私はつい最近まで、イタリアの精神医療・保健について全く知らなかったのですが
たまたま今年聴講している大学院の講義で初めて「バザーリア」という言葉(後から人の名前だと知りました)を知り、
なんだかイタリアではすごいことをしていて、それを研究している人が日本にいるんだな、と理解をしました。
そしてまた、これも別のご縁から、千葉県の旭中央病院で
地域精神保健医療福祉フォーラムがある、とお誘いをいただきました。
チラシがとっても美しかったのと
イタリアンのランチをいただける(しかもランチタイムが2時間)のとに魅かれて
片道1時間の道のりを、こわごわ車で出かけていきました。
本当に大雑把にいうと
イタリアでは大きな規模の精神病院がたくさんあった時期がありました。
ところが1960年代から「脱施設化」の運動が広がり、
1978年に画期的な法律ができて、
大きな精神病院は次第に廃止され
総合病院の中に精神科病棟ができました。
これだけだと、入院先が変わっただけのように思えますが、
地区社会保健単位ごとに精神科治療について地域にサービスをセットで作ること
精神科病棟は、地域サービスと関連したものであること
など、地域に開かれた病院、病棟を目指すようになりました。
講演を聞いた感想を簡単に…
一番インパクトが大きかったのは、”みんなでやろう!”という取り組みと、そこから生まれたUFE(イタリア語でウッフェ)という人たちの働きでした。
まずは利用者(患者)とその家族を、治療の道筋、精神保健局が進めるすべての活動、関係するグループ、仕事のすべての領域にできる限り巻き込んで、家族と職員と市民は一緒に働くことを学んでいく事から始めました。
そこから、患者でありながら、「先輩」として患者の相談相手や支援、患者が暮らす施設の当直管理等のしごとを担うUFEが誕生したとのことです。
今では、UFEは患者が入院する医療機関のスタッフの一員として働くこともあり、
患者から頼りにされているのはもちろん、患者の身になって医療スタッフとの間を取り持ってくれるので医療者からも頼りにされている、とのことでした。
UFE自身、現在治療を継続している方々で、こうした働きをすることがUFE自身の癒しにも良い効果をもたらしている、というお話でした。
日本の精神医療と簡単には比較できませんが、様々な人が精神疾患をもっている方に関わることができていることが印象に残りました。
ランチに頂いたお料理も、地元の食材を生かして、地元の人たちが協力して作ってくださったとのことで
とてもおいしかったです。
午後からの、医療者や、当事者家族の会をはじめ様々な地域活動をしている方々のお話もとても興味深かったです。
最後の方で、ちょっと精神科治療におけるお薬について質問をさせていただきました。
イタリアでは、ドクター、ご本人のほかに、UFEやご家族も一緒になって、薬の効果や飲み方、気をつけることなど話し合って
本人が納得して薬を飲むことができるようにしていくのだそうです。
日本では一人にかける診察時間も限られているし、たいていは患者と医師の1対1で、薬の種類や飲み方を決めていきます。
時間と、人手をかけている
(必ずしも、プロだけではなく、いろいろな人たちが関わっている)からこそ、
イタリアでは地域で精神疾患を抱えた人も暮らしていけるようになったのかな。と感じました。
こちらは、そのイタリアの実話をもとにした映画のページ。
関心のある方は、是非ご覧になってくださいね。

2