軽症の救急患者から特別料金、10年度は見送り
asahi.com(朝日新聞社)2010年1月28日0時21分
症状が軽く必要性が低いのに救急外来を受診する患者から特別料金を徴収できる仕組みについて、中央社会保険医療協議会(中医協=厚生労働相の諮問機関)は27日、新年度の診療報酬改定での導入見送りを決めた。委員間で合意が得られず、断念した。ただ、救急医療の適正な利用を求めていく点では一致し、当面は啓発活動を充実させることで対応する。
軽症患者が、自分の都合で夜間や休日に受診するケースがあり、救急医療現場の負担増加につながっていると指摘されている。中医協は、医師らの負担軽減策の一環として特別料金の徴収を検討。対象を重度の患者を受け入れる救急救命センター(全国で221施設)に限定したうえで、診療前に患者側に周知することや診療の優先順位の基準を各医療機関で策定する――などを条件に徴収できる仕組みが検討されていた。徴収対象の典型例として「虫さされがかゆい」「海外旅行なので、いつもの薬をたくさんほしい」が示されていた。
この日の中医協では、患者ら支払い側委員が、「患者自身が(軽症か)判断できないことが多い」「逆に、お金を払えば(救急に)行っても良いとなりかねない」など導入に反対。患者に適正利用を働きかける取り組みをしたうえで、検討すべきだとの意見が出た。
これに対し、医師ら診療側委員は「本当に救急医療が必要な人が受けられないことがある」など導入の必要性を訴えたが、新年度からの導入は時期尚早と結論づけられた。
ただ、現在も一定の条件を満たして救急外来で特別料金を徴収している場合は、今後も継続できる。
2010/1/16「症状軽い方はなるべく平日の診療時間に」に書いたんですけど、夜間や休日を狙って軽症の患者さんがかかると、本来最優先に診察しなければならない患者さんのことに集中できず、またそのことによって当直医が疲弊してしまっているという件について、そのような患者さんが来院された場合に、特別料金を徴収するという案がありました。
しかし、1月27日に中央社会保険医療協議会で検討された結果、2010年度の導入は見送られたという記事となっています。
2010/1/16「症状軽い方はなるべく平日の診療時間に」の項で、導入した際の懸念されることを書きましたが、そのようなこともあって、見送りになったのかと思われます。
記事に書かれているように、「金さえ払えば診てもらえる」というように思われたら困りますよね。
そこら辺が整理されないと難しいでしょうかねえ・・・。
まさか、私が書いたものを見て、見送りになった訳ではないですよね・・・
今回の夜間・休日に軽症患者さんからの特別料金を課すということは、方向としては賛成ですが、現場の運用方法としてはいろんな場面が想定され、実際には大変じゃないかと思っちゃいます。
結局は患者さんのモラルを啓発していく必要があります。
また患者さんが考えている重症度と医師が診た重症度が違う場合のことも考えなくてはいけません。
患者さんとしては重い病気だと思っていたけど医師が軽症であると判断した場合、もめ事になることが予想されます。
逆に、患者さんが自分では軽いと思っていて、特別なお金がかかるのであればお金がないからかかれないと思われて、実は非常に重い病気である場面もありはしないか・・・これはあまりなさそうですね。
じゃあ患者さんが自分では判断できない場合、特別な料金が取られるかも知れないということで救急外来にかかるのを躊躇されて、実は重症であって取り返しのつかないという場面もあるのかと想像します。
もしこの制度が導入されたら、実際に特別料金を課すのは、明らかに悪質な確信的な場合と考えられる場合にしか、適用できないような気がします。
それも当直医が患者さんに説明するときにもめそうですね。
【関係ページ】
2010/1/16「症状軽い方はなるべく平日の診療時間に」