週末、福岡で用事があり10数年ぶりに彼の地へ降り立ちました。
宿泊はおよそ20年ほど前に作られた「イル・パラッツォ」。
門司港ホテルと同じく、イタリア人建築家アルド・ロッシによるデザインです。
写真は建築専門誌に限らず、多くのメディアで紹介されているので興味のある方はそちらを探してみてください。
ここでは僕の印象をいくつか。。
アルド・ロッシ(すでに他界)は僕の尊敬している建築家の一人です。
彼の建築は、クラシック(古典、つまりギリシャ・ローマ)のデザインボキャブラリを使いますが、単なるクラシシズムでなく、都市の記憶を掘り起こすようにしてデザインを論理的に進めるところから、コンテクスチュアリズム(文脈主義)とも称されていました。
そんな彼の手法には洋の東西の隔てはあっても、強く興味を抱いているのですがバブル期に計画・建設されたこのホテルは「中洲」のどんなコンテクストを表現したのか、やはり僕には理解できません。
ただし理解できなくてもこの建物の「デザイン上の強度」のようなものは十分納得できます。
もっと正確に言うと、建築の良し悪しは置いておいて、ロッシのドローイングは好きだ(笑)とでも言ったらよいか。。(困)
列柱をコレでもかと並べて見せたインパクト勝負の建物ではありますが、そのインパクトに下品さを感じないあたりが流石と言ったらよいか。
それと社会的なインパクトとしては、いわゆるデザイナーズホテルの先駆けという希少価値もあるかな。
ただしその後、建築デザインの主流はミニマムへと向かいましたから、やはりデザインポリシーだけで判断すると、ちょっと古さを感じずにはいられませんね。
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このホテルはよく「最近のホテルに比べると設備的に不満」と言われているそうです。
僕自身は建築の設備的には特に不満はありませんでしたが、部屋でコーヒーが飲めないのは不満でした。
備え付けられていたのは粉末の緑茶と昆布茶で、電気ポットが置いてあったのですが、個人的には電気ポットなんか要らなくて、コーヒーメーカー(エスプレッソメーカー)を用意しておいて欲しかったです。
個人の好き嫌いはともかく、「イタリアンデザイン」を売りにしているのだから、そちら方面に手を抜いて欲しくなかったナ。

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