昨日は、「地域の医療と健康を考える会」にお招きをいただき、
「橋を架けよう」と題してお話をさせていただきました。
内容は、NPO法人地域医療を育てる会の活動について
医療者と患者、市民との間にコミュニケーションの橋をかけるという視点から
お話をさせていただきました。
参加された皆さんは、大変熱心な方たちばかりで
質疑応答の時間になって
「ご質問は」と司会の方がおっしゃると
次々に手が挙がりました。
「病院の勤務医が足りないというが、私の甥っ子は病院に勤務していて
『医師の数が足りないのではなく、偏っているのだ』と言っている。
実際はどうなのか」
という質問がありました。
これに対しては、医学生の方がいらして、大学病院の人手不足や市中病院の様子などをお話してくださいました。
次の質問が奥深かった。
「『医師の数が足りない、医師を増やせ』と言うが、
それでは日本における適切な医師の数とは何名なのか」
です。
先進国の国民の人口と医師の数を比較したグラフがよく引き合いに出され、
『日本はOECD加盟国の中で下から何番目』といった説明を聞くことが多いのですが、
「それでは、数の上でどの程度をよしとするのか」
というお話しは、藤本、聞いたことがありませんでした。
これは、「
日本ではどのような医療を施していくのか」という論議が必要で、
極端な例ですが
とにかく寿命を長くするためにありとあらゆる薬と治療を施す場合と
多少寿命が短くなったとしても、本人が楽に息を引き取れるようにする場合とでは
必要なスタッフの数や、施設設備、医療費もちがってくるわけです。
また、いまは不安を解消してもらうために医療機関にかかる人も多く、
たとえば
昨日のページに書いたような「こども急病電話相談」によって
相談した人のうち 約8割は夜間に病院に行かなくても済んだケースだったとあります。
独居の高齢者なども、自分の体調の変化に不安になって救急車を呼ぶケースが多いと伺いました。
こうした「相談できる相手」「いざと言うときに頼りになる近所の人」
といった、医療以外の部分でカバーできることについて
何らかの対策を立てていくことも必要でしょう。
こうしたことを考えていく必要があるのだな、と改めて思いました。
ですので、「医師数を増やせ」という主張をする人には
「こうした医療を施す国にしたい」
「そのためにこれだけの人的な資源が必要」という説明もしていただけたら・・・と思います。

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