2020/4/29 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その31
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満州行きの客船内で、殺人が起きた所からである。
■さ・よ・な・ら 前編 捜査編3
翌朝、巴の部屋の扉が激しくノックされた。
現れた藤堂は、大変なことが起きたので、すぐ特別船倉まで来てくれとのことである。
特別船倉には、書生の高来龍一と坂田曹長の死体があった。
そして、特別船倉の扉は大きく開け放たれ、仏像は消え失せていたのだ。
見張り役の梶田上等兵と話すと、現場検証となる。
坂田の胸部には、正面から撃ち込まれたであろう、二つの銃創が開いている。
高来の胸部には二発の銃創があり、そこからにじみ出た血がじっとりと胸元をぬらしている。
坂田を撃った銃弾は貫通しているが、高来は身体内に留まっている。
どうやら二人を撃った銃は別々のものらしい。
そして高来は左手に短刀を握っているのだ。
特別船倉の扉を調べると、鍵穴にはまったく傷らしい物が見当たらず、何も変わった様子は見当たらなかった。
八号室で美和に仏像のことを聞くと、人を殺してでも手に入れたいと思う美術商は多くいるのではないか、と言う。
あの仏像は、翡翠の玉眼を使用した日本最古の仏像だそうだ。
畑中中佐の話では、特別船倉の鍵は、畑中、志田、利根川の三人しか持っていないとのことで、となれば鍵穴に傷をつけずに鍵を開けられるのは、その三人だけということになるのだが・・・
志田中尉の言によると、利根川は最後まで探偵に依頼する事には反対していたそうである。
三号室の浦安は、自分も困った事になってしまったと言う。
彼は奪われた阿弥陀如来像とよく似た釈迦如来像を所有していて、阿弥陀像が見つからなかった時は、その釈迦像を提供するよう、軍から依頼されているらしい。
なぜ軍は、仏像を満州に送ることにこれほど執着するのだろうか?
兵藤は、なぜ書生の高来が現場にいたのかという質問に対しては、もしかしたら犯人を見つけたのかも知れないと言った。
犯人を見かけて後を追い、現場で撃たれたということかも知れない。
そして部屋を出ようとすると、兵藤は「克己を見かけたら、わしが探している」と伝えてくれと依頼するのだった。
美和に克己のことを聞くと、支那人を捜していると言って船内を歩き回っていたそうである。
調理室に行くと兵藤克己を発見した。
彼は自分も犯人を見つけようと、深夜後部甲板に行くと、特別船倉の方から志那語の混じった会話が聞こえてきて、その後2発の銃声が響いたと言うのである。
その夜、黒潮丸は激しい嵐に見舞われた。
そしてその嵐のため、一発の銃声が響いたことに気づいたものはいなかった・・・
■さ・よ・な・ら 後編 捜査編1
翌朝、巴は自室の前を駆け抜ける時人の姿を見た。
時人に何事かと尋ねると、畑中中佐が自決したとのことである。
一等客室1号室には、座って右即頭部から左即頭部に向け、こめかみを撃ち抜いた畑中の姿があった。
結局、仏像輸送計画は中止となり、4日後に黒潮丸は横浜港に帰港、軍の臨検を受けることとなった。
臨検でも阿弥陀仏は見つからず、犯人にしてやられた一同は、しおしおと事務所に戻ったのである。
まず、仏像については、黒潮丸の乗客乗員は、全員下船時に軍の荷物検査を受けたが、仏像は発見されなかった。
次に、畑中の自殺については、あの日の朝6時ごろ、志田中尉と遠峰が航海継続の是非を確認する為に一等1号客室を訪れた。
しかしドアをいくらノックしても返事がなく、ドアの鍵もかかっていたため、ドアの小窓から中を確認すると、畑中の死体が見えたのだ。
志田は遠峰に、御神楽探偵事務所のメンバーに事態を知らせるよう指示し、遠峰はすぐに時人の部屋へ向かった。
その間に志田は一等1号室の合鍵を調達し、部屋に踏み込んだのである。
というのがこれまでの経緯なのだが、千鶴は上の空でまともに話を聞いていない。
不審に思った巴が尋ねると、千鶴は今回の事件をモデルに新作を書いているらしい。
いつもいつも大成功では真実みがないので、たまにはこういう失敗談もよいのではないかと、千鶴は言うのだ。
そんな話に興じていると、突然浦安が訪れてきた。
今度は浦安の家に、釈迦如来像を奪うという、怪盗から予告状が送られてきたとのことなのだ。
阿弥陀仏が奪われたため、釈迦如来像を軍に供与することになっていて、像が軍に移送されるまでの二日間、浦安家を警護して欲しいとの話である。
そして手のすいている者は・・・という話になると、全員の視線が蘭丸に集中した。
結局、浦安家の護衛には、蘭丸がメイドの女装をして当たることになった。
蘭子ちゃんかわゆい!
と一同が喜んでいると、いきなり陸軍将校が踏み込んできた。
阿弥陀仏強奪の嫌疑が時人にかかっているので、軍まで同行する連行するようにとのことだ。
実は、御神楽探偵事務所のメンバーは、下船時には手荷物検査を受けていなかったのである。
そのため、事務所の一同にに嫌疑がかかってきたのだった。
一同は、時人を救う為には、どうすれば良いのか相談した。
その結果、まずは滋乃の父である久御山子爵の力を借りることにした。
蘭丸は、予定通り蘭子として浦安家に宿泊して護衛することになった。
そして千鶴と巴は、浦安に黒潮丸乗船者の所在を教えてもらい、捜査を進めることとした。
まずは美和と藤堂に、時人が軍に拘束されたことを伝えなければならない。
美和に時人のことを話すと、遠峰の御前に手を回してもらえるよう、お願いしてみるとのことだ。
遠峰は日露戦争時の勇士であり、軍の上層部にはかつての戦友も多数いるそうなのだ。
浦安家を訪れ応接間に入ると少女がいる。
彼女は浦安蒔彌と自己紹介し、浦安の娘だそうだ。
彼女の話では、兵藤も仏像の提供を嫌がっていたのに、結局仏像を差し出さなければならなくなったそうだと言う。
御神楽少女探偵団その32へ続く

2020/4/29 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その30
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生き人形をクリアした所からである。
この生き人形は、筋の運びが強引で現実離れしているため、ともすると白けてしまう。
次の「さ・よ・な・ら」で、このシリーズを打ち切りにしたのは、正解だったと思う。
というわけで、こちらも少しばかり飽きてきたこともあり、最終話「さ・よ・な・ら」は、かなり端折って書くことにした。
■さ・よ・な・ら 前編 捜査編1
突然けたたましい悲鳴が、事務所に響き渡る。
千鶴の悲鳴である。
「あた あた あたっちゃった!」
どこかぶつけたのかと心配する巴に千鶴は、
「こないだ出版社に送った探偵小説を、出版してくれるんだって!」
これで千鶴は一躍名士の仲間入り・・・とまではいかないが、小説家の仲間入りとなる。
その内容は、この御神楽時人と少女探偵団をモデルにしたものだという。
喜ぶ一同の前に、突然現れた男がいきなり時人に同行せよと迫る。
軍人らしいが、あまりにも無礼な態度に怒りを顕わにする一同。
しかしともあれ、時人は同行して話を聞こうと答えたのである。
陸軍省情報部では、志田数馬という陸軍中尉から、ある非常に高価な仏像を満州に送るのだが、どうもその仏像を狙っている怪盗がいるらしい。
なのでその仏像を無事送り届けるために、護衛をして欲しい、というのがその依頼だった。
怪盗に興味を覚えた時人は、その依頼を引き受けることにした。
一週間後、時人と三人娘は横浜港の第五桟橋から、民間の旅客船黒潮丸に乗り込んだのである。
