…としか見えないこの写真ですが、以前あるコンサートの後、バリトンのレオナルド・ガレアッツィと私が将来の清らかな夢を語り合って盛り上がっているところです。酒席の写真ですので、お見苦しい点はご容赦。
彼と知合ったのは、2005年イタリアはシチリア島、タオルミナの野外劇場にてオペラで共演した時です。私がイタリアでオペラに出演したりするのは、実は仮の姿、というのは半分冗談で半分は本当です。つまり、歌手の一人という立場で、将来日本に招聘するのに良い歌手や指揮者・演出家はいないか探っているのです。
彼はまず、そもそも日本でも稽古場に一番乗りのダイスキなこの私を差し置いて、初顔合わせに最初に到着。その後の稽古でも常に私と一番乗りを争いました。まずこの「時間に正確」ということは、日本に招聘することを考えると、とても貴重な資質です。(逆に、時間にルーズなアーティストには招聘側がどれだけ泣かされるか、想像してみてください。)
稽古の間中、一貫して彼は真摯であり、また常にムラのない歌を歌い、自分の出番のない時には他のレパートリーをさらい…日本人の持つ、「大雑把なイタリア人」という偏見は、彼にはまったくあてはまりません。楽屋での冗談は、イタリア人ならではの愉しいものでしたが。
もちろん本番は、的確な歌唱と演技できっちりと仕上げていました。
そして今夏、ローマで彼に会ったのですが、やはり時間より前に、待ち合わせのホテルの入り口に立ったまま私を待ってくれていました。(中でコーヒー飲んで待ってろよ、レオ、俺が呼びつけたんだからさあ)
…そういえば彼の声そのものをまだ褒めていませんでした。でも招聘する私がいくら褒めても疑わしいですよね。今は彼がスポレート歌劇場で「フィガロの結婚」の伯爵、トレヴィーゾ歌劇場で「コシ・ファン・トゥッテ」のグリエルモ、そして今秋はAS.LI.CO.の「トゥーランドット」のピンを歌ったことだけお伝えします。いきなり大スターにはならないかもしれませんが、実力を認められ、イタリアでの若手として堅実な道を進んでいるのです。
次回来日、新潟りゅーとぴあでの本番は3月22日、ソプラノのチチリエッロ、テノールのアンドレオッティと共演します。
その後東京で数回のコンサート出演を予定しています
「お前はいい奴だ。歌もいい。お前にたくさん歌って欲しい。俺はそのために頑張る。」と言いつつ彼と撮ったのが上の写真なのですが、そうは見えない…
私の「人徳」でしょうか。