業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その605  S.T.A.L.K.E.R. 人の死に行く道編

2012/12/31 | 投稿者: Hal

S.T.A.L.K.E.R.は何かチャンドラーのハードボイルドを思わせるところがある。

非情の美というか無常感というか、或いは儚さと言ったら良いのだろうか。


S.T.A.L.K.E.R.シリーズをプレイし始めてから、もう3.4年になる。 SOC、CS、COP、それに各種のMODと、プレイ時間は延べ2千時間以上になるのだろうか。 ブラックオニキスやWIZARD AND PRINCESSから始まった30年以上のゲーム人生の中でも、これほどのめり込んだゲームは初めてである。 

ではそこまでのめり込めるS.T.A.L.K.E.R.の魅力とは、一体何なのだろうか? 私なりに考察した所を書いて見たい。

尚、ここでは主として第1作である「Shadow of Chernobyl(略称SoC)」について書いているが、続篇である「Clear Sky (CS)」、「Call of Pripyat (CoP)」についても同様にあてはまると思う。


まず最初に上げられるのは、リアリティと空想性の絶妙なバランスということだろう。 リアリティという点では、このゲームに登場するNPCは、ほぼ全てに人名や所属、場合によっては簡単ではあるが経歴等まで付与されている。 「その他a」などというNPCは存在しない。 流石にモンスターには名前はつけられていない。 「さっちゃん佐知子」などというモンスターは登場しないのだ。(笑)

これは膨大な手間とデータ量とが必要で、大半のゲームではそれほど多くもない登場人物の名前は十把一絡げに「社員乙」とか「学生1」であることを考えれば、大変なことである。 なにせゾーン内のストーカー達は数百名もいるのだから・・・

又、これらのNPCと戦う時、相手が死ぬ時にはただバタリと倒れるという蕪雑なことはない。 「パマギーチェ ムチュー スダ・・・」(助けて 目がかすむ・・・)などとつぶやき、更に「ゲホッ ゲホッ」と咳き込んで息絶える。 この咳の音がなんとも無情を感じさせる。

更には、これらの死んだ人物の死骸は何時までも残る。 他のマップへ行って戻って来ても、彼らはそこに横たわっている。 しかもその姿勢が、ある者は足を折り曲げ、ある者は柵に引っかかり、ある者は膝を抱え、死んだ時のままの姿で残っているのだ。 これを見てなにがしかの感を抱かない者はいないだろう。

S.T.A.L.K.E.R.のリアリティというではまだまだある。 弾1つにも重量が設定されており、又個々の弾にはそれぞれの性能や属性が設定されている。 勿論武器には更に精細な設定がされており、設定ファイルは数百行にも及ぶ。 その設定ファイルは天候や乗り物、敵役であるクリーチャーなどにも及び、全体では数千或いは数万の単位ではないだろうか。


空想性の面では、上記のリアリズムとは裏腹に相当ぶっ飛んだ裏設定が存在する。 このゲーム(SOCの場合)、一応のクリアはモノリス(映画ストーカーの願望機に当たる)に飛び込めば、数種のエンディングが見られる。

しかし、このモノリスシーンは真のエンディングではなく、かなり複雑な条件が整えば、トゥルーエンディングというべきエンディングが待っている。 それがどのようなものであるかは勿論ここには書けないが、かなりぶっ飛んだ(というか奇想天外というか、或いはいい加減と感じる人もいるかも)ものである。

この2つの相反する要素が見事なバランスで調和しているのが、S.T.A.L.K.E.R.最大の魅力だろう。


2番目はストーリー性が高く、しかもそのストーリーが魅力的であること。 これは一体なんのために存在するのか。 これは一体何を意味するのか。 謎は次第に収束して行き、エンディングへ至る。 正に「センスオブワンダー」の世界、それが「ゾーン」なのだ。


3番目は2とも関連するが、チェルノブイリ原発の事故及びその後の異変により、「ゾーン」と呼ばれる特異な地域が誕生した。 このような設定(世界感)によるスペキュレイティブな考察が楽しめること。


4番目はほとんど全ての設定がltxやxmlなどのベタテキストで書かれており、ユーザーによる改変が自由なこと。 このようなシステムだとMODは大変作りやすく、又設定をいじることによってチートやtrainerに匹敵する効果を上げられる。 trainerなどではバージョンにより動作したりしなかったりで中々やっかいなのだが、この設定書換なら書き込みミスをしないかぎりおおよそ問題なく動作する。(筈である)

S.T.A.L.K.E.R.シリーズは、恐らく世界で最もMODの多いゲームではないかと思われる。 その理由はゲーム自体の魅力もあるが、それ以上に上記の理由により設定がいじりやすくMODが作りやすいということもあるのだろう。

このためバニラ(素の状態、オリジナルを指す)を一旦クリアしても、他のMODを導入することによって、全く新しいゾーンの生活と冒険を楽しめる。 これもS.T.A.L.K.E.R.の大きな魅力の一つである。 なにせSecret Path 2やプリボイストーリーのように、ストーリーも全く別なら、主人公さえ別の人物という、単に背景と世界感を借りただけというような、完全な創作に近いMODさえあるのだ。

メーカーであるGSCのWEBでは、新作MODやアップデートを一面で取り上げている。 メーカー自身もMODを「ウリ」の一つと考えていることの証拠であろう。 日本のメーカーではこのようなことはまず考えられない。 日本のメーカーは自社の作品の内容をいじられることを極端に嫌う(特に任天堂系)から、メーカーの公式でMODを宣伝するなどということは、まずありえない。(少数ながら例外はある)


5番目はCGが魅力的であること。 といっても美少女の類は全く登場しない。 美少女どころかそもそも女性が登場しない。 例外としてSecret Path 2には超美人ライラさんが登場するが、かなりのうば桜(汗 このあたりもS.T.A.L.K.E.R.がストイックなゲームと言われる所以かもしれない。 

MODではSP2のように美人ストーカーが登場するものもあり、SFPSのようにエロマンガが出てくるものもあるし、Narodnaya Soljankaではシドのオッサンの交易所に入りドアを閉めると???なCGが楽しめるが、少なくともバニラでは女っ気はまるでなしである。

魅力的なのは主として背景であり、荒寥とした北国の夏(設定では初夏から8月頃となっているものが多い)の寒々とした情景が美しく、又このゲームの雰囲気にはよく合っている。 無人の荒野に咲く紫や黄色の花々が目を和ませる。 

MODによっては季節を冬に設定しているものもある。 「Winter of Death」である。 普段見慣れたゾーンが一面の銀世界となり、実に新鮮に映り美しい。 こんなことがMODで可能なのも、S.T.A.L.K.E.R.の魅力の一つである。

一転、地下迷路でのメカメカしくおどろおどろしく、そして崩壊し朽ち果てたメカの列。 破損したり横転したりしている、何に使うのかも分からぬ機械類の山。 その間から現れるモンスター。 このあたりの対比が素晴らしい。


以上S.T.A.L.K.E.R.の魅力について長々と書いてきたが、これが総合してS.T.A.L.K.E.R.という奇跡の名作を生んだのだろうと思う。


今年もこれでおしまい。 来年はどんな年になるのかな? ここまで人生71年間+α、色々ありましたなあ・・・

では皆様、よいお年を・・・・
グッドハンティングスタルカァ!
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