ディスクブレーキのキャリパーはシマノもポストマウントを採用しています。
さすがにXT、XTRともスタンダードマウントも出していますけれど、大した重量差ではありません。
それよりもポストマウントにしたほうがはるかに大きなメリットがあります。だからポストマウントがお勧めです。
私のMTBは4台のうち3台がスタンダードマウントなので、「いずれ全部替えちゃる!」と思っています。
まず何がどう違うのか。(図を入れればいいんですが、文字で説明してみます。)
スタンダードマウント(IS;インターナショナルスタンダードマウント)は、パーツメーカーが集まって決めた規格です。だからスタンダード。
キャリパーを車体横からボルトで固定する形式です。なぜかフロントとリアで車軸に対する取り付け位置が異なります。だからフロント用とリア用のキャリパーが存在します。
ポストマウントは、ヘイズが始めたマウント方式(だと思う)で、文字通り車体の後ろ(ポスト)からマウントする形式です。これも昔はフロントとリア用がありましたが、現在は1種類になったみたいです。
ISのメリットは、フロントフォーク、リアフレームともに、横方向に穴のあいた台座を用意すればいいというもの。穴はねじ切りが不要です。このため多少精度が悪くても取り付けは可能です。
ポストマウントの場合、フォーク台座にねじ切りが必要ですし、フレーム台座にも同様にねじ切りが必要です。(フレームの場合はナットで受けることも可能と思いますが。)それに台座がローターの回転方向に対し直角である必要があります。だからフレームメーカーとしては工程が増えるし精度も必要だしで、こちらは嫌がられたのでしょう、ISのマウントが国際規格にまとまりました。
しかし使い始めてみるとすぐに分かりますが、ISはとにかくセッティングが面倒なのです。
ディスクブレーキはキャリパーのパッドでローターを挟み制動する装置。制動しないときは一定の隙間が開いてくれないとパッドでローターを引きずります。引きずると文字通りブレーキがかかったままなので体力がどんどん無駄に消費されます。だから極力引きずらないよう、調整する必要があります。
ISのキャリパーの位置調整は、フォーク(orフレーム)とキャリパーの間に薄いワッシャを挟んで調整しますが、これが
挟んで、締めて、様子見て、挟んで、締めて、様子見て、...........
の繰り返しで、慣れてもとにかく面倒なんです。まあ5分くらいはかかりますよ。
これに対しポストマウントでは、
ボルトを緩めて、ブレーキレバーを握って、ボルトを締める。
ものの5秒ですね。「これだけで完了!?」と驚くくらい簡単。キャリパー側のボルト穴が左右に余裕があるようになっていて、ブレーキレバーを握ったときの位置に簡単に調整できるのです。
これがですね、複数のホイールを使い分けるときなんかはもう大変ありがたいんです。
なぜかというと、厳密にはホイールごとにローターの位置が微妙に違うからです。(だってオーバーロックナットの位置って、締め具合で変わっちゃうでしょ。)
ということはホイール交換するたびにローターの位置が変わってしまい、調整が必要ということです。ホイール交換するたびにワッシャを入れ替えてのキャリパー調整なんか、レース会場でやってられませんよ、実際。
こういうの、開発途上で分からなかったんでしょうか。
で、シマノは最初IS派だったものだから、ISのキャリパーばかりを出してきました。パーツ屋としては少しでも軽くできる構造だから、良かったんでしょうね。しかしセッティングが大変だという文句がたくさん出てきたのでしょう。やがてポストマウントのキャリパーをベースに、IS用の変換アダプタをつけたものを製造し始めました。
で、最近はさらに進んだ流れになっています。
フロント用のISのキャリパーをリアに使うと、140mmというローターが使えるのは裏ワザです。リアの絶対制動力が必要でない、XCレースなどで使われるようです。
ポストマウントの場合、これが簡単にできます。アダプタがあるため、様々なアダプタを作れば対応できるというわけです。キャリパーもフロントとリアの2種類を作らなくてもよくなります。アダプタで対応すればいいんです。
だからローターもこんなに種類が出てきました。
{140mm、160mm、180mm、200mm}
ということで、最近の流れは、キャリパーはポストマウント、フレームはISマウント、フォークはポスト/ISいろいろ(どちらかというとポスト主流)、という流れになってきています。