図の局面で7四歩、同歩、同飛といきなり仕掛けるのが鈴木流である。
直後に8八角成、同銀、6五角で先手不利と長年信じられていたが、5六角で先手もやれるという見解を示したのが鈴木流である。
他にもいろんな変化手順がある中で、5六角で先手もやれるということを発見したのは素晴らしいことである。
私はこの指し方に魅了され、鈴木流を実戦で何度か試してみたが、対策を知らない相手には簡単に良くなることが多く、楽勝になることが多かった。
しかし、最近は対策が確立されてきており、簡単にはうまくいかなくなっている。
具体的には、5六角以下、7四角、同角、6二金、5五角、4四歩とされると難しいのだ。
この指し方は佐藤九段の「佐藤康光の石田流破り」に載っており、この本が発売されてからはほとんどの方にそう指されるようになり、勝率が落ちてしまった。
それゆえ、最近は鈴木流をやめ、従来からある升田式石田流を指すようにしている。
とはいえ、実際には鈴木流が決定的に悪いという訳ではなく、かりに優劣がついていたとしても微差であり、依然鈴木流は有力な戦法だと思う。

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