妻の実家は今、建て替えのため取り壊しを始めました。新潟地震の直前に建てられたのだそうです。42年も一家を支えてくれたのです。本当にご苦労様でした。
バイクではそこここの田舎道をよく走りますが、古い家に目が留まります。蔵や倉庫の古いのがあったりすると「いい建物だなぁ」と思います。
40年前の家を現在の家にする、ということ。これは考えるとなかなかけっこうな一大事なのではないでしょうか。
40年前の家は40年前にはごくそのへんの家と同じ、当時の時代を反映した「普通の」建物だったでしょう。そしてこれから新たに建てられる家も、日本風、西洋風など、多彩になりましたけれども、やはり現在のごく「普通の」建物の一つなわけです。
でも両者には40年という時間が流れているのです。
文化財指定の家は昔の「今」を、(ある程度ですが)確実に受け継いで伝えていくことができます。しかしそれらは豪農家などが多く、昔の「普通の」家ではありません。「普通の家」は建て替えという衣替えを繰り返しているのです。
40年前の「今」から現在の「今」に衣替えする。これは単純な衣替えの繰り返しでしょうか。昔の「今」を受け継ぎ熟成されていく仕立て直しの「今」でしょうか。それとも古い様式は「昔の衣」とみなして脱ぎ捨てていくのでしょうか。
有史以来連綿と繰り返される「建て替え」。ちょっと寂しく思うのは "思い出が詰まった家が取り壊されるから"、だけではないような気がします。
だから目に留まった「普通の家」は、ちょくちょく写真に撮ろうと思います。