前甲板では、義手義足の老人と出会った。
一等客室の二号室には、志田中尉がいて、軍の輸送艦を使わず、民間の旅客船にしたのは、一種の偽装計画だそうだ。
民間人らしき人物も乗っていることを尋ねると、この船は表向きは竹林会の貸し切り船ということになっているらしい。
竹林会とは美術商の親睦団体で、「竹林の清談」から名前を取ったということである。
一号室には、今回の仏像輸送計画の責任者である、畑中秋之介中佐がいるが、先程の老人たちと話していた。
畑中中佐は、最終目的地の奉天までは同行してもらうつもりだと言う。
5号室にいる美術商の兵藤茂徳は、時人のことを知っているようだ。
そのことを聞くと、「ああ、それは当然だろう。君達を今回の計画に推薦したのはわしなんだからな。」と言うのだ。
しかも巴達のことまで知っているのだ。
「当然だろう。わしの仏像の護衛にあたる人間だ。ちゃんと君達の事務所の事は事前に一通り調べさせてもらったよ。」ということだった。
二等客室の三号室には利根川がいた。
仏像は特別船倉に保管してあるとのことで、時人が一応見ておきたいというと、上官の志田中尉と畑中中佐の許可を得た上で案内してくれた。
仏像は「阿弥陀如来像」と言い、30センチ程の意外に小さいものだった。
よい出来映えの仏像ではあるが、とてもそんなに価値のあるもののようには見えないのだが・・・
後甲板に上がると、なんと美和がいた。
そう言えば、美和も美術商だったことを、一同は思い出したのである。
美和は、時人の事を兵藤さんに教えたのは、私だと言う。
そして一行は夕食会のパーティホールに行く事になった。
人百倍食い意地の張っている巴は目を輝かし、一目散にパーティホール目指して駆けだした。
そして巴が隣の美和の和食膳に、物欲しそうに目をやっていると、突然悲鳴が響いてきた。
■さ・よ・な・ら 前編 捜査編2
翌朝、三人組が起きると、時人は船酔いでこけているらしい。
昨夜の被害者は、久下直人という竹林会所属の美術商だが、仏像は被害にあっていない。
現場のパーティーホールには白衣の男がいて、何か調べている様子である。
彼は高柳紀久男と名乗り、医師だそうだ。
そして志田中尉の依頼で、犯行に使われた毒物を調べているという。
医務室に行って高柳に尋ねると、ろくな機材もないのでネズ公を捕まえて貰い、食材を食べさせてテストしたそうだ。
それによると、奈良漬の中に毒物が混入されていたようで、どうやらジギタリスの中毒症状と思われるとのことだった。
そして、検死は一応完了したから、。パーティホールは自由に調べてよいと言う。
パーティーホールでは、美和の食べていた和食膳は、奈良漬が半分ほど食べられていたが、美和には全く異常がない。
犯人は久下の和食膳にのみ、毒物を混入したらしい。
調理室では、志田中尉らが関係者を集めて調査していた。
中尉の話では、毒物を混入するチャンスは昨日の日中だけたらしい。
奈良漬は日中に、それぞれの皿に盛り付けられ、冷蔵庫に入れられていた。
調理室は、日中は人が少なく、冷蔵庫は誰でも空けられる状態だったそうだ。
しかし、冷蔵庫の中のどの皿が誰に配膳されるかということは、その辞典ではわからなかった。
夕食前は、調理室には多くの者が出入りしていたので、怪しまれず毒を混入するのは難しかったようである。
三号室の浦安蔵人に話を聞くと、久下は和食党で、犯人はそのことを知っていて和食に毒を混入したのではないかというのだ。
五号室には兵藤と書生の高来がいるが、事件については何も知らないようだ。
二等客室の八号室には美和と藤堂がいるが、夕食前に遠峰の秘書の中村が、竹林会関係者全員に夕食は和食か洋食かを、聞いて周っていたそうだ。
後甲板には利根川がいるが、これも特に話はない。
前甲板に行くと、中村武一がいて、克己と二人で竹林会の人々の注文をとったと言う。
また、その注文票は他の者には一切見せず、そのまま調理室に届けたそうだ。
しかし、この殺人は不確定な要素が多すぎる。
特定の人物に毒を飲ませるつもりなら、もっと確実な方法がある筈なのだが・・・
御神楽少女探偵団その31へ続く

2020/4/29 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その29
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生き人形事件で、巴達が一服盛られた後からである。
■生き人形後編 捜査編4
三人は事務所でこれまでの調査の結果を話し合った。
大城家で起こった睡眠薬騒動は、時江によるものではないかと推理した。
睡眠薬が入っていたレモネードは、勧めたのが時江であること、薬はレモネードの原液にあらかじめ仕込んでおけばいいこと、時江だけはレモネードではなく、紅茶を飲んでいたことなどがその根拠である。
そして、巴たちが眠っている間に音楽院へ行っていたのではないか、と千鶴は言うのだ。
また、音楽院の理事長が暢であり、三井はその後継者ということから、三井=時江、つまり大城時江こそが、一連の事件の真犯人なのではないか、と推測したのである。
守山美術には使用人の藤堂弥八郎がいた。
藤堂の話では、赤桜とは人間の潜在意識を利用した殺人の場所ではないかとのことだ。
自殺の名所である場所に他殺体を置けば、それも自殺体であると考えさせることが出来るからである。
大城家で諸星警部にレモネードのことを聞くと、原液は白だが嬢ちゃん達の飲みかけのレモネードからは検出されたとのことだ。
ということは、レモネードが作られた段階で睡眠薬が混入されたということになる。
レモネードを作ったのは千賀子なのである・・・
書斎には栗山刑事がいるが、大輔が使っていたロープや鉄格子には、全く指紋は残されていないそうだ。
手袋をしていたか、後で拭き取ったかのどちらかだろう。
大輔にも聞いてみたが、鉄格子の掃除などはしていないそうだ。
しかし屋上には貯水槽があると言う。
その言葉でピンと来た千鶴は、諸星に屋上の貯水タンクを調べたらと進言した。
早速諸橋が調べさせると、千鶴が言うようにタンクの中からは睡眠薬の反応があった。
となれば、時江も千賀子も犯人ではないということになる。
依然薬剤師の勉強をしていた千賀子に、睡眠薬について訪ねると、睡眠薬の中には熱するとで分解されてしまうものもあるそうだ
あの時熱い飲みものを飲んでいたのは、時江だけである。
南天堂病院に行って看護婦に本のことを聞いてみた。
「う〜ん。結構厚い本だったから、辞典の類だったと思うけど・・・。」とのことである2
岸辺音楽院では河村須美子にも聞いてみると、理事長が引退して、後継者に道を譲るそうだ。
その後継者は、三井ではない別の女性だが、名前まではわからないと言う。
刑務所で、葉山紀夫と面会したが、葉山はどうみても殺人などおかしそうもない、穏和な人物に見える、
そんな彼がなぜ犯罪を冒したのかと問うと、理由は特になく、あえて言うならそれが日々の糧となるからだとのことだった。
そして彼は裏社会からは足を洗うつもりだと言うのだ。
警察の調査で、貯水タンクの中にあった睡眠薬は、熱でその効果を失う種類のものだったとわかった。
こうして千鶴たちは、事件の真相に辿り着いたのである。
■生き人形 解決編と推理
事務所では、時人は偽志保美を捕まえに行く、と言う。
一同は大城家の書斎へ向かった。
そして時人はこの書棚の中に、大輔の母親がいるというのだ。
時人は書棚から一冊の英語の辞典を取り出し、この中に大輔の母親がいると言って、その辞典を開いた。
辞典の中は繰り抜かれていて、志保美の生き人形仮面が入っていた。
こうして時人の問いかけが始まる。
本物の志保美さんは・・・?
