2006/2/20

レクイエム  

札幌市の中心部、テレビ塔のそばに旧拓銀の本店がありました。
今は営業を引き継いだ北洋銀行の店舗です。

その旧本店がついに取り壊されることになったそうです。

拓銀を定年まで勤め上げ、バブルに浮かれた古巣が目の前でもろくも崩れ去り、それを追うかのように長野オリンピックで日本勢が活躍するなか、静かに息を引き取った父。

よくもわるくも北海道の支えであり、横暴な権力でもあり、また父の生涯をともにしたあの銀行の遺影もついになくなってしまいます。街のランドマークでもあったので、感慨深いものがあります。


父が札幌に転勤になってからは、この本店にはいろいろお世話になりました。

社員向けの病院が店内にあったので、歯医者などよくここまで通ったものです。なにしろ家族は無料でしたから。

重厚な作りの建物は、総大理石で作られていて、床や壁にはアンモナイトのような化石があちこちに見受けられました。
そんな話を父はどことなく誇らしげに語っていたように記憶しています。

当時は社員向けに本店をかたどった貯金箱なども配られ、北海道のシンボリックな存在であろうという意図もあったのでしょうね。
北海道の日銀本店のような雰囲気を意識していたのかもしれません。
なにか器で威圧感をだすような、そんな感じです。

しかしそれも結局虚栄でしかなかったのでしょう。

乱脈経営の旧経営陣のおかげで借金の膨れ上がった拓銀は、バブル崩壊のあと、国の救済策も受けられないまま、あっけなく倒産してしまいました。

父にはさぞやショックだったと思います。青春らしいことを何一つしないで、仕事に没頭していた、そんな父でしたから。

その父が病魔に犯されていたとはぜんぜん気がつきませんでした。まさか拓銀のあとを追うように、父が亡くなるとは。

拓銀倒産の翌年、2月26日に息を引き取った父は、札幌オリンピックで日本勢がメダルを独占して以来、ジャンプの大ファンでした。
テレビ中継のあるときは必ずチャンネルをあわせて、見ていたものです。

その後、低迷を続ける日本ジャンプ陣は長野で見事に復活を遂げました。
そんながんばりを父はきっと喜んでいたと思います。

今回の冬季オリンピックはさんざんな成績ですが、長野で日本勢をひっぱった原田選手が、8年たった今回も元気に参加してくれているというだけでも、拍手を送りたいですね。

きっと父もエールを送っているはずです。

そして今年、拓銀は名実ともに消滅します。


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2006/2/21  19:22

投稿者:へびG

>某金融機関の一室
なんか諜報部員みたいでいいっすね。

壊したらそれっきりですし。
でも北海道の人ってあっさりしているから、特に思いいれもないのかなあ。
「歴史的建造物」というには40年ほどでは中途半端なんでしょうか。

それをいったら今の会社のビルも似たようなもんです。
社員としては「建て替える」か「引っ越す」かしてほしい!
まったくもって「不便」なんで(笑)

http://hello.ap.teacup.com/kerokeropeace/

2006/2/21  12:21

投稿者:ひまぱ〜ん

ちょうど、このビルが某機関によって北洋銀行に売却された頃(2001年夏頃だった?)、某金融機関の一室で仕事してたのでおぼえてます。取り壊されるんですね。うまく利用する方法はなかったのか一抹の疑問は残るような。

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