将棋世界に飯島七段の横歩取り△4五角戦法の講座があり、毎月楽しみにしている(読むだけで頭にはほとんど入っていないが)。
私は将棋大会で、過去一度だけ横歩取り△4五角戦法に出会ったことがある(自分が指したことはない)。
今から26年前の高校1年生の11月に行われた高校選手権大会の予選第1局で、相手に△4五角戦法を指された。
その将棋が将棋大会で唯一私が経験した横歩取り△4五角戦法の実戦である。
私が将棋を本格的に始めたのは高校入学後で、当時はまだ初心者であり定跡はほとんど知らなかった。
横歩取り戦法もほとんど知らず、△4五角戦法については存在さえも知らなかった。
その時の将棋を振り返ってみたい(第1図)。
(第1図)
私は(第1図)を迎え、相手は当然△2三歩と打つ一手だと思っていた。
しかし、△8六歩と指され私は驚いた。
当時初心者だった私は、今では当たり前とされる△8六歩という手の存在を知らなかった。
(第1図)以下、△8六歩、▲同歩、△同飛、▲3四飛、△8八角成、▲同銀、△2八歩、▲同銀、△4五角と進み(第2図)を迎えた。
相手はノータイムで指してきたが、私にとっては全く未知の世界で、△2八歩や△4五角という奇想天外な指し手に驚き、何がどうなっているのか訳が分からず困惑した(第2図)。
(第2図)
(第2図)を迎え、私は▲3四飛、△2三歩、▲7七角と指した。
今思えば、当時の私は横歩取り△4五角戦法の存在さえ知らなかったにもかかわらず、▲7七角をよく打ったと思う。
▲7七角以下、△8八飛成、▲同銀、△2四歩、▲1一角成、△3三桂、▲3六香と進んだ(第3図)。
私は△8八飛成にも驚いた。
△8八飛成は全く見えていなかった。
しかし、定跡を知らない中、現在でも定跡とされる(第3図)まで進んだ。
今思えば不思議に思う。
(第3図)
△8七銀にも驚いた。
未熟な私はもう訳が分からなかった。
そしてついに私は対応を誤った。
▲8七同金と銀を取ったのである。
以下、△7九飛、▲6九銀、△6七角成と進み、一気に敗勢に陥った。
しかし、相手は終盤があまり強くなかった(私も強くないが)。
私は敗勢の局面から大逆転勝ちした。
結局この1勝が大きく、私は4連勝で予選を通過した(私に負けた相手は3勝1敗で予選落ちした)。
この当時は定跡をほとんど知らなかったが、常に新しい世界ばかりで将棋を指すのが楽しかった気がする。
今は定跡をたくさん知ってしまい、おかげで勝率が大幅にアップしていると思うが、将棋本来の面白さを半分忘れてしまっているような気がする。

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