今日行われた棋王戦第4局では郷田九段が勝利し、3勝1敗で棋王を奪取した。
久保棋王得意の先手石田流三間飛車に対して、郷田九段が△8四歩から△8五歩と最強の手で応じた。
ここからは先手番にいろんな指し方があるが、久保棋王は▲7六飛を選んだ(第1図)。
(第1図)
この指し方は相手が△6二銀などと弱気になってくれれば、石田流側は十分組めるのでありがたいが、もちろんそうはさせてくれない。
当然△8八角成とされる。
私はこの展開は石田流側にとって、わずかではあるが不満と考えている。
以下、7手目に▲4八玉と指した場合と似たような進行になりやすく、手詰まりになりやすい。
なお、久保−郷田戦では(第2図)のように進行した。
(第2図)
(第2図)は、久保棋王が▲8六歩と突いた局面である。
ここで動かないと膠着状態になりやすく、先手番としては面白くないと思う。
そういう意味もあり、久保棋王は▲8六歩と仕掛けたのかもしれない。
しかし、この仕掛けも居飛車側に正しく応じられると無理気味のような気がしている。
石田流を頻繁に指す私にとっては、できれば石田流側に有利な変化が多いことを望むが、現実はそう甘くはないと考えている。
とはいえ、中盤までは難しい局面が続いていたと思う。
しかし、いつの間にか大差になっていた。
では、久保棋王の指し手で何が悪かったのだろうか。
私の棋力ではよく分からないが、(第3図)の▲9二歩がどうだったのかという気がする。
(第3図)
やはり△8五桂と銀を取られたのは大きすぎるように思う。
終盤は郷田九段が余裕を持って指せる程、形勢に差がついてしまった。
郷田九段にとっては久し振りのタイトル獲得ということもあり、感無量といったところだろう。
また、羽生二冠王や佐藤王将と同様、40代に入っても充実しているところを示した。
一方、久保棋王にとっては、短期間にA級陥落、王将・棋王のタイトルを奪われるという悪夢のような結果になってしまった。
スケジュールが過密だったため、一つ歯車が狂いだすと立て直しがききにくい状況だったと思う。
かなり厳しい結果だが、気持ちを立て直し、タイトル戦などで活躍されることを期待する。

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