5月1日。
できたばかりの第三案を持って建築主ご夫妻と打合せを行ないました。
第三案の説明と今後の検討要因を理解しやすくするために、文章化した簡単なリストも同時に提出しました(上の図はその一部)。
建築主が持っている要望と現案との重ね合わせ、そしてそれらを実現させるコストプランニングのあり方について。
逆に言うと、この案がどういった理由の基に作られたか、という説明書でもあります。
図面と説明書を見比べながら一通りの説明をして、この案に対する率直な意見を求めました。
建築主は、案そのものには「大分良くなっていて2階は満足。1階はちょっとキッチリしすぎているかもしれない」との印象を語られました。
そして上の図の「コスト計画」の考え方の説明を受けて、なぜ僕(設計者)がこの平面形状「比較的スクエアに近いもの」にこだわってプランニングを続けているのかが理解できたようです。
「コストパフォーマンス」と言う言葉はただ単に事物の低価格化を意味するのではなくて、むしろ決められた予算に対して最大限の効果を得る場合にこそ使われるべきだと僕は思っています。
細かい点は色々ありますが、今回の計画は上の意味で、費やされるべき予算に対して、先ずは最大限の床面積を確保するために、現在の正方形に近い総2階建てと言う形状を採用したと言うことです。
そしてもう一つ。シンプルな箱型形状は構造的に有利(地震力・風圧力に対して強い)と言うことも理由の一つです。
さらに、和室及びそしてキッチンのあり方を議論します。
まず和室(或いはリビング)についてですが、本当に畳の部屋(またはコーナー)が必要かどうかについてです。
陽だまりで、畳の上にゴロンと横になる楽しみは日本人なら誰しも心象風景としてあこがれるところではありますが、狭小住宅の場合それがあまりにも限定的な空間の要素となりすぎる嫌いがあります。
むしろ普通にフローリングの床がつながっている空間の方が、あいまいで色々な使い方に対応することができるように思います。
奥様の方はむしろ僕の意見に賛成してくれているらしく、畳不要論(?)をご主人に訴え始めました。
その後しばらく考えた結果、畳を無くして普通のリビング空間とすることにご主人も意見を変えて下さいました。
続いてキッチンです。対面式が奥様の希望でしたが、この場合キッチンへ出入りするためのスペースが必要な分、面積が余分に必要となってしまいます。
これも狭小住宅ゆえの悩みですが、何を優先すべきかを再度ここで考えてもらいます。
全体の空間の構成、機能、面積配分等々をもう一度整理しご主人ともども悩んだ結果、こちらも「空間の連続性、視覚的なつながり」を保つ代わりに対面にはこだわらないとの決断を頂きました。
さて、1階の平面計画上大きなウェィトを占めていた和室とキッチンの自由度が増しました。
ここでもう一度建築主ご夫妻とプランを見直す事とします。
(以下、継続)

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