2 無実を証明しようと証拠を集めた方
何を知ってしまった為に殺害された?
3 国井が生き人形師であるという事
そして一行は仮面舞踏会会場へと繰り出す。
跡継ぎに出来ない理由は?
3 三井は架空の存在だった為
紀夫さんの犯行の動機は?
2 金で殺害を引き受けた
会場で、時人は美和をパートナーにダンスを踊るが、それを見つめる滋乃の目は、険しかったwww
その時、仮面の女がナイフをふるって時人を刺そうとするが、会場に潜伏していた警官が取り押さえたのである。
その女は時江だった。
暢始め大城家の家族は、裏世界の人間だった。
紀夫も時江も裏世界の人間だったが、それを嫌った紀夫は大城家から離れて行った。
時江は生き人形師の国井と知り合い、愛し合うようになっていた。
時江は国井を守るため、志保美と大輔を隅田川に誘い出し、川へと突き落としたのだが、大輔は生きのびてしまった。
不良女学生が殺されたのも、暢から依頼だったのだ。
後に、大城暢は逮捕されたが、逃亡した国井皓の行方は杳として知れないままだった・・・
生き人形全巻の終わりである。
御神楽少女探偵団その30へ続く

2020/4/28 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その28
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生き人形後編で捜査中の所からである。
■生き人形後編 捜査編2続き
舞踏会場で吉和泉佳世に、内倉貴子のことを聞くと、そのような個人の情報は話せないと断れた。
会員になるには、既存の会員の紹介によってのみ、新たな会員になることが出来るそうである。
つまり、内倉貴子が仮面舞踏会の会場を知っていたのは、あの不良三人娘の紹介だったということだろう。
そして、その三人を紹介したのは、吉和泉が日頃から世話になっている人物らしい。
岸辺音楽院の女子寮で、内倉貴子と話すと確かにフーテン三人組から誘われたそうだ。
しかしそれは断ったとのことで、他の人物に舞踏会を紹介されたそうだが、それは言えないとのことだった。
そしてその代わりにと、楽譜をくれた。
事務局の女性に三井のことを聞くと、物凄い美人だという噂だが、事務局の人間ですら一人も彼女の顔を見た事がないそうである。
これもまた妙な話ではある。
■生き人形後編 捜査編3
事務所に戻ると美和が表れ、時人が蘭丸を発見したと伝えられた。
あっと驚く巴ちゃん!
そこへ時人と蘭丸が現れた。
ご心配をかけてすみませんと神妙な蘭丸。
時人は蘭丸発見は連絡するのを忘れていたと、いつもの調子である。
蘭丸は、国井家の地下に閉じ込められていたそうだ。
時人は、真犯人と大輔は、それぞれ別の目的を持ちながら協力していたのではないか、と、自分の推理を話す。
大輔は時人に復讐することが目的、真犯人は理由は不明だが、女子寮15号室の4人を殺すことが目的ということである。
真犯人の目的は、事務所のスタッフとは別の所にあったのである。
そして母親の志保美によく似た千鶴が、ひとりで大輔と話すことになった。
千鶴が病院に行くと、大輔は完全に回復し退院するところだった。
大輔は千鶴にこれまでのことを詫び、事務所の人たちにも謝りたいというのである。
大城家には、既に巴と滋乃が到着していて、時江と話し込んでいた。
千鶴と大輔は大城家の2階にある書斎に入ろうとするが、鍵がかかっていて入れない。
すると大輔はちょっと待ってと言って階下に降りていった。
待つ程もなく扉が開いて、大輔が千鶴を招き入れる。
書斎の下は大輔の部屋なので、ロープを使って1階から書斎の窓に登り、鍵を開けたのだった。
そこの書斎に立ち込める古い本の匂いが、病院に現れた本を抱えた幽霊志保美の匂いと同じだと大輔は言うのだ。
しかし、千鶴が大輔に聞くと、志保美は写真機一筋で本には興味が無かったとのことである。
書斎の右の本棚には、英語の辞典がある。
岸辺音楽院で事務局の女性に聞くと、生徒は三井の事を「アードゥア」と呼んでいたそうだ。
河村須美子にその意味を聞くと、アードゥアとはシャープが3つついた、「イ長調」のことだと教えてくれた。
三つの♯、つまり「三井」である。
女子寮に入り、貴子はいないので窓を調べると、学長室の中には学長ともう一人、黒い光沢を放つシゾール素材の帽子をかぶった女性が見えた。
よく見ようと千鶴が身を乗り出すと、「見てはだめっ!」と声がかかった。
内倉貴子が戻ってきていたのだ。
そして「不正入試や単位の売買・・・この学院の裏ではそんな事が横行してるんです!」と言う。
殺された三人は成績が良くなかったのだが、そんな三人に三井が単位の売買を持ちかけている場面を、貴子は目撃していたそうだ。
貴子は三人は舞踏会会場で単位の売買を他の参加者に喋ってしまい、そのために三井に殺されたのではないかと言う。
千鶴は、舞踏会場で美和の仮面を被って死んだ女性は、貴子の身代わりに死んだのではなく、三人から単位の売買を聞いていたために殺されたのだ、と推理したのである。
浅草署で諸星警部にその後の進展を聞くと、今の所は特にないとのことだ。
しかし、裏社会では生き人形仮面は変装用としてよく使われているそうである。
2年前の事件でも、葉山紀夫が使っていたとのことだ。
栗山刑事は国井の家は、迷路のように入り組んだ作りになっていたと言う。
刑務所では葉山紀夫に話を聞いてみた。
暢は紀夫に跡を継がせたかったらしく、彼が志保美と結婚する為に家を出たことには激怒して怒鳴りまくったそうだ。
ただ、紀夫は秘書の三井という人物については何も知らないと言う。
事務所に戻り蘭丸の自室へ入ると、蘭丸はすっかり回復したようだ。
大輔が時人を殺そうと決意したのは、志保美が死んだ翌朝、彼を迎えに来たという偽志保美に、「お父さんの敵を取りましょう」と何度も言われて、ついその気になったそうだ。
その偽志保美は、笑いもせず泣きもせず、無表情だったそうだ。
これは、真犯人は生き人形仮面を被っていたということになるのだろう。
その後、千鶴は大輔を大城家に送り届けるのだが、巴と滋乃、時江、千賀子がソファーで眠りこんでいた。
幸い毒などではなくて睡眠薬らしく、暫くすると皆起き上がってきた。
巴など「ああ! よくねたぁ!」と、相変わらず能天気そのものの反応だったのである。
千鶴は四人を病院に連れて行き、大したことは無いとの診断を受けた後、事務所に戻った。
御神楽少女探偵団その29へ続く

2020/4/27 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その27
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「生き人形」で聞き込みをしている所からである。
■後編 捜査編1 続き
待合室では二人の看護婦が話をしていて、その言葉の中に「その子がね、例のあの子なのよ。ほら、美紀ちゃんが母親の天使セットを用意した・・・。」とあった。
滋乃がそのことを聞くと、「天使セット」とは病院関係者の間で使われる隠語で、「死体安置セット」の事だそうだ。
この南天堂病院は、大輔の母親が入水自殺で亡くなった病院だったのである。
岸辺音楽院に行ってみると、事務局で河村須美子と出会った。
彼女は、今生徒達の中で噂の的である、謎の美人秘書の姿をちょっと見ることができたそうだ。
その秘書は理事長であるにもかかわらず、学園関係者でその姿を見たことがあるものはほとんどいないそうだ。
そしてその美貌で学長の愛人となり、次の学園理事長の地位を手に入れたなどと、様々なと噂が乱れ飛んでいるらしい。
その秘書の名前は三井というそうである。
国井家では多数の警察官が捜査を行っていて、栗山刑事もその中にいた。
証拠などのことを聞くと、見つかっているのは、鑿や鑢などの道具類と、やたらにため込んである写真ばっかりだと言う。
驚いた顔とか、ふくれっ面とか。たぶん事務所で雑談しているところを撮ったものらしい。
そしてその中には、巴の恥ずかしい姿の写真もあったそうだ。
巴「ウッソだあ!」
栗山「ホントだあ! ほれ、恥ずかしいだろ!」
巴のポケッとしたビックリ顔のその写真は、下から煽るアングルで撮影されていて、どうやら大輔が撮ったものらしい。
確かに恥ずかしい写真ではある。
浅草署に行くと、諸星警部から頼まれていた毒物鑑定の結果が出たと言われる。
それは大輔が時人に持って行ったお茶で、猛毒が入っていたそうだ。
舞踏会場で吉和泉佳世と話すと、仮面を作った人間の名前は、彼らの間で禁忌として話さないらしい。
しかもその仮面は非常に薄く、また軽かったというが、巴たちが見た仮面は、むしろ厚く重かったのである。
大城家の暢の部屋で立ち聞きをすると、暢は「だから、紀夫のような失敗を犯して欲しくはない。失敗はそのまま我々の命取りにつながるのだ。分かるな?」と時江に言っていた。
直己の話では、玩具に使われている接着剤やワックスなども、人体には有害だそうだ。
この後は推理となる。
直己の証言で手掛かりになる事は?
