人工栄養 初の指針案
厚労省研究班
「使わない」選択肢も提示
口から十分な栄養や水分をとるのが難しくなった高齢者に栄養を送る人工栄養法について、厚生労働省研究班は4日、導入までの手順や考え方を定めた指針案を公表した。
生命維持効果が少なく、患者に苦痛があるだけの場合、患者本人や家族に導入せず自然な死を迎える選択肢もあることを示し、導入後に中止や減量できることも盛り込んだ。
一般からも意見を募り、日本老年学会が来春にも指針として完成させ、医療・介護現場で活用してもらうことを目指す。
代表的な人工栄養法で、おなかの表面に穴をあけて胃にくだを入れて栄養を送る「胃ろう」は現在、推定40万人が導入している。
近年、高齢者の体に負担や苦痛を伴い、人工的な延命につながりかねない場合もあるとの指摘が出ていた。
研究班の作業チームは、患者や家族が最善の選択をできるよう、医師や看護師、ケアマネジャーら医療・介護従事者向けの手引きが必要だとして初めて指針の試案をまとめた。
試案では、生命維持の効果がない場合だけでなく、
維持できても苦痛を与えるだけで、本人の人生に「益」とならなければ、人工栄養法を導入しない選択肢もあることを、患者や家族に示すとの考え方を示した。
苦痛もなく次第に衰え、自然に死に向かっている時は導入せず、口から可能な限りの水分や栄養補給などにとどめるとしている。
一方で本人の残された能力を改善でき、
よりよい生活が実現されそうな場合や、
家族も本人の人生がもう少し延びることが本人の人生にとってよいと考える場合には「導入が適当」とした。
試案と意見の送り先は作業チームのウェブサイト
http://www.l.u-tokyo.ac.jp/dls/cleth/guideline/index.html
(2011年12月5日 朝日新聞より)

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