「コミュニティヘルスのある社会へ」をテキストに開いている読書会。
11月8日は著者の秋山美紀先生を講師にお迎えして
テキストの1章に書かれている「健康」と「ヘルス」、「地域」と「コミュニティ」等をテーマにお話を伺いました。
ここでは、特に「健康」についてお伝えしますね。
普段私たちは「健康が大切」と言いますが、
さて、その「健康」ってどういうこと?と改めて考えてみると
WHOの定義も時代とともに変わり
私達がテーブルで話し合った時にも、
「心が健康なら、体が病気やけがをしていても耐えられるけれど、
逆のパターンはなかなかしんどいよね」
「心の健康、大事だよね」
といった話が出ました。
この写真にある図は、ICFと言って、
健康状態、あるいは変調・疾病の状態を3つの生活機能と2つの背景因子によって成り立つと考えたものです。
3つの生活機能とは、
心身機能・身体構造:例えば、片足を切断した状態を考えますね。
活動:これは生活上の動作です。片足の状態で、できること、できないことが考えられます
参加:本人が、地域社会や、人間関係等にどのように参加するかをみます。
背景因子は環境因子と、個人因子があり
環境因子のほうに、バリアフリーとか、各種補装具等も含まれます。
個人因子は、その人自身の性格や、価値観など固有のものが入ってきます。
そして、これらの5つの要素は、おたがいに影響しあうという所が、このICFのミソ。
体が不自由で活動が制限され、参加の機会が少なくなるという流れは、このICFが考え出される前の
ICDHという考え方にもありましたが、
実は、参加の機会が少なくなれば、活動しなくなり、体が動かなくなる、といった逆方向もあり得ます。
入院が長引くと廃用症候群になったり、震災の時に避難所であまり動かないでいたら、健康状態が悪くなったり、といった話を聞いたことがあると思います。
そして、そこに環境や個人の持つ因子がプラスに働いたり、マイナスに働いたりすれば、この人の機能も変わってくる、と言うものです。
印象的だったのが、エレベータ―のお話。
エレベーターを使わないと、階段の上り下りなどができない人にとってはプラスの因子。
でも、階段の上り下りができるのに、エレベーターを使ってばかりいると、身体機能が衰えてしまうので、そういう場合にはマイナスの因子になります。
この図は、高齢者も障害者も治らない疾患を抱えて人も子供も若者も、すべての人が自分らしく暮らせるために何が必要なのかを見つけるときの「窓」になるなあと感じました。
つまり、
高齢化社会、成熟社会における「健康」とは、
身体や精紳等の「完全な状態」を目指すのではなく、
「生活の全体像をとらえ、失ったマイナス面よりも残されたプラス面を見ながら、その人らしい生き方を最期まで実現していくこと」
これは秋山先生の著書に書いてあったのですが、こうして改めて具体的な例を図に当てはめて考えていくと、なるほどなあと実感できました。
血圧や血糖値など、様々な数値があります。
それらが「異常でないこと」が健康なのか、それよりも、本人が感じる幸福とか主観的なもののほうが、健康に大きな影響があるのではないか
といったところから、
そういう主観的な幸福感は、何があるとえられるのか?と言うお話も…
ところが、私がいたグループに大学生がいたのですが
ネットの世界でのバーチャルなお付き合いをメインとしている若者の場合、
これがそのまま当てはまるのだろうか、といった議論も起きました。
この幸福感を支える条件、時代とともに変わるものと、変わらないものがあるように感じました。
皆さんは、どんな時、幸せだなあと思いますか?

1