業界最高年齢社長Halのゲーム日記 その524 S.T.A.L.K.E.R.小説・映画・ゲーム編

2012/6/28 | 投稿者: Hal

何度か「小説・映画・ゲームと、異なる分野での最高傑作となった希有の例」、ということを書いた。 S.T.A.L.K.E.R.(ストーカー)のことである。 実際、小説の映画化でも映画と小説で随分と評価が分かれるものがある。 大半は原作は傑作だが映画はタコというケースだが、ごく希にはその逆の例もある。

それがゲームとなると(ゲームの映画化は別 これは意図的な商業的チャレンジであり評価はできない)、そもそも小説が原作、或いは映画が原作というゲームが少ない。 ロシアや東欧には比較的多いが、それでも全体から見れば少数であろう。

そのような状況から見ても、S.T.A.L.K.E.R.(ストーカー)のように異なる分野でそれぞれが大傑作というのは、極々少数の非常に貴重な例だと思う。 

というわけで、S.T.A.L.K.E.R.(ストーカー)における小説・映画・ゲームの、比較というか同一点や異なる点の一覧を作ってみた。

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まず題名(日本での)。 これは小説と映画がストーカー、ゲームがS.T.A.L.K.E.R.である。

■小説   ストーカー(原題・路傍のピクニック) 1972年刊行 邦訳は83年早川

■映画   ストーカー(原題・願望機) 1979年製作

■ゲーム  S.T.A.L.K.E.R.(副題として、Shadow of Chernobyl、Clear Sky、Call of Pripyatなど) 2007年〜2009年発売

尚、「S.T.A.L.K.E.R.」とは、「Scavengers Trespassers Adventurers Loners Killers Explorers Robbers」の略だそうだ。

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作者

■小説 A&B・ストルガツキー兄弟 兄は日本語学者、弟は物理学者 「蟻塚の中の甲虫」その他多数の著作有り ロシア(というより世界)最高の現代SF作家 故人

■映画 アンドレイ・タルコフスキー
ロシア出身、後に亡命 「ソラリス」など多数 故人

■ゲーム GSC
ウクライナのメーカー S.T.A.L.K.E.R.シリーズで一躍脚光を浴びたが、本年解散

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テーマと梗概

■小説  
地球人から見れば神に等しい程の知性を持つ異星人が地球を訪れた。 その後に残された数々の異変。 その場所(エリア)では超常的現象が起こり、それらは全て致命的な結果をもたらす。

恐らくは異星人がうち捨てていったのであろう品々(ゲームではアーティファクト)が好事家にもてはやされる。 しかし、そのエリアに入るためには、ストーカーと呼ばれる特殊な資質を持ったガイドが必須である。

地球の村人たちがピクニックに行く。 彼らが食事の後に捨てていった缶詰やポリ袋は、アリ達にはどのように映るか。 それらの品々はアリ達にはかつてないご馳走だ。 しかし一歩を誤れば鋭いエッジでアリの身体は分断される。

路傍のピクニックとはその比喩であり、知性というものの考察でもある。 クラークの「充分に発達した科学は魔法と変わりなく見える」という言葉の通りなのだ。

■映画
ストルガツキーはこの映画を見て「これは私たちのストーカーではない」と言ったそうだ。 確かに映画から受ける印象は、小説の超越した知性をテーマにした思弁的内容とはやや異なる。

私には「贖罪と救済」という宗教的雰囲気が強く印象に残っている。 長い長いカット、小津ばりのローアングル、そしてカラーとモノクロの使い分け。 いずれも素晴らしい効果を上げている。

妻との果てしない諍い、愛娘の知的障害、そしてエリアへ。 願望機の前に立ったストーカーは何を願ったのか。

エリア外の村ではモノクロ、エリアではカラー、そして戻った村では再びモノクロ。 しかしラストのワンシーンだけカラーとなる。 

そのシーンとは・・・ 

娘が机の上のコップをじっと見つめる。 トロッコの音が次第に高まり、やがてコップは浮き上がり机の上を滑って床に落ちる。

ストーカーの願いは叶えられたのだ。 例え彼が願った形とはやや異なるにしても・・・ ストーカーの済む現実世界は夢であり、ゾーンこそ実である。 夢こそ実、実こそ夢。 これが彼ストーカーの贖罪と救済なのであろう。

■ゲーム
このS.T.A.L.K.E.R.はFPSであるために、テーマという点では小説や映画とは直接は比較できない。 しかもリアルエンドはネタバレを避けるために詳しくは書けないので、余計比較しにくい。

内容的には、小説の異星人的要素と映画の願望機の要素を、足し合わせたようなものとでも言えばよいのだろうか。

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舞台

■小説 ハーモント 北米大陸のアメリカとカナダの国境あたりのカナダ側?

