抗体価高くてもインフル発症の可能性―研究で裏付け
国立感染症研究所の岡部信彦・感染症情報センター長は12月21日、新型インフルエンザが集団発生した関西の中高一貫校で実施された血清疫学研究で、高い抗体価を保有していた人の一部が、後にインフルエンザを発症していたことが確認されたことを紹介。「ワクチン接種などで十分な抗体価が得られても必ずしも発病を防げるわけではないことが、この研究で裏付けられているのではないか」と話した。メディア関係者向けの勉強会で述べた。
この研究は、大阪府立公衆衛生研究所が感染症情報センターの協力を得て実施。中高一貫校の生徒と教職員から8月下旬に採血し、中和抗体価の測定などを行った。
その結果、新型インフルエンザウイルスに感染した可能性が非常に高いと考えられる中和抗体価160倍以上の人のうち3人が、採血後にインフルエンザを発症していることを確認。「160倍以上の中和抗体価を保有していても、新型インフルエンザウイルスに感染・発症する可能性がある」と結論付けていた。
これについて岡部センター長は、注目すべき結果だとし、「ワクチンを接種して十分に抗体価が上がっても発病は十分に阻止できないが、重症化は防げるだろうということが、裏付けられているのではないか」と語った。
同センター長によると一般的には、抗体価が40倍以上あれば発症しても重症化を防ぐ効果が期待できるとされている。
更新:2009/12/22 09:57 キャリアブレイン
新型インフルエンザワクチンの治験は実際に罹ったか罹らないかではなく、あくまで抗体価を調べるというものでした。
一般的には抗体価が高ければ新型インフルエンザに罹りにくいと思われますが、どうもそうではないということです。
ワクチンを接種して抗体価が高くなっても、新型インフルエンザの場合は感染することがあるということです。
今回の新型インフルエンザワクチンの接種目的としては、感染の予防ではなく重症化を防ぐということですので、そこら辺は全国民の共通認識かと思います。
しかしながら、抗体価が高くなれば重症化が防ぐことができるとされてますが、それってエビデンスがあるのでしょうか?
何と比べて重症化を防ぐことができたということができるかと、考えると難しいものがあります。
また、
2009/12/12「新型インフルエンザに罹っても症状がでない場合がある」で、新型インフルエンザに感染した中高生らの約2割で症状がなかったことがわかっています。
今回の抗体価が高くても発症してしまう件と、感染しても発症しないこともあるという件、ちょっと複雑な感じがしています。
【関係ページ】
2009/12/12「新型インフルエンザに罹っても症状がでない場合がある」