東京の内幸町で、
「地域包括ケアと災害〜熊本地震から学ぶ〜」
という催しがありました。
毎年、地元で開催している「くらしの講演会」で、防災・災害医療を取り上げたいと思っていたので
勉強をしに行きました。
私の中では、地域包括ケアと災害の関連についてイメージできていなかったので
その点も興味があったので出かけました。
熊本地震では、震災関連死とされた方の人数が、
地震が直接の原因でなくなった方の3倍を超えているとのことです。
この日登壇されたNPO法人み・らいずの枡谷礼路理事が
「命が助かった後には暮らしがある」とおっしゃっていましたが、
これは災害時も、平常時も、同じなんだと思います。
そして災害時には生活環境が大きく変わるため、
平常時に健康だった人も病気になったり、介護が必要になったりします。
一方で、ケアやキュアを提供できる人の数は減ってしまう。
そこにどのような形で、被災地に来てくれた人たちのマンパワーを入れていくのか。
そのような議論がされていました。
専門職の方々のディスカッションを聞きながら思ったのは、
一般の人は災害時にどのようなニーズが新たに発生するのか
イメージできていないということです。
けが人が大量に発生する
避難所での生活が長期化する
エコノミークラス症候群になりやすい
と言った大まかなイメージはあっても
日常生活の変化に適応できない高齢者が要介護状態になったり
(つまり、今元気な高齢者が「災害があったら自分が要介護状態になるかもしれない」と想像したり)
今までは通院できていた軽度の医療的ケアが必要な子どもさんが、うまく医療の支援を受けられずに悪化したり
(つまり、いつもかかっている医療機関にかかれなくなったら、この子の治療を誰にどのようにお願いできるのかを親御さんがシミュレーションする)
といった
もしも自分が被災して、避難所暮らしが長引いたら、具合が悪くなる可能性があるのか
とか
自分の家が半壊状態で、そこで暮らし続けたら、どんな支援から漏れてしまうのだろうか
とか
自分のくらしの延長線上に、災害と言う非日常を思い描くことはしてなかったな、と思ったんです。
印象的だったのは、熊本在宅ドクターネットの田島和周氏のお話で
熊本の地震が起きる前に、在宅で人工呼吸器を使っている患者さんなどには
非常時の際にどうしたらよいか予め計画を立てていた。
実際には想定以上の災害だったので、計画通りにはいかなかったけれど
計画を立てていた人たちは自分の頭で考えて、行動することが出来た
と言うお話です。
イメージをしておくこと。
それが、いざという時にはそのままではなくても役に立つ。
そのことを改めて思いました。
防災訓練と言うと、大量にけが人が発生した時を想定した訓練をしているところがほとんどですが、
命が助かった後の暮らしのために
何を心がけたらよいのか。
地域でどのようなネットワークが用意されていればいいのか。
そのようなディスカッションも、大事な防災だと思います。
災害によって分断されてしまう日常の生活を
どうやって取り戻していくのか、非日常の中で日常を取り戻すための視点。
そこまで来て、やっと、私の中で「地域包括ケア」と「災害」が重なってきた気がします。
勉強を終えて、花曇りの日比谷公園と千鳥ヶ淵を散策しました。
まだまだ消化できていないことがたくさんある勉強会でしたが、
地元での暮らしの講演会に活かしていけたらと思います。

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