人体に有害な接着剤やワックスがある。
婦人の証言で手掛かりになる事は?
仮面は薄くて軽い事。
諸星警部の証言で手掛かりになる事は?
ゼリー状の液体から猛毒を発見。
■後編 捜査編2
推理の後、岸部音楽院女子寮で、内山貴子と話していると、窓から大城暢の姿が見えた。
貴子の話では、暢は学院の理事長だそうだ。
大輔の病室に行くと、眠っている大輔と時人がいた。
時人は仮面の裏についていた接着剤が、有毒だったと確信するのである。
その時、大輔が目を覚まし、傍にいたとき人の顔を見て「どうして生きているんだ! お前は僕が殺したはずなのに!お前なんか死んじゃえ!」と叫ぶのだった。
時人は生き人形仮面の裏に有毒な接着剤が塗られていたことを教え、
大輔が「この事件の本当の犯人」に利用され、殺されかけたのだとと伝える。
そして巴たちに、大輔の本名が葉山大輔であり、彼の父親葉山紀夫はかつて時人が捕らえた殺人犯で現在服役中であること、彼女の母親は隅田川で入水自殺した、葉山志保美であることを伝えた。
国井の家で、栗山刑事に聞くと、国井はすでに逃走したらしいが、仮面作りの資料となる顔写真が多数発見されたそうだ。
その写真の中には、巴達の顔写真もあったが、それらはいずれも大輔が撮影したもののようである。
わからないのは、なぜ大輔は国井に写真を渡したのか、ということである。
浅草署で諸星警部に捜査状況を聞くと、依然として国井の行方は不明、恋人の時江も彼の行き先をしらないと言っているそうだ。
緑茶は大輔が所長室に運んでいったもので、中からは猛毒が発見されたとのことだ。
■生き人形後編 捜査編2
翌日は時人に話を聞くと、大輔の父葉山紀夫は2年前、時人が解決した事件で犯人として逮捕されたそうだ。
彼はプロの犯罪者で殺人の常習犯であり、現在は服役中である。
それにより、大輔の母志保美は入水自殺してしまった。
大輔は時人を逆恨みして彼を殺そうとしたのだろう。
とはいえ、今回の生き人形事件は、幼い子供である大輔に計画できるようなものではない。
大輔を利用して時人を殺そうと計った真犯人が他にいるのは間違いのない所である。
また時人は、志保美の死は自殺ではなく、他殺かもしれないと考えているそうだ。
相談の結果、三人組は刑務所で葉山紀夫に話を聞いてみることにした。
葉山紀夫は、志保美は無実を証明してみせると意気込んでいて、写真機を持って出かけて、無実の証拠を集めていたらしいと話した。
早速浅草署に行き、諸星警部にその件を聞いてみた。
警部は葉山の犯行であることは間違いないと言う。
仮面舞踏会で二人目の被害者が襲われる寸前に諸星が現行犯逮捕したそうである。
国井家で捜査中の栗山刑事にも聞いてみると、時江襲撃の犯人は、あの女が俺の生活を潰したんだと言っていたそうである。
時江に金をだまし取られた、つまり詐欺にあったということらしい。
大城時江の前科も調べたが、詐欺罪が「成立したもの」はなかったそうた。
成立したものはないというのは、詐欺で逮捕されかかったものはあるらしい。
あれだけの美人なので言い寄る男は多数あり、その一人から金を巻き上げていたらしいが、結局犯罪にはならなかったと栗山刑事は言った。
その後は大城家で又々立ち聞きである。
どうやら岸辺音楽院のことらしく、設備投資費の概算書類の件である。
直己の部屋では、直巳は今が事業を拡大のチャンスと、張り切って伝票整理をしていた。
南天堂病院の小児科病室では、大城千賀子がせっせと大輔の世話をしている。
待合室で看護婦の話を立ち聞きすると、「やっぱりさぁ、噂通り、殺されたんじゃないの、大輔君のお母さん。」などと言っているのだ。
そして志保美が化けて出てきたなどと穏やかならぬ話になった。
滋乃が聞いてみると、「あのね、志保美さんが死んだ翌朝の事なんだけど。 泣き疲れて待合室で眠っていた大輔君のもとに志保美さんがやってきて、大輔君を起こして連れて行っちゃったのよ。」とのことなのだ。
これは確かにお化けである。
しかしそのお化けは、大きな本を抱えていたそうである。
本を抱えたお化けや幽霊は、あまり聞いたことがない・・・
御神楽少女探偵団その28へ続く

2020/4/27 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その26
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三人の死体が見つかった場所にある桜の木は、赤桜という呪いの桜として有名と聞いた所からである。
■生き人形 捜査編2 続き
浅草署で、三人の詳しい検視報告を諸星警部に尋ねると、「九割方は他殺だろ。だから、こっちも他殺って事で捜査を進めてるよ。」とのことだった。
だが三人からは毒物は一切検出されなかったそうだ。
三人は直接の死因は、急性肺水腫による呼吸不全ということだった。
胃から検出されたのは睡眠薬だが、それは致死量には及んでいないそうである。
栗山刑事は、三人の服は無名メーカーによって作られた安ものだったと言う。
三人娘が工場跡へ入ると、昨日彼女たちを救ってくれた仮面の女性がいた。
三人娘が自分達は探偵だと明かすと、捜査に協力してくれるそうだ。
ただし、舞踏会のことは決して外部に洩らさないことが条件である。
女性は、舞踏会内では吉和泉佳世と名乗り、この会の主催者だと言う。
この事件は穏便に処理したし、遺体の方ももう警察の方へ渡っているそうだ。
■生き人形 捜査編3
翌朝、三人は時人と赤桜の話をしながら、諸星からの報告を待っていた。
待つ程もなく諸星が現れ、赤桜の死体は自殺ではなく他殺らしいと言う。
死因は急性肺水腫、遺体に外傷は無く毒物も検出されないし、顔は皮膚炎を起こしていることなど、あの三人と同じなのだ。
続けて、大城時江が暴漢に襲われたが、時江はかすり傷ですんだとのことである。
なにはともあれ大城家に行ってみよう。
当主の暢の部屋では、暢と時江が話していて、立ち聞きができる。
「大城家の者が警察の世話になるとは何事じゃ!これが大城家にとってどういう事を意味するのか、分かっておるはずだろう?」と、暢は怒っている。
それにしても、通常娘が襲われたら、親はまず怪我などを心配するものだが、それより先に世間体を気にするとは、この大城家はやはり異常だ。
長男の直己は、またまた車の玩具をしこたま仕入れたらしい。
お父上に叱られませんかと聞くと、「怒ったりするもんか。これがぼくの仕事だからね。」と平然としている。
彼は自分で遊ぶというより、ヨーロッパの新しい玩具で売れそうな物をいち早く仕入れ、それを玩具の商店に売っているそうだ。
台所では、時江が千賀子に怒っている。
警察からかかってきた電話を、千賀子が暢に告げたことに怒っているらしい。
千賀子によると、時江は家の中では片意地張っているが、恋人にはとても優しいそうである。
恋人の家は本所区にあるのだが、庭にはリンゴの木があり、庭には常に桧の材木が積んであるそうで、その恋人とは大工か職人なのかも知れない。
あの時江にもそんな一面があるのかと、恋人未体験揃いの三人娘は感心したのである。
浅草署に行くと、諸星警部は大輔の苗字は大城ではなく葉山ではないかと言うのだがり大輔本人は大城と言っていたのだ。
