMSへ提供しないか?とM. Zempの質問。まだ出版していないし、、、との答え。
Pléiadesについて最後使えるよ、と言ってヨーロッパ向けには、、、と話していたが、アジアは??
■Sabine Baumann
Comparison of measured glacier mass balance data in the Tian Shan and Pamir Mountains, Central Asia
In-situ observationと、Graceで差があるので、実際に天山などで比較してみる。In-situの方をどんなふうに広げたかはよくわからないが8点のデータを使用。あまりいい関係性は見られない。見ているものが違うかもしれないので、難しそう。
■Marie Dumont
The recent darkening of the Greenland Ice Sheet from space and modelling
グリーンランドの表面の不純物のはなし。衛星で南極とグリーンランドを比較してもグリーンランドの方がimpurity indexが上がっている。不純物の内訳をダスト、organic matterで分けて見せていたが、weightで見せているため、生物の寄与がめちゃめちゃ少ない。
最後にアルベドの低下に不純物の量がどのくらい効くか量的な関係を示すには、ダストの積雪中の分布などが関係してくるから難しい。。と。
■Emily Collier
Interactively coupled, high-resolution modelling of the atmosphere and alpine glaciers at the regional scale
TCに出している論文2本。デブリの厚さはASTERのTsから求めた。CMBモデル。再凍結も入っている。デブリがあると気温分布が変わってくるのをWARFで見ている。デブリでは顕熱が大きいことが見えている。2013年10月のサイクロンのインパクトもWARFで。チャングリ、メラの積雪の観測結果とも比較。現地観測で感じていたことが再現されているのでこれはおもしろい。
■John King
Modelling the surface mass balance of South Georgia glaciers using a high-resolution atmospheric model
South Georgia glaciersの北側の氷河が南よりも速く後退している。これはなぜか?フェーンが効いているという仮説を持って、WARFを使い見てみたという話。問題設定がクリアー残念なのはモデルの結果の検証がないこと。
■Joseph Shea
Monsoon energy fluxes for snow and ice melt at Yala Glacier, Langtang Valley, Nepal
口頭発表のタイトルを変更して地震の影響、特にランタンとキャンジン、リルンに焦点を置いて。
■Vincent Vionnet
Lapse rate based versus fully-dynamical meteorological downscaling for high-resolution modelling of snowpack and glacier mass balance in alpine terrain
Snowpackを使用して、気温はfixし、積雪量変化の観測値に合うように降水をadjust。
■ Andrew Barrett
Generating high-resolution, gridded fields of near-surface air temperatures for the High Asia region.
アジア高山域の地表面気温再現するのをトライ。多分Surfaceから推定しているんだろう。
でも修正してもRMSE=2.45とか。Levelから推定できるんだけど、、、捕まえられなかったのでいいか。
▲Glaciers CCI meeting▲
おもに岩石氷河とデブリ氷河の分離について、インベントリで、岩石氷河が入っていたり、デブリ氷河から徐々に岩石氷河に変化しているので境界を引くのが難しい。そのため、Frankが議題として上げていた話。話の本題に入る前に、岩石氷河は含んでいても問題ないんじゃないかというGrahamの意見や(これはこまる。標高変化とかまともに出なくなってしまう)、定義をしっかりしてから議論に入らないとだめじゃないかというM. Zempのもっともな意見、そして、チュートリアルを作ればいいのよ、こんなこと議題にするのは時間の無駄よという意見(ノルウェーの女性)があり、なかなか踏み込めなかった。
Frankはまずどのようにデジタイズしたか、私に意見を求め、私は高解像度がない場合、最終的にはコンターでかなりデジタイズした件を話、それからアラスカをやっていたC. Keinholzにも聞いてきた。彼も高解像度の画像がないと、、、、という意見。ここら辺で私は別の会議のため退出。
あとで、Frankと話していて、デブリ氷河、岩石氷河でデジタイズが困難な氷河を数個挙げて、数人でデジタイズしてみてはいかがだろう、という提案をしたら、受け入れられて、やることになってしまった。
▲Glacier mip▲
途中からの参加なので最初わけわからず。
氷河変動の将来予測を複数のモデルで行って、結果を比較、アンサンブルをとる話。RegineとBen Marzeionが音頭をとっている。
次の日の会議も合わせると、シナリオをどれにするかとか、氷厚はHussのを使う人も結構いるとか、2100年までのシミュレーションにするとか、体積変化のみでなく質量収支も比較するとか、の話し合い。面白かったのが検証は?の話になると、みんな脱力状態、苦笑いし始めること。まあでもGardnerの値やWGMSなどの値を使用したりしていることがわかった。
ローカルなスケールだけれども参加しようとしている人もかなりいて、そういう人たちは統合させるのが難しいので断り、大陸スケールでやっている人のみに絞ったらしい。今のところ10個ぐらいのモデルが集まっている。
G. Kaserもオブザーバー的に参加していて、過去のreconstructionはしないのか?と言ってきた。これには、みんな首をかしげ、う〜ん。逆に過去へ計算してく??? まあそれは次のプロジェクトで、とRegineが言っていた。次回の集まりはAGU?などと言っていたが、、、
会議の後はみんなで、IUGG会場の入り口で集合写真。真面目バージョンと、Funny version、なかなか楽しいグループ。
■V. Radic
Measurements and modelling of surface energy balance at a glacier in the Interior Mountains, British Colombia.
観測に基づいたはなし。これまでRadicは全球を対象にしていたので、観測を始めたのにはびっくり。渦相関法とか使って丁寧な観測をしている。積雪のないところ、氷温が0度のところなのでとってもシンプル。でも広域に伸ばすのは大きな課題。
■Tobias Sauter
Large-eddy simulation of downburst events over a mid-latitude Alpine valley glacier
氷河に妻と観光に行ったら、暖かい風が10分か15分ごとに来るのがわかって始めたシュミレーション。ローカルな地形の効果
■Claudia Roeoesli
Seismic monitoring of a moulin and its influence on the stick-slip flow of the Greenland ice sheet
ムーランに入ってくる水がきっかけで、stick-slipがおきることを示した研究。結構面白かった。
■Ragine Hock
Global glacier mass balance modeling – how can we do better ?
Glacier mipに関連する話。モデルでカービングやデブリが今後の問題。
■Frank Paul
Mapping glaciers from space: Historical development and new challenges
衛星画像で氷河のアウトラインが引ける。という論文が1975に出されてから、、、の歴史的な経緯。Cloud, snow, debris, shadowのおかげで氷河のアウトラインを引くのに難しいところがある。(影を入れてくれたのは、うちの論文を参考にしている感じ)。現在のCCIのインベントリとICIMODのアウトラインを比較したりしていた。GAMDAMについては論文から一つ図を出したのみ。マニュアルでは全部やるのは難しいが、とにかくやり遂げた、とGAMDAMについて。
■ Daniel Farinotti
News from the IACS Working group on Glacier ice thickness
GlaThiDaについて、目標など。最近は氷厚と言えばHuss、が呼ばれるが、推測値なので、観測データと比較したい。最終的にはRGIの属性データに付けるのが目標。氷厚データがあったら、報告してほしいとのこと。
■Henning Lowe
IACS Working group MicroSnow – From quantitative stratgraphy to microstructure-based modelling of snow: Motivation, progress, future
2007のIUGGではじめて雪粒子のサイズの測り方そしてデータもばらばらであるという問題がとりあげられてたちあがったWorking groupの紹介。2013, 2014に、フランスでモデル、観測についてworkshopを開いている。
は〜つかれました。

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