何気なく歩いてる歩道にだって気付く物がある。気にかかってしまう物がある。メガネを形取った眼鏡屋のカンバン。消費者金融の電話番号が印字されたティッシュペーパーの小袋。サービス面において公営バスを凌駕する私営バスの外壁デザイン。
告知が重要。見てもらえようともらえないようと、気付かれようと気付かれないようと、話題にされようとされまいと。
告知が重要。ドゥー・ザ・アクションっ!
浜名バイパスを走っている。
電光掲示板が光る。電光の印字。小さな電球の小さな光りが密集して列を成す。点描画か?スーラとシニャックが杯(サカズキ)交わしてるか?んん〜?点描画ぁ?あれは小生、6歳と7ヶ月を過ぎた夏の終わり頃。小さな蟻がまるで懐中電灯のボディん中に直列で格納されてる単一電池のように行進してた。それはまるで黒ヘビのようで。ブラック・スネイク。気持ち悪くて踏んだ。小生小アリを踏み潰した。子供は純心で残酷。ピーマンが嫌いな子供は大人になってもそれが苦手なものさ。ほんの米粒みたいな出来事は知らぬ間に家屋建立時の上棟(建て前)ん時の隅餅みたいな大きさに変化(ヘンゲ)して。それを“トラウマ”って名付けて。“それ”を死ぬまで引きずり続けて。ずりずり。
【過積載根絶月間です】って電光掲示板は告知している。遠回りより近道。低速より高速。交差点信号より一本道。68gより69g。4000kgより4200kg。減量に夢中な女郎もいれば増量に夢中な野郎もいるって事さ。
トラックは走り続ける。国道21号線を。国道61号線を。
ある日アイツが俺にこう言った。「オマエは生涯身長160cmの小さなオマエの身体に宿る“ロックンロール・ハート”って奴にナニにも喩えられないモノを過積載してるんじゃぁない?もぉ歳だし。とっととウせろよ」。
俺はアイツにこう言った「〔基準〕がありますからそれを越えると〔過〕なのです」と。
そして俺には〔基準〕は無いのだ。
1984年発売、THE ROKKETSのアルバム「ROKKET SIZE」。B面2曲目に『BLACK SNAKE』収録。
2000年発売、THE PRIVATESのアルバム「BRIGHT LIGHTS BEAT CITY」。DISK1の4曲目に『HIGHWAY 21』収録。
FRED McDOWELLのアルバム「MISSISSIPPI」。発売年不詳。A面4曲目に『61 HIGHWAY』収録。

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