今季最後のXCスキーということで黒姫高原の童話の森スノーウェーブに行ってきました。
www.avis.ne.jp/〜dowakan/snow.html
「鬼どっと90・姫どっと90」というクロスカントリースキー大会に出るためです。

Photo by NORDIC SKI HOUSE
4月1日 日曜日
朝5時起床。6時集合・出発。天気は曇り。道中、景色がなんとなくどんよりしていて今にも雨が降りそうなのに、降ってはこない。
8時過ぎにスノーウェーブに到着。辺りはすっかり雪が消え、春の景色。
「こんな状態でコースだけは雪があるの?」と心配してコースを見に行くとやっぱりほとんど消えている。orz
雪は林の木陰と林の中にわずかに20cmくらい残っている程度。これで大会やれるんでしょうか? ---やるんですね。(笑)そうですよね。来たんだし。
ほどなく「コース整備するので9:30まで待っててください。」と案内がある。
センターハウスで身支度や軽い朝食を摂っていると、懐かしい顔とご対面、ボブスレイ氏(仮)だ。彼とは岩岳以来のつきあいになります。先日の札幌の世界選手権などにもスタッフで参加していたとのことで、写真やらプレスを見せていただいた。
コース作りは雪上車で近くから雪を運んできて、男衆がスコップを振るって整地をしていくという地道な作業。ここまで来ると努力というより執念だなぁ。この気持ちに応えられるような滑りができればいいな。
今回の選手は70名程度。もうオフシーズンだろうというのになかなかの人数。ほとんどがミブラメンバーなので顔見知りも多く、同窓会のような雰囲気。ピリピリとした緊張はない。
空を見ると曇りのままで風も無く、降ることはなさそうだ。遠くを見やると黄みかがっていて、黄砂が舞っているのだということに気づく。いつもは眼前に見える妙高山もかすんでいる。
簡単な開会式の後スタートとなる。私は今日で今シーズンのXCスキーはおしまい。シーズンの総仕上げのフォーム/ペース配分/スピードでいきたい。
コーチからも「順位にこだわらず、総仕上げとしての滑りを。」と言葉があった。自然とみんなそういう気持ちなのではないだろうか。
1周1.5kmのコース。90分で何km走破できるか。
前半は登り。後半は下り。途中で多少のアップダウンがあるが、わりと単純な構成のレイアウト。
下りは呼吸を整えることができるから、二時間トライアルよりは楽なはず。昨年のこの大会はガス欠で散々だったので、それだけは避けたい。今回はペース配分の自主的なコントロールとガス欠なしのゴールを目標とした。
最初の1周はコースの様子見と集団の散り具合、ポジション取りのため抑え気味に回る。ラップタイムは置き時計で7分。このラップでずっと回れるだろうか。
コースは本当に雪が少なく、林の中は杉の落ち葉や細かな枝片が散らかっている。
アランさんが下りでさっそく転倒。私はすぐ後ろにいたので追い抜く。アランさんをペースメーカーにしようと考えていたのだが、私が前に出てしまった。orz まあいずれすぐに追い越されるだろう。
2周め。1周めよりも落ち葉が蹴散らされている。このまま周回を重ねればそれほど気を遣わずに滑れそうだ。今何番手あたりにいるかは分からないが、前後には最後まで抜きつ抜かれつになりそうな、力の拮抗したようなメンツが揃う。あとは自分のペース次第か。ラップタイムはちょうど7分。先ほどと同じだ。
3周め。またラップタイムは7分。無理している速さではないので、このペースで行くことに決める。頭の中で周回数の計算を考え始める。90/7=13弱。13周を目標に滑るってことだな。
最初の60分は抑え気味、最後の30分は徐々にペースアップ、という漠然とした戦略を、少しずつ細かくしていく。最初の8周くらいを抑えて走り、残りの5周は体力と相談かな、それとも10周まではゆっくり行くか。あれこれと思案しながら滑る。
アランさんが私を抜き返したのは4周めあたり。思っていたよりもずっと遅い。もともとスロースターターだし、これからどんどん離されるだろう、でもなるべく見える範囲に食いついていきたいと考えていた。
コースは最初に登りが400mくらい続き、林に入る。ここまではずっとパドルダンス。
林に入るところは平で、雪が比較的きれいなのでスーパースケーティングをちょっと入れることができる。ほんの20mもするとまた登りなのでパドルダンスに戻る。
短い登りの後、ほんの少し下ってからまた100mほど登る。そのあとは50mほど下り、Uターンで登り返す。900m地点でコースは一番高いところとなる。
以後は直線的でやや急な下りを滑る。枝片を踏むと速度が急激に落ちるので雪面には気を遣う。下りきるとグラウンドに戻ってくる。下りは2分以上あり、息を整えられる。
下り区間を休憩=インターバルと考えるなら、このコースは5分ほどの登りの繰り返しという見方ができる。5分間集中してリズムよく登れば、2分の休憩が得られるというわけだ。平坦な裏磐梯では休憩は無いが、こういうコースではインターバルがとれるので助かる。
3周ごとにボトルからエネルゲンを飲み、水分と糖分を補給する。1周ごとにリラックスし、ラップタイムを確認する。しばらくすると6周したか7周したか分からなくなったが、次の周回のときに時計を見ればいい。
きょうは7分きっかりでコンスタントに回っているので、周回数の確認は簡単だ。計算すると、いつのまにか8周したようだ。あと5周。頭であれこれペース配分をどうしようか考えているうちに、もう1時間弱が経っていた。
あと何周抑えペースで走るか。それが問題だ。体力は持つだろうか。.........持ちそうだ。アランさんはなかなかペースが上がらず、前に見えるものの離れたり近づいたりしていて姿を消す様子ではない。しかしこれからは徐々に上げていくだろう。でもあと2,3周、このままだったら追っかけられそうだ。
とりあえずこれからの3周をまず走りきることを考え、今までと同じペースになるようにリズムを整えて滑る。
パドルダンスはピッチを細かくし、腕の降りが途中まででもいいから、とにかくピッチを乱さないこと、腕の力で進まないこと、骨盤が前に出ることに注意しながら滑る。
コースは1時間を経過し、日差しも時折見られる天気となったためか、またスキーヤーの熱気が伝わっているのか、どんどん雪が解けてきている。場所によっては周回ごとに幅が狭くなっているところもある。
そんなところは整備の方々がスコップでひっきりなしに雪を補充しており、通過の際には声援を送ってくれる。これはとても嬉しく、また心強いと感じた。
アランさんも私もペースは落ちず上がらず、11周を回った。私はやや疲れがでてきたかも知れない。しかし今日はガス欠で止まるという気はしない。
11周で78分。ラップタイムは1分遅れたが、調子もリズムもなんとかコントロールできていると思う。残り時間はあと12分。
登り5分/下り2分だから、あと2周めの登りで時間が来る計算。登りあと2回で今シーズンのXCスキーはおしまいとなる。そう考えるとちょっとさびしい気持ちになったが、前方にやや距離をおいて滑るアランさんを確認し、元気を補充。ついに追っかけ始めるときがきた。
裏磐梯では練習のときでさえ、毎周回ごとに私はアランさんに少しずつ遅れをとってしまうのだけれど、今日はまだ目の前にいる。これは願っても無いチャレンジですよ。
ラスト2周の登りの中盤から、少しずつペースを上げる。追走に気がつくときっとペースを上げるだろうから、どこで仕掛けるかを考え始める。この周の登りでは追いつかなかったが、かなり近づいた。

