業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その124 又又々SF編

2010/1/16 | 投稿者: Hal


中井拓志「レフトハンド」門川書店刊

1997年の刊行だからもう12年も前の作品である。 最近ふともう一度読みたくてたまらなくなり、熱帯雨林の中古で購入した。 今回読み直して改めてこれは凄い作品だと思う。

とある外資系の製薬会社の研究所で、バイオハザードが発生する。 致死性のウイルスが外部に漏れだしたのだ。 まずそのウイルスによる症状が凄い。 なんと人間の左腕が肥大し、最後には心臓が左腕に移行して体幹から離脱する。 勿論残された人間の本体の方は死んでしまうが、左腕レフトハンドは自立して生存する。

この発想自体が凄まじいが、登場する人物が全てハチャメチャな人間ばかり。 厚生省の調査官はレフトハンドの観察に狂奔するのみで、被害の拡大防止などは眼中にない。 ワクチンのお陰で辛うじて防疫服なしで汚染空間で生存できる研究者は、典型的なマッドサイエンティスト。 何を考えているのか、研究用の人間を欲しがるだけで他のことにはまるで無関心だ。

厚生省の調査官はこのレフトハンドにカンブリア紀の復活を見るが、他の人々は一笑するのみ。 その他の人物もどうにも止まらないへんてこりんな人々ばかりで、これらの連中がどす黒いドタバタ劇を繰り広げる。 

この小説、一言で言えば映画のB級スプラッターコメディの感触だ。 
戦慄と狂笑が交錯する中で進行するこの作品は、第4回日本ホラー小説大賞の長編賞を受賞している。 尚、この時の大賞は貴志祐介「黒い家」である。

この怪作を未だ読んでいない食わず嫌いの方は、即中古で探すべし。

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