治験拠点病院活性化事業費、「効果が疑わしい」
政府の行政刷新会議(議長=管直人首相)のワーキンググループは11月 17日、治験の拠点となる医療機関を選定し、体制整備のための補助を行っている厚生労働省の「治験拠点病院活性化事業」の「再仕分け」を行った。今年4月の行政事業レビューでは「本事業の必要性、執行の観点からの評価としては、概ね妥当であるが、引き続き効率的な執行に努めること」と評価されていたものの、「再仕分け」では「効果が疑わしい」などの理由から、仕分け人14人の評価結果は「廃止」が6人で最も多く、「予算計上見送り」3人、「予算の縮減」 3人で、「要求通り」は2人にとどまった。
同事業費は、選定された拠点医療機関30施設に対し、治験や臨床研究に携わる人材の育成や確保、治験の手続きのIT化などの体制整備を補助するのが目的で今年度は約6億円が計上されている。来年度は拠点医療機関を20施設に減らし、要求額も約4億円に縮減。2012年度以降、同事業は廃止されることが決まっている。
同事業の論点に挙がったのは、▽補助金のほとんどを人件費に充てる例があり、一部の病院に一定の期間だけ人件費を補助しても恒久的な体制整備につながらないのではないか▽最終的な受益者となる製薬企業の経費の一部を国が肩代わりしているのではないか―など。
仕分け人は、同事業による臨床研究コーディネーター(CRC)の増加数が06年からの3年間で24人にとどまっていることや、拠点医療機関1施設当たりの補助額が小さいことなどを問題視。取りまとめ役の田村謙治衆院議員(民主党)は、「治験拠点病院の体制整備の重要性は共有しているが、事業自体の効果は大変疑わしいというのが共通する意見だった。また、製薬企業もより治験費用を負担できるのではないかという意見も共通していた」と述べる一方、来年度で事業が終了することから、「予算縮減の割合は特に明確にしない」と判定した。
( 2010年11月17日 21:45 キャリアブレイン )
身近なところに仕分けの波が来ました。
(とはいえ、記事中にある治験の拠点医療機関になっているわけではありませんが)
非常にデリケートな問題なのでコメントは差し控えた方がいいかと思いますが、ちょっとだけコメントします。
治験の拠点となるべき医療機関を選定して、そこに予算をつけて日本の治験を活性化させようという考え方はいいような気がします。
しかし予算をつければ動き出すかというと、現在お金がなくてできないことがあって、それはお金をもらえばできるようになるのでしょうが、日本で治験が活性化しない理由はちょっと違うような気がします。
補助金がほとんど人件費に消えていっているという指摘も納得できます。
現場にいてわかるのは、治験を行うのにそれほど設備投資が必要というわけではありません。
現状の日常診断や治療に必要な医療機器があれば、治験をするからと言って特別なものが必要になるということはありません。
治験管理室でCRCさんや事務局の必要物品も、それほど高価なものは必要ないかと思います。
ちょっとしたパソコンと、インターネットや電話・Faxなどの通信機器があればいいかと。
一時期にどかんとお金がやってきて、それも年度内に使わなければならないとなると、その使い道に困ることもあるのかと思います。