ぼくは自分のやってきた仕事が何であったか、それを整理してまとめようと思ったことはありません。整理したりまとめたりすると現場から離れてしまう、どうかでそう感じているからです。
だから、やってきたことを覚えていようとは思わない。というより、忘れてしまったほうがいいと思っていて、ときには忘れる努力さえする。「まっさらな状態に自分をおくと次がうまくいく」というのが、自分のなかで公式としてあります。
そう思うようになったきっかけが何であったか、じつはそれすらよく覚えていないのですが、もしかしたら学生時代、宮沢賢治の詩を読んだことや、あるいはまた寺山修司の影響を受けたことが関係しているかもしれません。ぼくなりに彼らから学んだものは、終わったものは終わったものであり、いま動いているこの瞬間が大事である、ということなんです。
鈴木敏夫 仕事道楽(岩波新書)
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宮崎駿さんも
「プロフェッショナル仕事の流儀」の中で同じようなことを言っていました。
今やちょっと先のことに興味があって、過去は振り返らない。
名声なんてそんなものどこにある。
この言葉の意味するところは大きいと思います。
過去にいいことがあって、今がそれほどでもないときに、「あのときはよかったなあ」と思いがちです。
そんなことを思ってしまうと、きっとその先成長がないということなんだと思います。
ひょっとしてクリエーター独特の感覚かもわかりませんが、我々にとっても使える流儀なのかもわかりませんね。
公開初日に
「崖の上のポニョ」を観てきました。
そんなこともあって、この新書を買ったのかもわかりません。