自転車界でSSCといえばスペシアル・セルビス・コルセ(フランス語。英語ではスペシャル・サービス・コルセ/競技用特別仕様。ホイールやタイヤによく書かれています。)ですが、今回のSSCは、
「ストレッチ・ショートニング・サイクル」(伸張-短縮のサイクル)
です。検索は「ストレッチ ショートニング サイクル」でかけてみるといろいろと出てきます。(他力本願)
SSCとは筋肉を強制的に伸ばしたから素早く収縮させると大きな力が発揮できる、というものです。
これを「筋肉の特性」として片付けている記事が多いですが、より詳しい説明ではこのSSCには腱が重要な役割をしていることが示されています。
(この記事は基本的に受け売りですから、興味のある方は専門書を一読することをお勧めします。)
筋肉には両端に腱がついています。これは関節近くに太い筋肉があると関節の可動範囲が狭くなることを防いでいたりします。腱は筋肉とは違い、自分で収縮することはできませんが、引っ張られると縮む性質があります。この作用は実は「反動動作」としてよく知られているものです。
その場跳びのとき、高く上がろうとすれば大抵の人はA)まずしゃがみ、その反動でジャンプします。このときSSCがはたらいています。B)しゃがんだ状態で一度静止してしまうと、この反動はあまり使えず、高さものびません。
「筋トレで反動を使うな」というのはこのSSCがはたらいてしまうので、筋肉の実質的な強化につながらない(楽をしてしまう)という考えがあるからです。しかし実際の運動動作はSSCをうまく使えないと筋肉ばかり使ってしまい、疲れやすくなります。
上のAとBでは筋肉と腱のはたらきにどんな違いがあるのかというと、Aではしゃがんだときに各部の筋肉がのび、腱もこれに伴って伸ばされます。腱はこれを検知し、縮もうとします。収縮の力は筋肉+腱の力が発揮されるので筋肉だけの場合(B)よりも大きな力になるのです。
しかも腱の収縮は反射作用なので、筋肉よりも速いです。
Bの場合に高く跳べないのはしゃがんでから静止してしまうと腱の反射が終わってしまい、腱の収縮力を加算できないからです。
さて、これをペダリングに積極的に上手に利用できないか?というのが今回の課題です。ペダリングの上手な人というのはSSCを上手に利用しているのだと思います。
SSCを上手に利用するには、筋肉を伸ばし、素早く縮めることです。ペダリングは高速回転の繰り返しですから、伸ばし-縮めることの繰り返しはできているはずです。では上手に伸ばすには?上手に反動としてSSCを使うには?というのがポイントです。
ペダリング中のそれぞれの局面で、どの筋肉が伸び、縮んでいるのかを考えるのが近道だと思います。
上死点ではハムストリングス、下死点では大腰筋群が伸ばされていると思います。こう考えると、シートをできるだけ高くすること、腰をなるべく立てることはなるほど理にかなっているのだと思いますが、どうでしょうか。