栗山刑事は、「犯人の男は帰宅途中の大城時江を、後ろから出刃包丁で刺そうとしたらしい。」 と言う。
舞踏会場で吉和泉佳世に聞くと、生き人形の技術は元々は浅草のパノラマ館の見せ物のために作られたものだそうだ。
「削り出した木に細かい彫刻をして、胡粉を塗り、みがきをかけて人肌にそっくりの人形を作り出す・・・しかも使用できるのは桧だけです。」とのことだった。
帰りがけに、アイテム欄で庭先の写真を調べると、千鶴がどこかの庭先みたいだが、木材が積んであるだけで、ずいぶんと殺風景などと言い出す。
しかしその庭先にはリンゴの木も植えてある。
その家は「国井」という表札があるので、本所区で国井という家が無いかどうか探してみた。。
国井の家を発見したが、住人は留守のようなので、庭に入ってみると、縁側には時人のの生き人形仮面が置いてあるのだった。
どうやら、国井が問題の生き人形仮面の職人であることは間違いなさそうだ。
さらに時人の生き人形仮面の横には手紙が置いてあり、それには「今度の仮面は剥がれない。なぜなら御神楽時人が殺されるからだ。」とあった・・・
■捜査編4
巴達が事務所で時人に仮面と手紙を見せると、時人は犯人の狙いがわかってきたと言い、そのまま所長室に篭ってしまった。
犯人の狙いは時人にあるようだが、それにしてはまるで無関係の人物を4人も殺すのは不自然である。
その時蘭丸が所長室に入って行くが、突然倒れてしまう。
そして蘭丸のポケットからは、一枚の写真が滑り落ちた。
その写真には、眼鏡を取った千鶴にそっくりの女性が写っているが、その女性は大輔の母、葉山志保美だった。
時人は倒れた蘭丸の顔から生き人形仮面をはがす。
するとその少年は大輔だったのである。
大輔は病院に運びこまれたが、医者の話だと、2,3日安静にしていれば退院できるとのことだ。
とはいえ、手当がもう少し遅れれば、手遅れになっていたかもしれないそうだ。
今回の事件の犯人は、大輔も狙っていたということになる。
そこへ、千賀子が大輔の看病をしにやってきた。
大輔は千賀子に任せて、一同は事務所へと戻った。
ところが蘭丸の姿が見えないのだ。
■後編 捜査編1
翌朝巴たちは、昨日彼と行動を共にしていたらしい大輔に、蘭丸のこと聞こうと病院に行く。
南天堂病院の小児科病室では、大城千賀子が大輔を看病していた。
千賀子は、大輔はよく眠っていると、あまり心配はいらないのではと言う。
医者が出した薬も、栄養剤みたいなものらしいと言うのだ。
彼女の家は化粧品と薬を扱っているので、それなりの知識はあるらしい。
御神楽少女探偵団その27へ続く

2020/4/26 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その25
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隅田川で、三人娘の遺体が発見されたが、それは仮面をつけられた別の人物だった、という所からである。
■生き人形 捜査編1続き
浅草署の諸星警部は、三人の遺体には、外傷や注射の跡が全く無いとのことである。
ただし、顔は強力な接着剤で仮面を長時間つけていたせいで皮膚炎をおこしていたそうだ。
ということは、三人は生前から仮面をつけていた、ということになる。
栗山刑事は、死んだ三人の名前は、後藤緒羽子、森崎アキ、北田枝里だという。
それは持っていた学生証から身元がわかったらしい。
三人とも岸辺音楽院の学生で、ルームメイトとのことである。
岸辺音楽院では中には入れなかったが、事務局の女性は女子寮は四人一部屋になっていて、三人共15号室だったと教えてくれた。
しかも、成績が悪く、追試験の申込みまでしていたそうだ。
そして、ひとり残されたルームメイトの内倉貴子を紹介された。
女子寮で内倉貴子に話を聞くと、
「そうですね、この一ヶ月ほどはなんだか夜遊びの回数が増えてたような気がします。 でも彼女達は入学当初から夜中に寮を抜け出しては遊びに行ってましたから。」とのことである。
典型的な不良少女ですな。
また、でかける時間は決まっていなかったが、妙なバッジをつけていたそうだ。
そして三人のバッグを調べると、奇妙な伊達メガネがある。
フレームが煌びやかなスパンコールや鳥の羽で飾られているゲテモノである。
バッグのベルトにはバッジがつけられているが、これがまた悪趣味な形なのだ。
しかし、作りは至って精巧で、女学生がおいそれと買えるような値段では無さそうである。
それを見た滋乃は、これは仮面舞踏会用の眼鏡ではないか、と言う
滋乃自身は仮面舞踏会に参加したことはないが、話に聞いているそうだ。
一旦探偵事務所に戻ると、美和と蘭丸の他に大輔までいる。
美和の話では、「大輔君がどうしても探偵事務所に行きたいって言うものだから・・・。」とのことだった。
女子寮で内倉貴子と再度話すと、仮面舞踏会の会場に心当たりがあるそうで、案内してくれるとのことである。
貴子が案内してくれたのは、隅田川沿いにある廃墟と化した繊維工場跡だった。
三人娘を案内した貴子は、潜入用にと持参した、仮装道具を渡し、寮へ帰ろうとした。
三人娘が工場跡に足を踏み入れようとし時、貴子の悲鳴が聞こえてきた。
三人組が貴子の所へ駆けつけると、座り込んだ貴子と逃げ去る怪しい人影が見えた。
貴子は満足に話もできない状態なので、三人は寮に送り届けてから、繊維工場に戻った。
中に入ると幽かにオーケストラの音が聞こえてくる。
そして大きな扉を開くと、そこはまさに豪華絢爛たる仮面舞踏会の会場だった。
皆が仮面をつけている中で、仮面をつけていない女性がいたが、傍らの参加者があれは人間そっくりに作られた生き人形だと教えてくれた。
そして見回すと、なんと美和の仮面をつけた女性もいるのだ。
しかし、彼女に近づくと、その女性は突然倒れ、息絶えてしまった。
彼女の仮面を取ると、その女性はまるで見知らぬ人だった。
と・・・ 三人娘の回りを、他の参加者が取り囲み、「ここで仮面を取るのは部外者だろう」と迫ってくる。
三人娘は逃げ出したが、行き止まりに追い込まれてしまう。
突然行き止まりの筈の壁が開き、中にいた仮面の女性が三人娘を匿ってくれる。
その女性は、「私の舞踏会には二度と来ないでください」と言い、脱出路を教えてくれた。
こうして三人娘は、無事工場跡から抜けだすことが出来たのだった。
■生き人形 捜査編2
翌日巴達は、工場跡での出来事を時人に報告した。
しばらく考えてから、時人は大輔を祖父の家に帰そうと言った。
三人娘や美和が大輔の面倒を見ていたのだが、被害者はその人たちの仮面をつけているのだ。
時人は何かが起こってからでは遅いと言い、大輔を祖父の家に戻すことにした。
大輔の祖父の家は、美和が教えてくれた。
大城家は豪勢なお屋敷だが、その前で大城千賀子という女性が掃除をしていた。
千賀子は大城家長男の嫁だと自己紹介した。
祖父は大城暢という老人で、大輔にはあまり優しくないようだ。
長女の大城時江、次男の大城直己も、大輔に対して冷淡である。
千賀子の話では、当主の暢が家に人を入れることを好まない為、この家の家事は一切彼女が引き受けているそうだ。
長女の時江に話を聞くと、千賀子の実家は化粧品屋だそうだ。
