さて、それでは写真と共に2010年4月東京オペラグループのコシ・ファン・トゥッテ公演をふりかえろう。

哲学者ドン・アルフォンソと、若い二人の軍人、フェランドとグリエルモ。
アルフォンソは、若者が自分たちの活力を鼻にかけ、自分の女は決して浮気しない、と思い込んでいることが気に入らない。
三人は朝のカフェで議論となる。
(二日目キャスト)

自分達の恋人に限って、心変わりはしない「はず」だと言う若者達に、その論拠は何かと「問う」哲学者。まさに「啓蒙主義」発露。
(初日キャスト)

アルフォンソは「啓蒙主義哲学者」。それも学者にありがちな、若者への悪意にみちている。若者達をカッカさせた挙句、彼らの大好きな「賭け事」に引きずり込む。
(初日キャスト)

人生下り坂の男に何がわかる、と言わんばかりの若者達。
(二日目キャスト)

かくてアルフォンソは、若者達の恋人の貞節を賭けの対象として、
彼らと話をつけるのであった。
アルフォンソは、他人が結果的に不幸になると確信しつつ、賭けに引きずりこむ、そういう男である。
マッド・サイエンティストの元祖か?
(二日目キャスト)