紙は水なり
和紙・・・主張してはいるが地味。
手に取るとしっとりとして優しい感触、それでいてすこぶるしたたか。
「夫、紙は水を以て制す。古人曰く紙水一斗を損すといへり、一紙の紙といへども、水一斗を損して、白紙となる。」
紙は水なり。
きれいな水をいく度もくぐってきて初めて水の滴るしなやかな紙ができる。
型のない水がかたちとなって生成してくる。
目に見えるものすべてに、必ず目には見えない本質的なものが隠されている。
紙は水なり。
見えるものが隠している目には見えないものにふと触れたとき人の記憶を動かすのではないか。


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