大城暢の話では、「紀夫は、この家を勝手に出て女房の家に養子に入った男だ。そんなやつをわしは息子とは思っておらん。」と、あくまでも冷たい。
当然紀夫もその息子の大輔も、その姓は変わっている筈なのに、大輔は自分のことを「大城大輔」と名乗っている。
大城家を出た三人娘は、その後岸部音楽院に向かった。
事務室に入ると、どう言う風の吹き回しか、河村須美子がいた。
彼女は「私もここの生徒よ」などと冗談を言うが、実際はここの設備がよいので利用させてもらっている、ということらしい。
事務局の女性からは、赤桜の呪いなど、怪談じみた話を聞かされた。
その赤桜では、今朝も首吊り死体が見つかったそうである。
御神楽少女探偵団その26へ続く

2020/4/26 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その24
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暗闇の手触り解決篇である。
■解決篇
新潟からの帰りの汽車の中。
蘭丸は時人に対して、仏像泥棒が犯人だという結論は間違っているのでは、という。
すると時人は、あっさりそれを認めて、本当の犯人は、三人が捜査の中で出会った人々の中にいるという。
ここでは、時人の問いかけにプレイヤーが答える形になる。
まず、作次の遺体をあそこまで破損させた理由はなにか?
それは腹部の別の傷を隠すためである。
では、なぜ犯人は凶器が鉄砲であることを隠す必要があったのか。
それは、作次が殺害された時間に停電が発生しためである。
停電で真っ暗な中で、銃によって人を殺害できるのは、どんな人物なのか?
それは常日頃から、闇の中で暮らしている人物、盲目の郁しか該当しない。
そして恒子と五一とみのるは、アリバイ工作をした。
事件当夜現場に居た郁を、翌朝五一の車で市内の恒子の所に送り届け、その姿を他人に目撃させたのである。
事件当夜、みのるが漁業組合に泊まったという件も、妹思いのみのるは、盲目の妹を一人だけで豪雨の夜を過ごさせるようなことはしないだろう。
家に帰った彼は、妹が身を守るために作次を射殺したことを知り、郁と共に五一と相談し、アリバイ作りを打ち合わせたのである。
そして時人は、郁の行動は正当防衛であることを考え、あえて真相を告げずに新潟を立ち去ったのだった・・・
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■第9話「生き人形」
平和で静かな探偵事務所で、時人は新聞を読んでいた。
そして、隅田川で心中を図った若い母子の記事を見つけた。
子どもは助かったが母は死体で見つかったとのことである。
時人がその記事に注目したのは、その母親はかつて時人が解決した事件の、犯人の妻だったからである。
自殺した母親の名前は葉山志保美で、夫が事件の犯人であることを苦にしてらしい。
と、その時事務所に来訪者が現れた。
その来訪者は未だ幼い少年なのだが、千鶴を見ていきなり「お母さん!」と抱きついたのである。
滋乃「むまあ! 桧垣さん、結婚してらしたの!」
千鶴「してませんっ!」
巴「ケッコンもしてないのに、子どもがいるなんてフケツ!」
千鶴「子どもなんかいないちゅうてんのに!」
この子は大城大輔といい、家を出て行った母親を探して欲しい、と頼むのだ。
現在は父も他界しているので、祖父と一緒に住んでいるそうだ。
ともあれ、この子の為に三人娘は母親探しをすることになった。
大輔の話ではと、母親は写真家の助手で、顔は千鶴にそっくりだという。
母親は何枚かの写真を残していて、その一枚には隅田川と、川辺にある茶屋が映っているので、まずは隅田川に行ってみることに決まった。
■ 捜査編1
三人娘の出かけた後、血相を変えた諸星警部が飛び込んで来た。
そして、先ほど隅田川沿いの堤で、三人娘の遺体が発見されたというのだ。
取るものもとりあえず、時人と諸星が現場に急行すると、そこはあの写真に写っていた場所だった。
そして、現場にある桜の気の根元に横たわる三体の死体の顔は、確かに三人娘の顔だった。
遺体の服装も、普段三人娘が好んで身に付けているものばかりである。
呆然と佇む時人の後ろから、どこかで聞き覚えのある声が響いてきた。
振り返ると、三人娘と大輔の姿があった。
時人は静かに遺体に近づくと、おもむろに顔に手を伸ばし、そして、遺体から仮面を取り外したのだ。
すると、遺体の顔は三人娘のとは似ても似つかぬ顔だった。
しかし三人娘には大輔の母を捜すという仕事もある。
そして事務所に帰ると、美和が訪れてきた。
事情を聞いた美和は、大輔の面倒と母親探しを引き受けてくれることになった。
まずは検死報告を聞かなければならないので、浅草署へ向かった。
御神楽少女探偵団その25へ続く

2020/4/25 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その23
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新潟へ墓参りの旅に出かけた新潟で、「暗闇の手触り」事件となった所からである。
■捜査編2
多岐川刑事の話では、事件の前日、少し離れた別の民家で泥棒が入ったそうで、高価な仏像が盗まれたらしい。
多岐川の推理は、この泥棒が幣原家に盗みに入り、作次に発見されたので殺害した、というものである。
なにやら外が騒がしで行ってみると、幣原家へ入れろと漁師風の男が騒いでいる。
そこへ恒子がやってきて、この人は幼馴染の須賀五一さんで、怪しい人ではありませんと恒子が保証した。。
森警官の話では、幣原家は網元として権勢があったが、作次の道楽のため今は落ちぶれてしまい、網本の権利は須賀家が引き継いでいるとのことである。
寝室へ行くと、五一が恒子の肩を抱いて慰めていた。
蘭丸が時人に、中庭からみのるが不機嫌そうに見つめているのを教える。
みのるは、慌てて立ち去っていった。
そして五一は「こりゃ恒ちゃんもすぐに呼ばなくちゃいかんと思って、自動車で市内まで迎えに行ってたんですわ。」 と言う。
電話は昨夜の嵐で、電話線が切れ、使えなかったそうだ。
納戸の前に幣原みのるがいるが、彼は郁はなにかいやなことが起きるとここに籠もる癖があるから見に来ていたのだそうだ。
そしてこんな納戸なんか、盗まれるものもないし、鍵もかけていないと言う。
隣家の野呂田みつは、あれは天罰だと言う。
作次はDVの常習犯で、恒子や郁に暴力を振るっていたらしい。
■捜査編3
翌日、塚原浄光寺で美和と合流した時人と蘭丸は、今度は作次の交友関係と幣原家の人々のアリバイ確認をすることとなった。
漁業組合事務所で、漁師の広瀬忠治に聞くと、みのるのアリバイは問題なさそうだ。
続けて作次のことを聞くと、「いつもの賭場に顔出してたんでしょ。働きもせんくせによう賭場に行ってましたからなぁ。」 とのことである。
広瀬には賭場の地図も描いて貰った。
幣原家では多岐川刑事から、腹部の損傷は外周部分には、生活反応が無かったということを聞かされた。
生活反応は絶命後5分程度は残るものなので、犯人は少なくとも5分は犯行現場に留まっていた、ということになる。
通常、殺人などおかした者は、直ちに現場を去るものなのだが?
