「ロックンロールがすべて引き合わせてくれる」みたいな内容のコメントをテレビか雑誌のインタビューで発したのは鮎川 誠さん。それ観て「うん、そうそうそう」ってテレビ画面の真ん前か雑誌の紙面から数十センチの空間でうなずいたのは俺。
ある日、出会った男が居て。俺たちはある共通点を見つけたんだ。お酒の酔い酔いな勢いも手伝ってか俺たちはその共通点を巡ってあれやこれや語り合ったんだ。彼は俺より10歳年下って事もあったのか最初から最後まで敬語でおしゃべりしていた、この俺に。そんな彼の態度に俺のほうが恐縮してしまった程さ。それ以降は、いろんな場面で俺たちは顔を会わしたし、その度にいろんな話をしたんだ。付かず離れず。そんな距離感で。
昨日、聞いた。彼が3月末に亡くなられたって事を。「えっ?」って俺。
昨晩は全然寝れなかった。今日の仕事中も彼の顔が脳裏から離れないって感じ「なんで死んじゃったの?」って。
『人生における幸せは平等に分け与えられてる』って?『今を耐え忍べばいつかきっといい事がある』って?俺の捉え方はちょっと違って。かなり違って。
『人生は不平等です〜っ!』。んな感じ。そして奥さんや可愛い子供を残して若くして死んでしまった彼の気持ちもそうなんじゃないかな?でも“あきらめ”や“自虐”なんて言葉で装飾された部屋から言ってたらちょっとカッコ付かない。だって不平等をどうにかする為に“あれ”や“これ”や“それ”を観たり、聴いたり、使ったり、してんだ。んでもってブッ飛んで行くんだ!加速度は増す。まるでウナギ昇り。
先程、携帯電話の受信メール欄を再確認していた。彼からのメールを数件確認。昨年10月ぐらいのメールでは「スピナの♪変わるスピードが違ったんだなぁ♪ってとこが好きですね。ドロドロって曲の歌詞も好きです」って書いてあった。そぉ言えばこうやって毎回俺たちの“共通点”の最新情報に関する意見を交換してたっけ。
俺より年下の彼は俺よりちょっと早い加速度であっちの世界に行ってしまった。俺にできる事はひとつしかない。俺があっちの世界に行った時に彼が知る事ができなかった“共通点の最新情報”を俺が教えてあげるって事さ。
彼と出会ったら「ヒロトとマーシーはキミが死んだ後、こんな曲を作ったんだよ」って唄って聴かせてあげるのさ。付かず離れず。そんな距離感で。
2008年発表、ザ・クロマニヨンズのアルバム“FIRE AGE”。C面1曲目に『スピードとナイフ』収録。D面3曲目に『ドロドロ』収録。

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