旭中央病院のドクターからお知らせをいただいて、
病院の虐待勉強会に参加しました。
対象者は救急隊の方たちなので、会場は男性一色。
(入るときに迫力を感じました。)
講師の先生は旭中央病院の新生児科の仙田昌義医師でした。
子供の虐待について、その歴史、防止のための法律、虐待の種類などのお話から始まり、
救急隊の方が実際に「虐待ではないか」と判断するための基準としてどのような兆候に気をつければよいかというお話がありました。
そして実際に虐待が疑われる場合は、どこに、どのように連絡をすればよいのかなど、救急隊の方が実際の行動に移すために必要なポイントが説明されていました。
児童虐待の防止などに関する法律では、
第6条に
児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに、これを市町村、都道府県の設置する福祉事務所若しくは児童相談所又は児童委員を介して市町村、都道府県の設定する福祉事務所若しくは児童相談所に通行駆使なければならない
とあります。
虐待ではないか、という疑いを持った人は、誰でも、通告の義務があるのです。
権利ではなくて、義務なんですよね。
また、実際に虐待を受けて病院に運ばれたお子さんと、その親御さんとドクターのやり取りも紹介されていました。
子供がどのような状態だったか、そして医療スタッフがその子の命を救うために一生懸命だった様子。
その一方で、虐待が疑われる場合は児童相談所への通告をし、そのことを親御さんに伝えるわけですが、
この親御さんとのやり取りが実に大変だということ。
「虐待の疑いがあるので、児童相談所に通告しますよ」といわれて、
「はい、よろしくお願いします」という親はいませんよね。
このときも、親御さんとのやり取りは3時間に及んだとのことで、同席した研修医は「こういうこともしなくてはならないのなら、自分は児童虐待とはかかわりたくない」とおっしゃったとのことでした。
かなりハードなお仕事だと思いました。
講師の先生も、「絶対に一人で抱え込まないこと」とおっしゃっていましたが、
懸命に救おうとした命が亡くなり、今度は親の罵声を浴びながら根気よく話を進めていく。並大抵のことではありません。
ネットワークが必要だと痛感しました。
一方で、予防にも本腰を入れなくてはと思います。
講演会では、そのお子さんの顔は分からないようにした上で、治療の様子や皮下出血、凍傷のあとなどがスライドで紹介されていました。
虐待が起こってから、発見されるまでの、長い時間
このお子さんはどんな思いですごしていたのだろうかと思うと涙が出ました。
虐待は、見つけるものではなくて、予防するものだとつくづく思います。
親にとっても、子供を虐待してしまうような状況になる前に、周囲のサポートによって子育てに幸せを感じられるようになるなら、こんなにすばらしいことはないと思います。
旭中央病院の中で、虐待対策チームを作る際に「家族支援チーム」というネーミングにしたそうです。
「虐待対策では言葉がきつい」という意見から、そうなったとのこと。
これは、理念の面から考えても「虐待対策」ではなくて「子育て支援」「家族支援」というスタンスで行くべきだろうと私は思います。
プレゼンテーションのあと講師の先生と少しだけ、お話しする時間に恵まれました。
これからは、医師は地域に出て行かなくてはならないこと。
そして虐待は起こる前に防がなくてはならないこと。そうした事を先生もおっしゃっていました。
声を上げることが出来ない子供たちのために、おとなである私たち一人ひとりが、出来ることをしていきたいと強く思った日でした。

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