郁の部屋で幣原恒子に五一のことを聞くと、五一が結婚を申し込んだのだが、作次が断ってしまったそうだ。
寺泊駅近くの花街にある島源では、同僚の米井京子の話を聞くことができた。
それによると、当日は間違いなく恒子と郁はいたそうである。
坂東組では組長の坂東五郎左衛門に会うことができた。
彼の話では、確かに作次は来ていたそうだ。
しかし、負けがこんでくると、娘をかたにするから金を貸せと騒ぎだしたので、たたき出したということである。
しかも作次は銃器を持っていたそうだ。
ここでまた脱線。
大分前から、PS2のミッシングバーツのディスクを探していたのだが、何度調べても見つからない。
捜し物は諦めて、ついにアマゾンでPS2版を購入してしまった。
1600円程だがまあしょうがないだろう。
これでレトロシリーズの次は、ミッシングバーツと決定。
■捜査編4
翌日凸凹■の三人組は、再び幣原家を訪れた。
幣原みのるに鉄炮のことを尋ねると、納戸にあるタンスの中に隠してあるはずとのことである。
3年程前に作次はその銃を買い込んだのだが、面白半分に当時は未だ目が見えていた郁にまで撃たせたりするので、危なくてしょうがない。
それで隠したのだそうだ。
早速何度を調べることにした。
しかしタンスには銃などない。
みのるの部屋では、机の上に詩集がおいてあった。
それには、「みのる君へ、五一より」と書かれていた。
みのるは、この詩集をとても大切にしていたらしい。
島源で米井京子に話を聞くと、彼女もなにも知らないようだ。
京子「電話で事件聞いた時の恒ちゃんの顔とか見ちゃってるからさぁ、私もなんとか協力してやりたいんだけど・・・。」
電話で聞いた?
これは今まで聞いた情報とは矛盾しているが?
野呂田みつにも再度話を聞いたが、彼女の旦那さんが作次を見かけたそうだ。
事件当日の18時ごろ、幣原家の電気がつき、作次の姿を観ることが出来たのだが、その後すぐに停電が発生、なにも見えなくなってしまったという。
それを聞いた時人は、なにかひらめくところがあったようだ。
直ちに多岐川刑事の所に行き、事件の報告をしたのである。
その報告は、この事件はやはり仏像泥棒の犯行らしいというものだった。
釈然としないのは、多岐川刑事だけでなく、美和も蘭丸も同様だったが、時人はそこで強引に話を打ち切ってしまったのである。
■解決篇
翌日東京へ帰る列車の中で、納得がいかない蘭丸は時人に聞く。
仏像泥棒が犯人だという結論は間違っているのではないか、ということである。
時人はあっさりそれを認め、あれは勿論間違いだよと答えるのだ。
御神楽少女探偵団その24へ続く

2020/4/25 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その22
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■捜査編4 続き
探偵事務所に帰り、時人の部屋に行くと、蘭丸がつい先ほど一郎太が訪ねてきていたと言われた。
時人に直接捜査をして貰おうと、依頼に来たそうだ。
美和の経営する古美術屋に行き、美和に一郎太が来なかったかと聞くと、「ああ、一郎太さんね」と、旧知の人のように言う。
美和「だって一郎太さんて、時人さんの弟なんでしょ」
!!!
「悪魔の子」こと小野寺佐次とは、御神楽時人のことだったのである。
驚愕する二人前に、諸星警部が現れて、やはり守衛は無精子症だったと言う。
一郎太は、守衛と喜久子との間の子供ではないということになる。
しかし、そのことは守衛本人は知らないらしい。
そして蒼白になった滋乃は自宅に駆け戻り、父の多聞を問い詰めた。
多聞は、前から御神楽時人が小野寺佐次であることを知っていたと言う。
多聞と小野寺佐次を名乗っていた頃の時人とは、何回か出会っていたのだ。
時人の母は、糸に聞いた、守衛に宛てられた恋文の女性で、名前は「とき」といい、呉服屋の娘だった。
行儀見習いとして小野寺子爵家に入り、愛し合うようになったという。
御神楽の姓は、佐次の実母ときの実家の姓であり、時人という名前も「とき」に由来したものだろうと、多聞は言った。
■解決編
滋乃は、初恋の人との思い出が眠る小野寺家の中庭にいた。
そして、八年前と同じようにバラで手に怪我をしてしまうが、そこに時人が現れた。
八年前の初恋の記憶の再現である。
事務所では、巴と千鶴が事件の真相について推理を行っていた。
この後の解決篇は、ゲームのメッセージでは非常に長いので、端折りに端折って書く。
犯罪の動機は小野寺家を守る為、殺害現場は片岡芳郎の泊まっていた205号室、通風口を元どおりにした犯人は木原シゲ、死体の移動方法は建物の形を利用した、一郎太の本当の父親は他ならぬ片岡芳郎だった、という内容である。
その後シゲが登場、事件の真実の背景を黙っていてくれるのなら、自首するという。
自身の出自を他人に知られたくない時人は、承諾したのである・・・
事件解決から二日後、瓢箪池のほとりを歩く兄弟がいた。
時人と一郎太である。
これから先、それぞれ別の道を歩むことになった二人だが、兄弟としてお互いを大切に思う気持ちは同じだった。
同じ気持ちは別の兄弟にもある。
浅草に出かけた巴たちの前に権六と丸木戸が現れ、権六は丸木戸の本名は「権八」であると告げるのだった・・・
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■暗闇の手触り 第8話「暗闇の手触り」前編
時人と蘭丸は、新潟へ墓参りの旅に出ていた。
「甦る夢男」事件で自殺して果てた、阿部譲太郎・正夫兄弟の墓参りである。
美和も新潟へ商品の買い付けに出かけるとのことで、現地で彼女と合流することになっていたのだ。
阿部兄弟と父親の倉賀が埋葬されている塚原浄光寺で、三人は無明住職に案内され、墓参りをした。
そこに、かつて捜査を共にした多岐川刑事が現れるが、彼は美和と蘭丸を奥さんと子どもと勘違いする。
照れながらもまんざらではない時人・・・
多岐川は、最近妙な殺人事件が発生したので、時人に捜査を依頼に来たらしい。
その事件は、かなり離れた辺鄙な所にある、木造二階建ての民家で起こったようだ。
この家の主人である幣原作次が、昨晩殺されたのである。
多岐川は、部下の森弥一に三人を案内するよう指示した。
中庭が現場らしいが、遺体は凄惨そのものである。
遺体の腹部は真っ赤に染まり、まるで中から爆ぜたように臓物をはみださせている。 よほど幾度も打撃を繰り返したものか、そこにあったであろう内臓も挽肉のようにつぶされていた。
余程恨みがあるものの犯行のようである。
凶器は鉈だが、犯人はその鉈で納戸の戸を壊そうとしたらしい。
足を調べると、妙な事に履き物を履いていないのだ。
