新年は寒ければ寒いほど粛々という形容が良く似合う。
行きかう人の息の白さまでが新年の新たな気分を盛り上げてくれるような気がするから。
空に枝をいっぱいにのばした木々が幾重にも重なり合って静かに社を囲んでいる。
海辺にあるこの神社は普段はとてもひっそりとしているのに、正月は違う。
小さな境内の砂利を踏む音も途切れることはない。
お参りをし、福笹を買う。
ただそれだけの初詣にすぎないけれども不思議に気分があらたまる。
門松は冥途の旅の一里塚 めでたくもあり めでたくもなし
世をすねたせりふのようだが、何度も噛みしめると、人生というものの辛味がじんと利いているような一休の狂歌。
初詣の帰りに頭に浮かんだ歌だ。
更に
年々歳々花相似たり 年々歳々人同じからず
新しい言葉ではないこんな古い言葉が、今年はなぜかずしりと胸に落ちた。

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