ゴスペルと私
『もりしげくん、きみ、いつも、楽しんでる俺
の楽しみをぶち壊すような話をするよなぁ。面白
いことをしている俺の心、つまんなくなるじゃ
ん。いやな気持ちにさせてくれるよねぇ。気分悪
いし…。』私は、そう言われてるかもしれません
ね。確かに私は、そんな話を持ち出すそんな男で
す。それは、私もよくわかっているのです。でも、
私はどうしても話さなければならないのです。そ
のぶち壊された楽しみの向こうに、つまらなくな
った心の向こうに、いやになった気分の向こうに、
私のせいだけじゃなく、何をされても、何が起こ
っても、たとい、天地がひっくり返ったとしても、
それでも、ぶち壊されない希望があるからです。
マジです。ゴスペルです。
PPM
この夏も、シアトル経由で帰宅。今回で3回目
になるシアトルのいつものホテルに入って、また
iPad(コンピューター)でビデオを見ていました。
(旅での移動は、私のリラックスできる好きな時
間なのです。)すると、PPMというアメリカの
フォーク・グループが出ました。皆さんは、その
グループの名前を聞いたことがあるでしょうか?
もう大昔のことです。
PPMというのはメンバーの名前の頭文字で、
最初のPはピーター、次のPはポール、Mはマリ
ーです。3人とも新約聖書に出てくることで、ア
メリカではごく一般的な名前です。最初のビデオ
は 2016 年1月のピーターとポールだけのビデオ
でした。マリーはすでに亡くなっていました。
2人の歳はいくつだろう? 80 くらい? ピータ
ーは、本当に『おじいちゃん』って感じでした。
彼が大学生の時、友達と一緒に書いた歌のことを
話していました。
その歌は『パフ』(ザ・マジックドラゴン)と
いう歌です。ベトナム戦争が激化し始めた 1962
年頃から、PPMは、この歌をよく歌うようにな
り、全米で大ヒット! 当時、『生きるって、やっ
てられねーぜ‼ 』そんな時代 ? で、多くの麻薬が
流行りました。その中の1つがマリファナです。
それはタバコのようにふかすのです。パフ(puff )
という言葉は、タバコをふかしたりする動作の意
味もあります。それで、多くの人は、この歌の『パ
フ』というのは、マリファナのことだと思ってい
たようです。しかしピーターは、『それはマリフ
ァナではありません。この歌を書いた時、私の行
っていた大学には、マリファナは、まだありませ
んでした。』とビデオの中で釈明していました。
私の映画の一部(高校時代)
(公にする映画では、自分の悪い部分や、恥ずか
しい部分は、全くと言っていいくらい見せないの
です。笑。)
私が高校に入ったのは 1966 年です。2年生に
なった時、近所の友達の英ちゃんと松村君、それ
に山内さんと私の4人でバンドを作ったんです
ね。当時、私たちの通っていた田舎の高校でさえ
も、アメリカのフォークソングが流行っていて、
他にもバンドがいくつもあった。たまげるでしょ
う! 一級上の田中さんは、何と! バンジョー
を持っていた! 今でも覚えている。丘の上にあ
った校舎までは、『心臓破りの坂』を上らなけれ
ばならない。ある日、その校門のところで、田中
さんが黒くてでかい楽器のケースみたいなものを
持っていた。『それ何ですか?』『バンジョーだ
よ。』『どうやって弾くんですか?』すると、赤ら
顔で目の細い田中さんがニヤニヤしながら、『ま
だ、弾けんのいや。』と…。
そういう時代だったんですね。現在 60 代から
80 代の方で、今も音楽をやられている方の多く
は、その頃にギターを始められたのじゃあないで
しょうか? 『俺もそうだよ!』って、聞こえまし
たかね? 笑。
その頃すでに、PPMはアメリカで反戦歌を歌
う人気グループになっていて、彼らの歌は日本で
も聞き始められました。それで私たちは、『PP
Mのようにやりたい』で意見が一つに。私は早速、
ソノシート(薄い赤色のプラスチックに録音され
たレコードのようなもの)と楽譜がついた本を買
いました。かっこいいなー! どうやるんだろう?
そのようなワクワクした気持ちでその楽譜を見な
がら、また、ソノシートを聴きながら、彼らのコ
ピー(まね)をしました。松村君はベース。でも、
ベースがないので、ギターで低い音を弾きました。
英ちゃんがピーター、山内さんがマリーで、私が
ポール。
最初にやった歌が、なんと! 『パフ』です。今
でもよく覚えてます、事細かに説明されたギター
の楽譜を見ながら、右手の指3本で弦をつまびく
のです。最初の指のパターンの動きができた時
の感動と嬉しさ‼ でも、なかなか曲にならない。
何度も何度も何度もやっているうちに弾けるよう
になった。楽しかったなーー! 懐かしいなーー!
