
8月21日、ヴェローナ近郊のコルビオーロでコンサートに出演しました。出演者はイタリアのソプラノ、メゾ、テノール、そして私、それにピアノのマエストロと、ホスト役のイタリアオペラ界のVIP。山の上の小さな会場での公演ですが、すでに19年目となるシリーズで、私以外の出演者のレベルは高く、それに聴衆の熱気溢れるものでした。
ホスト役の力でしょうか、出演者はリハーサルから100パーセントの力を出し、本番も物凄い集中力、また客席にはヴェローナ野外劇場で活躍したヴェテランや、今シーズン出演中の歌手たちもちらほら。出演者にとってはVIP氏へのアピールの場であり、近在のオペラ・ファンが集う客席にとっては今後野外劇場に出演しそうな(実際既に出演している歌手もいました)歌手の品定めの側面を持つ、異様な盛り上がりのコンサートでした。私も久しぶりに震えるほどの緊張感で本番を楽しみました。ヘンデルとヴェルディのアリアを一曲ずつ歌ったあと、ぶっつけ本番のインタヴュー(!)、そしてアンコールに私の出身地鳥取県の民謡「貝殻節」を歌い、好評を得ました。
最後に、ステージ下に飾ってあった土地の名産品の詰め合わせを頂いたのですが、翌々日に日本に帰国せねばならず、(泣く泣く)イタリアで世話になった友人に置き土産としました。
写真でお分かりになるように、小さな、200席の会場ですが、燃える聴衆、自己の最高を発揮しようとする出演者、そして全体を包む一体感のある、素晴らしいコンサートでした。ああ、歌い手になってよかった!と言える、素晴らしい経験でした。