Photo by NORDIC SKI HOUSE
最後の1周。時間はあと数分。この周回のどこかで時間となるだろう。ゴール時間の90分が来たら、100mごとに置かれた看板の距離を読み取って計測に持ち帰り記録とする。
だからこれからは100mごとの勝負となる。アランさんと同じ区間にいられれば、遅れがあっても同記録だ。「あと100m!、次の100m!」わずか5分たらずの間、いつ終了になるか分からない中で最後の力を振りしぼる。
アランさんもややペースを上げている感じだ。後ろからは中学生が颯爽と私を抜いていく。登りきったところで90分が経過。900mの看板を過ぎたばかりのところだ。アランさんは1000mの看板より前だろうか、後ろだろうか。
グラウンドまでの下りで追いつくと、最後の下り区間にいたアランさんは1000mの看板より前だったとのこと。うむむ、残念。もう一歩か。
しかし今日はとても気分がいい。アランさんのすぐ後ろということはもちろんだけれども、コースもよかったし整備もよくしてもらったし、自分のペース配分の範囲で滑れたし、ガス欠はないし。
とくにガス欠がないのがいいね。しゃんと立っていられる。(笑)体じゅう、疲れはあるけれど痛いところは無いし。
記録後、すぐに「リベンジ」と称して1周のスプリントレースが始まる。これは希望者のみ。私は今日はもう十分。いいシーズンの締めくくりができた。すぐに着替えに戻り、閉会式を待つ。
腹ごしらえも済んで談笑しているとやがて表彰式が始まった。
今回のクラス分けは生年10年ごとのクラスと男女分けと滑走方法別。したがって1970年代の私のクラスでも男女と滑走方法(クラシカル/フリー)があるので4クラスある。
ので、クラスごとの人数はとても少なく、多くても7名くらい。私のクラスは「男子1970年代フリー滑走」で6名。成績はクラス2位(!)。しかし1位とは1.5周くらい離れている。orz
でも久しぶりに表彰されると気分は上々。これで胸を張って帰れるというものです。

Photo by NORDIC SKI HOUSE
帰り道はETC割引もきかない時間だし急ぐ用事も無いのでとことこと下道の国道を走る。長岡に寄って青島ラーメンを頂き、Fin'sに顔を出した。
今シーズンは雪が少なく気をもんだシーズンでしたが、20日以上滑ることができたし技術も向上したと思います。長期トレーニングの成果で腹もちょっと引っ込んだし(笑)。
雪が少なくて大会が中止ということも多かったわけですが、今回の大会のように執念のコース整備で必ず大会を開催するぞという主催者の気持ちは尊敬しますし、感謝するほかありません。
人の文化(この場合はスキー大会)は努力して続けるからこそ文化なのだと改めて気づいた次第。少雪くらいでメゲている場合じゃないですね。
ちなみに、枝片によるスキー板の滑走面の傷ですが、ぱっと見て分かるほどの傷は何一つありませんでした。次回からは遠慮なく滑られそうです。(笑)
最後に。アランさん、今シーズンのワックス整備ありがとうございました。来季もよろしくお願いいたします。