メルビンとヨード造影剤との併用は従来併用注意だったのですが、今回併用禁忌になっています。
その理由として、製造販売元の大日本住友製薬は
「併用注意」に記載していた「ヨード造影剤」との相互作用について、海外添付文書の記載に準じて「併用禁忌」としました。
と言っています(そのようなおしらせが流れています)。
詳細には、両者の併用により乳酸アシドーシスをきたすことがあるためということです。さらにその原因は、ヨード造影剤の投与により一過性の腎機能低下をきたす可能性があり、その結果、ビグアナイド系経口血糖降下剤の腎排泄が減少し、血中濃度が上昇するためと考えられています。
ヨード造影剤を使用する際はメルビンを一時中止にしなければなりませんが、どれくらい前に止めるかというと・・・
(参考)
ヨード造影剤を用いて検査を行う際のメトホルミンの中止、再開のタイミングについては国内外のガイドラインにおいて、次のように推奨されています。
国内
ヨード造影剤使用前2日間は用いるべきではない。
海外
造影検査前の腎機能(血清クレアチニン)が正常
造影剤投与時〜 48時間後までメトホルミンの投与を中止する。
腎機能が正常であることを確認してからメトホルミンの投与を再開する。
造影検査前の腎機能(血清クレアチニン)が異常*(*国内ではこのような患者は投与禁忌です。)
造影剤投与48時間前〜投与48時間後までメトホルミンの投与を中止する。
投与48時間後に腎機能に変化がないことを確認してからメトホルミンの投与を再開する。
大日本住友製薬:メルビン錠250mg 効能・効果、用法・用量の一部変更、使用上の注意改訂のお知らせ より
メルビンが今回第一選択薬として承認されたということは知っていましたが、この件は見逃していました・・・
大日本住友、糖尿病薬「メルビン」が第一選択薬に 単独療法で承認取得
大日本住友製薬は20日、糖尿病治療薬「メルビン」が単独療法を可能とする変更承認を取得したと発表した。従来は膵臓(すいぞう)に働きかけてインスリン分泌を促す「SU剤」を最初に処方し、効果が不十分な場合などに使えると定められていた。今回の承認取得によって、糖尿病を薬で治療する際に第一選択薬として使えるようになる。
メルビンは肝臓での糖の生成を抑えて血糖値を下げる作用がある。大日本住友によれば欧米では以前から使用制限がなく、第一選択薬に位置付けられているという。そのため日本でも単独療法で使えるように承認申請していた。
[2009年5月21日/日経産業新聞]
【追記】
2009年7月にメルビンとヨード造影剤は、「併用注意」に再度変更されています。
メルビンとヨード造影剤の併用は「併用注意」に
(2009年7月4日追記)