南海電鉄・汐見橋線の次に訪れたのは、南海本線羽衣(はごろも)から分岐するミニ支線・高師浜(たかしのはま)線です。
およそ半世紀前、大阪在住の叔父に「タカシ君、タカシの浜に海水浴に連れて行ったるで」とからかわれ行ったことがありました。そんな馬鹿な場所はないと思ったのですが、「隆の浜」じゃなくて「高師浜」だったのですね。万葉の時代から歌にも詠まれた由緒ある高師浜。おぼろげな記憶では、高師浜ホームの脇まで砂浜だったのですが、今はどうなっているのでしょう?
羽衣で乗り換えるのですが、下りホームから高師浜線ホームまでは異常に距離がありました。いったん難波方面の上りホームにでて、和歌山方面へ延々と進みます。
「高師浜線なんて、物好きに乗らんでもええがな」と言われているみたいです。やっとのことで高師浜線ホームにたどり着いたときは約20分に1本の電車は発車が迫っていました。

汐見橋線と同じく、ワンマン電車2両編成で、車内も空いていましたが、住宅地の路線らしく明るい雰囲気。汐見橋線のようなわびしさはありませんでした。
発車すると右にカーブして高架線になります。住宅地の中をゴトゴト進むのかと思ったら、さっそうとしています。

遠くに工場地帯が見えます。地図を見ると、海岸は埋め立てられて、浜辺などどこにもないのです。
伽羅橋(きゃらばし)という妙な名前の駅に停まったら、今度は左へカーブして、あっけなく終点・高師浜。所要時間わずか3分でした。

まわりは完全な住宅地。砂浜などどこにもありません。しかも高架です。

地上に降りてみると、無人駅のようですが、しっかり自動改札機がありました。田舎の駅によくあるようなタッチだけして、扉がない簡易式のものではありません。

ところで、この日は南海電車と阪堺線に乗り放題の「堺・住吉まん福チケット」という磁気カードを持っていたのですが、南海電車は浜寺公園より南は圏外です。したがって、150円精算しなくてはなりません。「まん福チケット」は磁気カードですから、自動精算機に挿入すれば、精算できるものだと何の考えもなく思ったのですが、受け付けてくれません。
じゃあ、しょうがない強行突破しようか、いや不正はいけませんから賽銭みたいに150円置けばドアあけてくれるかなと思ったのですが、頑としてドアが閉じて出られません。
「どないしてくれんねん。ほんま、どついたろか」と改札機をどついたところで、どうにもなりません。
よく見ると、「お困りのときはブザーを押してください」と小さく書いてあったので、ブザーを押してみました。すると駅員の声がします。何だ、いるんなら出てこい!と思ったら、羽衣駅の駅員ですと仰いました。
事情を説明すると、遠隔操作で精算機を稼働させ、150円入れてくださいとの指示。素直に従うと、精算機から精算済みチケットが出てきて、それを自動改札に入れると、無事外へ出してくれました。南海電鉄大したものですなあ。JRだったら、簡易式ですから、精算しないで出てしまう人も多いでしょう。無人でもしっかり取るものは取る。さすが商売上手です(笑)
ところで、高師浜駅ですが、古い駅舎なのに洒落ています。南海の駅には浜寺公園駅みたいに有形文化財の駅舎がありますが、この駅も風格があり立派です。

玄関の上にはステンドグラスまであるのですよ。

波頭にかもめでしょうか?海水浴場の駅だった名残のようですね。まわりは、住宅地でコンビニひとつないようです。めぼしい場所はないのかな、と思ったら、歩いて数分のところに府立臨海スポーツセンターがあると看板があったのでぶらぶらでかけてみました。

これが海水浴場の代わりなのでしょうか?大きな施設でしたが、レストランとかカフェーは見つからず、あきらめて駅に戻って次の目的地を目指しました。

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