2009/2/26
東北地方の、とある雪国を旅しました。
雪の降り積もる様子を、宿の窓からぼんやり眺めていると、
フォーレの「ピアノ五重奏曲第一番」が浮かんできました。
美しいピアノのアルペジオの中を、第二ヴァイオリンが切なく、どこか儚い旋律を奏でて始まる導入部は、まさに空から雪の片の舞い降りる様のようです。
フォーレ「ピアノ五重奏曲第一番ニ短調Op89」(1903)
ピアノ五重奏という形態にありがちの重苦しい響きがなく、
軽く繊細な美しさが全曲を支配します。
メロディの美しさ、開離配置の和声による軽やかな響き、
そしてスケルツォを置かない3楽章形式・・・負担が軽く、親しみやすい曲ではないでしょうか。
レクイエムは大好きだけど、フォーレの他の曲へなかなか進めないでおられる方にお聴きいただきたい曲です。
フォーレの作曲技法の中で避けて通れないドリアの和声法。
全作品を通じて彼ほどこの和声法を好み、多用した作曲家も珍しいと思います。
勿論この「ピアノ五重奏曲第一番」でも随所に登場し、
曲を神秘的にしています。
音楽を学ぶ人が一度は通る
アンリ・シャランの「380の和声課題集」。
その第4巻は、まる一巻を割いてドリアの和声法を解き明かしています。
(コンセルヴァトワールで教鞭をとったシャランが大先輩にあたるフォーレに捧げたオードにも思えます)
フォーレの神秘的な和声法に関心のある方はぜひ取り組んでみて下さい。
※かつてはティッサン=ヴァランタンの名盤がありましたが、
今では入手し難いので、コラール盤をお奨めします。
やや遅いテンポでじっくりとこの曲の持つ魅力を聴かせてくれます。
[DATA]
Faure :「ピアノ五重奏曲 第一番ニ短調」
Pf)コラール
SQ)パレナンSQ
EMIミュージックジャパン
(規格番号:TOCE-13414)
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