海外の医薬品、承認前の保険適用を了承 中医協
asahi.com(朝日新聞)2010年8月25日14時9分
中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)は25日、承認を受ける前の医薬品でも保険適用できる制度の導入を決めた。海外での使用実績などから、新たな臨床試験(治験)を省くことが認められた薬が対象。今月末にも抗がん剤など5品目について保険適用が認められる見通し。
海外で広く使われているのに、承認に時間がかかって国内で使えない「ドラッグ・ラグ」問題の解消を図る狙い。厚労省が示していた制度案を、この日の中医協総会で正式に了承した。
現在は、治験の省略が認められても、企業の申請をもとに承認されるまで9カ月程度かかり、その間、患者は薬代を全額自己負担しなければならない。承認前でも保険適用を認められれば、患者の負担が軽減される。
対象は、厚労省の検討会議が有効性と安全性を認めたうえで、医薬品の承認を検討する審議会が「追加治験の必要なし」と判断したもの。今月3日の検討会議では、卵巣がん治療に使われるゲムシタビン(商品名・ジェムザール)やノギテカン(同ハイカムチン)や、進行性胃がんへのカペシタビン(同ゼローダ)など5品目が認められている。
海外で認められた薬が日本国内で承認されるまでに遅れが出ることを「ドラッグ・ラグ」といいますが、今回導入される制度によって若干解消されることになりそうです。
海外で十分な使用実績などがある薬は、国内での臨床試験を省略できる「公知申請」という方法で承認を受けることができるとのことです。
まず厚労省の審議会で、専門家が安全性や有効性を事前評価され、これを通過後に企業が申請し、承認を受けて保険適用されることになります。
ただし、今回の制度の対象となる薬は、学会や患者団体からの要望を受けて必要性を検討する厚労省の会議で「公知申請を活用すべき」と判断された薬です。
なおかつ、日本国内の治験を省略するということですので、日本国内ですでに市販されている医薬品のうち、海外では日本で承認されていない適応症を持っている薬ということのようです。
ですからかなり限定的にはなりますが、患者さんへの金銭的負担を考えると、今回の制度は朗報なのだと思います。
ちなみにこれらの薬は、今回承認される適応症で市販後の全例調査をすることになると推測します。