空気が冴えわたるこの季節にぴったりの音楽、矢野顕子『Super Folk Song』をBGMに本を読む。
そこに突然、ハッとするような文章が飛び込んできた。
『私たちは、出て行くものを温かくがまんづよく送り出す側になど、なりたくないのだ。家を飛び出し、繁茂する樹木やかがやく海辺にさまよいたい。河原に立ち、うっとりと白く乾いた石の肌を見つめていたい、男でも女でもなく、境界を越えて漂うものになりたいのだ。私などはそのために本を読む』(折口信夫)
食べて眠りさえすれば生きていけるはずなのに、人はさらに美しいものや心地いいものを求めずにはいられない。
心ふるわせる風景や本や音楽に出合いたいと願う。
その原点は何なのか?
見つめる先は常に未来のようで・・・実は匂いや空気とともによみがえる幼い頃の記憶・・過去の記憶なのかもしれない。
計らずも出会ってしまったこの問いに一度、真正面から向き合ってみたい。

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