今日(2008年4月21日)の朝日新聞朝刊に、「抗がん剤 3つの課題」というタイトルの特集記事が組まれていました。
その中でドラッグラグのことに触れられていましたので抜粋します。
海外に遅れる承認
海外に比べ承認販売が遅れる「ドラッグラグ」。なぜ起きるのか−。
厚労省の承認審査が遅いとの指摘もある。が、国立がんセンター中央病院の藤原康弘・臨床検査部長は「むしろ製薬会社がなかなか申請を出さないことが要因だ」と話す。
医薬産業政策研究所の石橋慶太主任研究員は00〜06年、欧米で先行して承認販売された抗がん剤を含む医薬品97品目を調査した。その結果、ドラッグラグは約4年。欧米より治験や審査期間も長いが、製薬企業による国内の治験着手には2〜3年差があった。
研究所の別の調査では、世界で売り上げ上位100の医薬品が初めて市場に出て、薬がその国で売られるまでの時間は、米国が最も遠くて平均505日。日本は3倍近い1417日もかかっていた。
米食品医薬品局で審査官の経験を持つ川上浩司・京都大教授は、日本では、大学などが国の研究費などで実施する臨床研究と、企業などが承認を受けるために行う治験に分かれていることを問題視する。「臨床研究で有効性が確認されても治験をやり直さなければならない。米国は一本化されている」と指摘する。
朝日新聞2008年4月21日朝刊より「抗がん剤 3つの課題」
日本の治験は、「遅い・高い・質が悪い」と言われています。
その中でドラッグラグにも関連する「遅い」について、治験を受ける医療機関側の問題もさることながら、企業が治験に着手しないという問題もあるということです。
同様の話は、どこかで治験に関する講演会の際に聞いたことがありますので、あながち間違っていないのだと思われます。
治験になかなか着手しないのは、やはり日本国内での治験のコストと承認後の売り上げを天秤にかけて、ということなのでしょうか。
我々病院で治験に携わる者もがんばりますから、企業のほうもがんばってほしいと思います。
しかし企業がなかなか着手しない時は、医師主導治験の出番なんでしょうね。
【参考リンク】
●Wikipedia:治験 国際競争において日本の抱える問題点
http://ja.wikipedia.org/wiki/GCP%E7%9C%81%E4%BB%A4#.E5.9B.BD.E9.9A.9B.E7.AB.B6.E4.BA.89.E3.81.AB.E3.81.8A.E3.81.84.E3.81.A6.E6.97.A5.E6.9C.AC.E3.81.AE.E6.8A.B1.E3.81.88.E3.82.8B.E5.95.8F.E9.A1.8C.E7.82.B9