スケッチを重ねた結果、ある程度プランがまとまりました。
外形は延べ面積24坪(約80u)であった第二案の横幅(東西方向)はそのままに、縦方向(南北方向)を半間(910mm)広げた案です。
面積自体は第一案と同じ28坪(約95u)になっていますが、吹抜けがない分、全体としてはコンパクトです。
建物のアプローチは第二案同様南東の角ですが、この第三案では「玄関・廊下・階段」という動線のまとまりを持ってはいません。
玄関の正面、北東の角に比較的独立した和室を配し、2階へはリビングスペースを経て階段で上がります。
階段を北側の中央へ配置し「階段室」としたことにより、2階の間取りも大分すっきりしました。
各階において廊下部分が最小となり、廊下が他を圧迫している印象は消えました。
さらに階段室型の動線計画としたことにより暖房効率の面でも優位に働くことと思います。
狭小住宅であるからこそ、意匠(デザイン)的には吹抜けを作って空間を開放的に演出したいとはじめは思っていたのですが、その場合は床暖房システムが必須であると、僕は思っています。
エアコンや、いわゆるストーブと言った類の空気を暖める暖房形式では空間(空気量)が大きくなる吹抜けでは不利に働くことは自明ですから、輻射熱(フクシャネツ)を利用した床暖房こそ有効なはずです。
今回の計画では初期コスト(工事費)に床暖房設備を入れることは難しいので、必然的に吹抜けは(現実の生活を考えて)設けないこととなりました。
(もちろん吹抜けがなくても床暖房システムがあるとより快適に冬季を過ごすことが可能です。それにコストの問題さえクリアできれば、後からでも比較的簡単に設置できます。)
また、水廻りは1階の西側へまとめました。
廊下がないからと言って、トイレがリビング部分に面するのは印象が悪いのでパウダールーム(洗面室)を広く取り、ここを中継してトイレへ入るようになっています。
キッチンはリビングスペースとの連続性に考慮していますが、建築主奥様のご希望である「対面式」となっていません。
キッチンカウンターを対面させようとすると、キッチンへの出入りは北側(パウダールーム側)から入らなくてはなりません。
何度も言うようですが、ある程度充実した(一般的な)キッチンを狭小住宅に設ける場合、対面式は床面積の都合上不利になると言うのが僕の考えです。
これは懸案事項として建築主に素直に伝えて判断を仰ぐこととします。
さぁ、第三案として一応プランニングが成立しました。
この案を持ってもう一度建築主と基本設計の打合せをします!

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