1967 年でしたか、PPMが来日し、広島でコ
ンサートが開催された時には、英ちゃんと松村君
と私は、学生服で見に行きました。遠かったー。
私たちの席は、はるか後ろの方で、ステージの3
人は『チッチャーー!』く見えたけど、声と音楽
はよく聞こえ、『その感動たるや、幾何ぞ!』家
に着いたのは遅かったなー。
『パフ』
ホテルで次に見たビデオは、PPMのグループ
結成 25 周年記念コンサートでした。彼らはその
ステージで『パフ』を歌いました。私が高校生だ
った時は、歌詞の意味をはっきり知らなかったの
で、歌の内容はあまり考えていませんでした。
その内容は…、いつまでも歳を取らない魔法の
竜のパフと、そのパフが大好きだった男の子のジ
ャッキーとの物語です。ジャッキーは幼い時から
パフといつも楽しく過ごしていました。しかし、
ジャッキーがだんだん大きくなっていき、パフよ
りも他のものに興味が移っていき、パフのことは
どうでもよくなったのです。そして、ある晩から、
ジャッキーは、二度とパフの所に帰ってきません
でした。パフはがっかりして、1人寂しく自分の
洞穴に帰っていくという、悲しいストーリーです。
時がたつにつれ、私たちの興味や願い、また、大
事にしているものが、どんどん変わっていきます。
満たされない心は、次から次へと楽しみを求め、
大事だったものを忘れていく、そのような寂しい
歌に思えました。聞いてたみんなにとって、初め
て聞いた時から、25 年たって聞くその歌の歌詞
には、多くの気持ちや思いがあるでしょう。
折り返しのところで、PPMは、みんなに一緒
に歌うように促しました。会衆は、それに応えて
コーラスの部分を歌い始めました。そして、4番
の寂しいところを歌い終えた時に、会衆はシーー
ンとなって、涙さえ浮かべていました。その時、
この歌が、人生は悲しくて寂しい、何か、そのよ
うなものだということを、人々に感じさせていた
みたいです。そんな気がしました。本当の希望が
ないのです。そして、そんな会衆を奮い立たせる
かのように、また、折り返しのところを、PPM
の3人は、会衆と一緒に大声で歌いました。
『風に吹かれて』
この歌も歌いました。『風に吹かれて』(Blowin’
in the wind)。この歌はボブ・ディランの歌です。
1番を訳すと、『男は、どれだけの道のりを歩い
たら、一人前の男って呼ばれるんだよぅ? あの
白い鳩は、どれだけの海を渡って飛んで行けば、
砂浜で休めるんですか? 大砲が永久に禁止され
るまでに、どれだけの大砲の弾が飛ばなきゃなら
ないんだろう?』そして、コーラス部分です…。
そのコーラスの部分になった時、3人はまた、
会衆に、自分たちと一緒に歌ってくださいの動作
をしました。すると、会衆も一緒に歌い始めまし
た。「友よ、その答えは、風の中だよ。答えは、
その風の中に吹いてるんだよ。」と。みんなは、
PPMが大好きです。会場には、子どもも大人も
おじいちゃんおばあちゃんもいました。大人や年
寄りは、ベトナム戦争の頃に聞いていたこの歌を
よく覚えているのです。そして、大好きだったP
PMが、今、目の前で歌っているのです。しかし、
3番のコーラスの部分になった時、またも声は小
さくなり、寂しく悲しい風が、会場に吹き渡った
ようでした。涙している人もいました。ビデオを
見てた私も泣きそうでした。
しかしPPMは、もう一度コーラスを歌いまし
た。今度は、力を振り絞って、力強く歌いました。
ステージの3人と一緒に大きな声で歌ってる会衆
は、あたかもPPM が風の中に吹いている答え
を持っているかのような、そんな目で、ほほえみ
ながら彼らを見て、一緒に歌っていました。その
空しさを、吹き飛ばそうとしてるかのように。
無くならない望み
私はこのレターを誰に当てて書いているのでし
ょう? 昔を思い出しながら、長ーーい時を歩い
てきた今の自分を見る時、なんか満たされない、
寂しくて悲しい気持が、心のどこかにあるのを、
私は人々に感じていただきたいのです。それは、
人生が終わってしまうという悲しい気持ちでしょ
う。パフの歌の最後のところでみんな悲しくなり
ました。それは、人が、いくらパフと楽しくやっ
ていても、最後には、いつまでも生きない人間は、
どっか行ってしまって、いなくなるのです。1人
寂しく生き、死に向かうのです。そして、『死の
日の戦いから放免されるものは誰一人いないので
す。』
しかし、それは神の恵みなのです。まだ、考え
る時があります。今です!