■映画 不明だがロシア国内、或いはウクライナ(タルコフスキーの父の出生地)かもしれない。

■ゲーム ウクライナのPripyatを中心とした一帯

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登場人物

■小説
主人公であるストーカーとその同僚、研究所の職員など。 娘はアザラシ状の被毛を持つとされている。

■映画
主人公であるストーカーと、その妻、知的障害の幼い娘。 彼を雇う作家と学者。 この二人と主人公は、危険に満ちたエリアの中を願望機を求めてさすらうことになる。

■ゲーム
主人公はMark One(日本での通称マー君)、COPではUSSのDegtyarev少佐。 USSについては、ウクライナ・シーチ銃兵隊という軍組織が実在していたが、これは第一次大戦の時代のものであり、ゲームでのUSSとは異なるようだ。 架空の特殊部隊かも知れない。

STRELOKはCSやCOPでは重要な役を担う。 その他気の良いトレーダーSidorovichなどが、主人公以外では複数のゲームに登場する。 尚、一部のMODでの例外を除いて、3作全てに登場する主人公はいないようだ。

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メカニズムや小道具

■小説
小説では異星人の残した遺産がこれにあたるのだろうか。 又、リボンを結んだボルトを投げて危険地帯(ゲームではアノマリー)を避けるのは、小説映画ゲーム共通の小道具であり、ストーカーの世界(ゾーン)のシンボルでもある。

■映画
タルコフスキーはあまりメカや小道具類を使わないタイプらしく、映画「ストーカー」にはSF的小道具ほとんど全く登場しない。 願望機にしてもついにその姿を見せてはくれなかった。

「ソラリス」にしても宇宙船などのメカの安っぽいことは目を覆いたくなる程であり、宇宙空港へ行く未来の高速道路の標識には・・・

「羽田へ7キロ」(;´Д`) 映画館で見た時には全ての人(無論日本人)が爆笑していた。
これは予算の関係もあるようで、ロシアから見て手近な所で未来的な情景となると、日本ということになったようだ。

■ゲーム
こちらは流石にメカ・小道具の類は豊富であり、銃器やアーティファクト、更には地下研究所の設備など一々例を挙げられない程である。

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評価

■小説
一般的には非常に高い。 しかし一部の人の「つまらん」という評価もある。 要は英米SFのような活劇的要素がないということらしい。(笑)

■映画
こちらも評価は高い。 しかしこれも「変化に乏しい」とか「カットが長すぎて眠くなる」というものもあるようだ。 小説の評価と同様、求める内容が食い違ったのだろう。

■ゲーム
こちらも小説映画と同様、熱狂的ファンが多い。 しかし一般的には名前は知っていても、実際にプレイした人は意外に少ないようだ。 ゲームバランスが悪く取り付きにくいこと、第1作には日本語版がなく、日本語化MODを入れなければならないなど、敷居が高いことは事実である。

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私の場合には、まず83年の邦訳刊行直後に小説を読み、大いに感動した。 クラークの「幼年時代の終わり」とも一脈相通ずる私の好きなテーマであり、素直に没入することができた。

次にそのストーカーの映画があるというので、早速レーザーディスク(当時はブルーレイどころかDVDさえ存在しなかった)を購入。 これも私好みの内容と描き方だったが、金をかけていない(笑)のが一目瞭然。 しかしこれは「かけていない」のではなく、「かけたくてもかけられなかった」というのが実情だったと思われる。

ほぼ同じ頃(1972年)に製作されたヴィスコンティの「ルートヴィヒ−神々の黄昏」の豪華絢爛ぶり(配役やら大道具小道具やら)と比べると、天上の豪邸と*成のドヤ街位の差がある。

ゲームの方は、FPSにこり始めた頃、ストーカーのゲームが有ることを知り興味を持ったが、バグが多いとかとっつきにくいという評価が多く、購入をためらっていた。 しかし、やはりストーカーのゲームならということで購入に踏み切り(SOCのSTEAM版)、プレイし始めたらあっという間にゾーンにはまり込んでしまった。

その後はひたすらS.T.A.L.K.E.R.三昧、以後3年近くはゲームプレイの時間の90%以上がS.T.A.L.K.E.R.、ゾーンにどっぷりという有様でありんす。

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ということで、小説映画ゲームのそれぞれを比較一覧してみた。

では皆さん、良いゾーンライフを・・・
「グドハンティングスタルカァ!」
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