大晦日の今日、タイ、ナコンサワン在住の僕にはまったく関係なく、普段どおりの日常をすごしていた。
日課のナン川釣行、今日はどのルアーで、どこのポイントを攻めようか・・・。
そんなことを考えていると、隣町に住む、うちの釣具屋常連客のオー(←名前)が嫁のノックの携帯に電話を掛けて来た。
「近所の野池に釣りに行こう」
とのことだったが、実は1週間ほど前にも誘いの電話があり、
「今クラーイ(ナイフフィッシュ)が釣れている池があるけど一緒にいかないか」
といわれ、勇みまくって準備したもののあっさりスッポカされ、2時間ほど待ちぼうけをくわされた経緯がある。
ただ今回はその時のお詫びがてら、ということで近くのシャドー穴場を教えてくれるそうだ。先日のナイフの池は最近まったく釣れなくなったらしい。(←ホントかなぁ?)
周囲500メートルほどの小さな野池。うちから北東へ10キロほど行ったあたり。オーのうちからは5分でいける距離。
となりの工場を作るときに使う土砂を掘った跡に水が溜まった採掘池であるらしく、魚は洪水の時にナン川から入ってきたものらしい。
なのでここにもクラーイ、そしてプラーカァーオ(学名ワラゴ・アッツー)といった川系の魚もいるらしい。そして一番多いのがシャドーとのこと。
川からの流入、ということで最初は少数派だったと思われるが、一度入ってしまうとその食性、繁殖力はやはりズバ抜けていて他種魚食魚を圧倒するようだ。うんざりするくらい繰り返し口にしていることだけど、人間(漁師)の手さえ入らなければ、ね。
しかしこれだけ国道から近くて、にわか漁師があんまりいないのもまぁ不思議ではある。この隣町あたりは大規模米作地帯なので農作業のほうが忙しいのだろうか?
そしてこれはまたジモティーならではの釣り場であって、なにしろ小さく、そして真四角で、グーグルマップで池探ししたとしても間違いなくスルーするだろう、まさに田んぼ池。
ところがだ、やたらと呼吸にあがってくるシャドー。そしてライズするナイフフィッシュ。
「魚、スゲーいるじゃん!」
さっそくルアーを結び、二手に分かれてキャスト。
そして、ぼくがラインに結んだのはラバージグ。
はぁ!?と思う人が多いとは思うけど、狙いナイフ。だが実はそのナイフとてラバジで釣れたなんて話を聞いたこともない。
オーも盛んに「ライズにあわせてダウンディープ(ラパラの)投げろ」と言ってくる。
が、そもそもディープ系プラグは持ってきてない。強いて言えばメタルバイブくらいだ。
なんでこういうひねくれたことをするか、ちょっと自己弁護のため説明すると、ナイフはナイフでも最終的な目標はやはりナン川のナイフ。もともと「旬の場所に押しかけ」的な釣りが好きじゃないというのもあるけど(←やっぱりひねくれてるかな?)、ナン川でまとまったナイフフィッシュのライズなど見たことがない。
狙ってルアーで釣るとすれば昼間やつらが潜んでいると思われる、チンチクリン(沈竹林)系ハードカバー、しかもボトムでのリアクションバイトにかけるしかないと踏んでいる、というか妄想している。
はえ縄ロープ、捨て網、その他もろもろの複合カバーであるチンチクリンを攻略できるのは、ガード付きヘビーラバージグ、これしかないと最近結論したばかりだったのである。
ちなみにテキサスリグは流れが強いと、いくらヘビーシンカーでも浮きやすいのでちょっとキツい。
というわけで、ポイントもいまいちわかっていない川に比べれば、魚の密度は釣堀レベルのここで、うまくいけばラバジに食ってくるナイフを体感できるかも、という目論見があったわけだ。
というか、もちろんシャドーでもいい。タイの魚、なんでもいいからラバジに反応して、それを釣り上げるという、実体験がほしかったのである。それがないただの妄想だけだと、もし仮に1割でもその手法が当たっていて、惜しいところまで到達していたとしても、きっと自信のなさからチャンスにすら気づかず途中で投げ出してしまうだろうからだ。
さて、またも長文になりつつあるが、能書きはこのへんにしておいて、とにかくバイトを、魚の感触を・・・。
というわけで、この日ぼくが行ったことをひとつひとつ釣り雑誌風に書き綴れば、おそらく5部構成くらいになって、読んでいる人はひとり残らず途中棄権すると予想されるので、その辺はすべて省き、とりあえず結果だけ。

オーの見事な野池シャドー。ルアーはうちの店で買ったサンダルルアー。
「そんなプラーバス用のルアーじゃタイの魚は釣れんよ。ペラ投げろペラ」
職業、隣町郵便局員のオーが、必死で冷静を装いシャッターを押すぼくにキツ〜い言葉を投げつけてくる。
そ、そんなにイジめないでよ・・・プリーズ。

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