人生はハッピーエンドじゃないのです。しかし、
人はみんな、ハッピーエンドが好きです。いつも
嬉しく、喜んでいたいのです。すべての人はそれ
が欲しいのです。ハッピーでいたいのです。終わ
りもハッピーであってほしい! それを望まない
人がいるでしょうか。しかし、人が真剣に終わり
を考える時、どうしても悲しいのです。なぜでし
ょう? それは、本当のハッピーエンドを知らな
いからです。
人は死ぬことで、この世からいなくならなけれ
ばならないのです。それは自分が本当に願ってい
ることではないのです。そして、それに対して何
もすることができないのです。もう一度言いま
す。『どうして悲しまなければいけないのでしょ
う?』それは、人が、イエス・キリストの愛の中
にある、なくならない希望、なくならない喜びと
平安、なくならない永遠の命があることを知らな
いからです。だから、悲しいのです。(ヨハネ3:
16)心一つで、それらすべて
は、あなたのものです。
今年もセミです・・・
30 〜 40 分、早歩きをして、
汗だくで、家に着くチョット前です。
死んでると思った。
セメントの上で仰向けになって動かない。
その動かない足に、人さし指で触れたら、しが
みついた。生きてるじゃん。嬉しい!
持ち帰り、台所の流しで手を濡らし、雨みたい
にパッパッと優しく身体中に。顔には、いくつか
ポタポタ垂らす。
ゆっくりと私の顔の前 20 センチくらいのとこ
ろまで上げてきて、上から目線じゃない! ご対
面! 私の指に十分捕まってる。
いやーー、また、改めて見る顔は、なんとも言
えない、めっちゃーーすごい‼
いいえ! そんな…すごい‼ って言葉じゃあ間
違いです‼ 複雑な、カ・オ! チッコイまん丸
い目が、かお? あたま? の両端にある。体のデ
ザインは、すごーーイでは表せない。「ス・ゴー
ーい‼ × 10000??」
しばらく置いておこう。流しのステンレスの上
じゃあ持つとこないよなぁ。で、台拭きを洗って
しぼり、その上に置いた。じっとしてるんやね…。
少したって見ると…エッ? アイツがいない。
30 センチくらい離れたところにあった瓶の向こ
うまで歩いてる。また指に乗せ、水を垂らした。
するとーーー!
いきなり、飛び上がって、閉めてある窓にぶ
つかった。えーーーーッ! そんな力が、まだあ
るんかい! あーー、お前、飛びたいんだねぇ〜。
そうか、わかったよ。
また、水を少し垂らし、今度は、居間の布でで
きたカウチの背もたれの所に。ここで「チョット
休みな。」しばらくたって、今度は手の平に乗せ、
居間の窓を大きく開けて、手を窓の外に出した。
落ちるなよ。少しずつ登って来て、人差し指の1
番上に来た。おまえ、落ちそうだよぅ。私は手を
返して、少し下の方に降ろしてやったが、また、
人差し指の一番上まで来た。で、動かない、私も…。
山の上の方で、力いっぱい鳴く仲間の声が聞こ
える。私にも、力強く。アイツ、全く動かない、
じっと山の方を見てる。おまえ、何、考えてる?
お前、あれ聞いてるよね!と言ったかと思うと、
パッと力強く飛び上がって、屋根の上の方に飛ん
でいき、あっと言う間に見えなくなった。たま
げたー! あの、仰向けになっていたセミがぁ…。
突然! なみだーー!! 嬉しいのと、なんか悲し
いのが混ざって、涙となみだ…。その辺で転がら
ないでくれよな。でも、やったね、アイツ。俺、
アイツにやられた。
「イエス様、まだ俺も、アイツみたいに飛ばせ
てくださいよね!」
生きてる限りは今日からですから。イエス様、
あのセミを、ありがとうございました。
皆さん、最後まで、付き合ってくださって、あ
りがとうございました。 のぼる
ザ・デイ / 森繁 昇
〒744–0019 山口県下松市桜町2丁目17–24
FAX▶ 0833–91–6492
E-mail▶ thewindisblowing@hotmail.com
HP▶
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