同窓会が始まった。
高等学校の同窓会である。
卒業して20年。まずは近況報告。
「俺の会社がさぁ〜」「私の子供がねぇ〜」
なんつってね。みんな色々あるんだ。
なぜなら、生きてるから。帰る家があるから。
家庭を持っているから。
そして、昔話へ。
「あいつ、あん時さぁ〜」「あのコ実はねぇ〜」
なんつってね。みんな色々あったらしい。
なぜなら、青春時代だったから。青春時代の
真ん中は路(みち)に迷っているばかりらしい。
そんな意気投合の会の中に一人の男が居た。
話によるとバンドマン活動を継続中らしい。
話によると守るべき家庭も無いそうだ。
昔の面影も無く、体型がプラスαの方向に移行
している他の面々と比べ、その男は、いまだに
痩せている。やせっぽちのバラッド。
「おまえ、満足に喰ってないだら?」「おまえ、
俺の分も喰ってもOKだに」ってね。
次の食事をどうやって誤魔化すかを思案中だった
彼にとってはラッキーな提案この上なし。
6900円の参加費だって投げ銭のつもりだし。
なんとか同級生の輪に入り込み、打ち解けて、
喋りまくっちゃってね、最終的には。
したたかに自分のバンドの宣伝しちゃってね。
次のGIGの勧誘しちゃってね。数人確保でね。
こんな感じでディランという人は、したたかで
あったんだろうって思う。
同窓会みたいな雰囲気で、あのディランとの
思い出話を個人個人で繰り出す面々。
その反面、スコセッシかもしれない聞き手の
質問に答えるディランの顔付き、目付き。
まったく孤独な人だと思う。
彼に擦り寄る人は満天の星空に輝く星の数の
ごとく。
でも彼は孤独。ディランは孤独。
帰る家が見つかるといいなぁって思う。
「NO DIRECTION HOME/BOB DYLAN」
DVDね。1966年ぐらいまでのディランの歴史と秘蔵映像をパック。
ディラン本人と、その他大勢の人達がコメントしてる。
「コメントには気持ちを込めんと」って勢いでみんな語ってる。
今度発売されるディランの新作、タイトル「モダン・タイムス」らしい。
うれしくなっちゃうね。

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