歴史に学ぶ、温故知新という言葉は誰でも知っていると思う。また、他山の石とする、人のふり見て我がふり直せという言葉も。また、「人生、我以外、みんな師である」という宮本武蔵の言葉もある。日本語を勉強して、日本あるいは国際的な企業で仕事をしたい、大学院に行きたいという学生を担当しているが、日本語が上手になるということはどういうことなのか、大学を卒業して社会人になるということはどういうことなのか、きちんと考えて勉強してほしいと思う。
「仕事がつまらないから、思っていた仕事と違ったから」と言い、数日あるいは数週間で転職していく卒業生が少なくない。しかし、実際には「自分のやりたい仕事だけ」をやっている人のほうが少ないのだし、一見雑用に見えることからでも、その会社の仕組みや問題点を発見することだってできるのである。というと、「その方法を教えてください」と言ってくる学生が必ずいるが、理屈だけ知っていても意味はないし、実はそれほど難しいことでもないと思う。「自分の勉強を進めるのは当然のこととして、友達あるいはクラス、学校のために何かできることはないかと考えること」で、自然にそれは身についてくる。
卒業生からの手紙が校内に掲示してあり、「工場で使う専門用語を在学中に勉強しておけば、就職に有利だと思うので、対策をとってほしい」とあるが、これは自分を単なる電子辞書にしてしまう危険性があると私は思っている。ある日系企業の社長(中国では総経理)も、「うちで使う専門用語はうちで教えるから、それ以前のことを身につけておいてほしい」とおっしゃっていた。
だから、「それ以前のこと」って何だろう、と考えて生活をしていってほしい。

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