死亡推定時刻は昨夜の午後六時頃とのことである。
居間には長女の幣原恒子がいるが、昨晩はこの家にはいなかったそうだ。
森警官は「「実はお恒さんは市内の古町っちゅうとこで芸者をしてるんですわ。だから、普段はこの家におらんのですよ。」と教えてくれた。
長男の幣原みのるは漁師で、昨晩は船の陸揚げをやっていて、そのまま組合の事務所に泊まったそうだ。
次女の郁は盲目らしいが、彼女も昨夜はこの家にはいなかったと、みのるが代弁した。
彼女は姉の恒子の所に泊まりに行っていたそうだ。
つまり、昨夜はこの家には被害者の幣原作次以外は、誰もいなかったということになる。
御神楽少女探偵団その23へ続く

2020/4/25 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その21
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蜃気楼の一族で様々な謎が提起された所からである。
■捜査編3続き
小野寺一郎太は、小野寺夫妻の結婚は明治二十三年だったと言う。
小野寺喜久子と会話していると、窓の外を見つめていた喜久子の顔が強ばり、「悪魔の子・・・。」という声がかすかに聞こえた。
この後は中庭花壇に自動移動して、諸星警部から台本を受け取る。
守山ビルの事務所で「蜃気楼の一族」の台本を読むと、何かの記号が多数ある・
伊庭浩三にその台本を見せて聞くと、その記号は演出記号だと言うのだ。
■捜査編4
捜査は「悪魔の子」に焦点を絞って行うことにした。
これまでの情報を整理すると、「悪魔の子」とは一郎太の兄と想定できること、一郎太の年齢や、糸の見つけた恋文が書かれた時期を考えると、その年齢は20代後半から30歳程度と思われること、などが主な情報である。
しかし、事件の関係者にはその条件に合致する人間は居ないのだ。
千鶴は「蜃気楼の一族」の台本を熟読してみるというので、巴と滋乃は捜査に出かけることにした。
▼桔梗館で鏡進一と話すと、片岡はこの1.2年はスランプだったが、今回はいいモデルを見つけて脚本が書けたとはりきっていたそうだ。
しかし、その「モデル」が誰なのかは、鏡にもわからないと言う。
栗山刑事の話では、片岡は医者に言われてタバコは1日2本までと決めていたそうだ。
日本館の河村須美子の所に行くと、暗号の問題を出された。
C+○
N×△
◇÷Z
■−V
アルファベットは図形、+ や × の記号は数式と考える。
これは日付と考え、前の二つが月を、後ろの二つが日を表しているものと考える。
となれば、月は1月から12月までしかないので、C+○は0か1となる。
この謎解きは、文字と見ず、字の形を見て類似している数字を推測すべきだろう。
C+○ 0+0 =0
N×△ 2*3 =6
◇÷Z 4/2 =2
■−V 4-1 =3
河村須美子の暗号の解答は「0623」で、お弟子さんたちと遊びに行く日だそうだ。
事務室の伊庭には、演出記号のことを聞くと、演出記号のメモをもらった。
事務所で千鶴と話し、その後桔梗館の文芸部へ行き、金庫のパスワードを入力する。
これは台本の矛盾点をチェックするのであり、座っている状態で更に「座り込みながら」となるものなどである。
そしてその矛盾した役の番号、例えば「小姓一」などが、答の数値となる。
座り込みながらセリフ 小姓一 「いや〜」 1
座り込みながらセリフ 小姓二 「六郎の下手〜」 2
座り込みながらセリフ 千々岩 小兵衛 「四十朗、〜」 1 (千は1とする)
上手より登場 小姓五 「いや、〜」 5
座り込みながらセリフ 千々岩 小兵衛 「何か〜」 1
12151が金庫の番号である。
こうして金庫は開いた。
中には古びたノートが一冊、片岡のネタ帳らしい。
そこには、『蜃気楼の一族』のモデルとなった人々の名が記されていた。
そしてその1ページには「小野寺佐次」の名が・・・
これが一郎太の兄で「悪魔の子」の名前だろう。
巴と滋乃は事務所に駆け戻り、千鶴に『蜃気楼の一族』の粗筋を教えて貰った。
晩年の秀吉と淀君の間には、子供が生まれなかったため、秀吉は遠縁の秀次を養子に迎える。
自分の血を引かない人物が豊臣家の跡継ぎにしたくない淀君は、小姓と密通して子を出産する。
その子を秀吉の子と偽り、豊臣家の跡継ぎにしようとした。
その結果、秀吉は秀次を疎んじ、最後には切腹させられてしまう、というものである。
これを小野寺家に当てはめると、小野寺佐次は秀次にあたるのだろう。
ともあれ、この件について話を聞けそうなのは久御山多聞位しかいない。
久御山家に行くと諸星警部も来ていた。
滋乃は父多聞に小野寺家のことを聞く。
多聞と守衛はロンドン留学中に知り合ったのだが、ある時守衛は腎臓を患い高熱を出してしまったが、手当が早かったので一命は取り留めたという。
それを諸星に話すと、彼はそのような時には子どもが作れない身体になることもあるというのだ。
となると、一郎太は守衛と喜久子の間の子供ではない可能性もある。
御神楽少女探偵団その22へ続く

2020/4/24 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その20
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■第七話『蜃気楼の一族』後編 捜査編1
中庭花壇では野上糸が花の手入れをしている。
そして「でも片岡さんが捕まっちゃったら、奥様が悲しんじゃいますからねぇ。やっぱり丸木戸さんが犯人だといいなぁ。」などと、おだやかならぬことを言う。
片岡はこの屋敷にちょくちょく出入りして、喜久子夫人とも会っていたらしく、資金援助を受けているようだ。
小野寺家別館の203号室では、鏡進一が荷造りをしている。
日向の様子を聞くと、大金が手に入るとかでご機嫌だったそうだ。
大金が手に入るとはどういうことなのだろうか。
丸木戸貞蔵は、奥様は芝居にはあまり興味なかったらしいと言う。
そして、喜久子が片岡を援助していることは知らなかったそうだ。
小野寺家本館で話を聞こうと思ったのだが、女中頭のおシゲ婆さんは頑なに拒む。
そこへ小野寺一郎太が表れ、機転を利かせて「この方達は僕が捜査を依頼したんだ」と言ってくれたので、中に入り聞き込みができるようになった。
夫人室へ行くと、木原シゲがそそくさと入っていくのが見えた。
ここでは二人の話を立ち聞きするという形になる。
すると小野寺喜久子が、「なんという事なの・・・。またあの悪魔の子と関わる事になるなんて・・・。」と呟くのが聞こえてきた。
そして、悪魔の子は小野寺家を恨んでいるだろう、とも言うのである。
悪魔の子?
また大時代的な言葉だが、どういう意味なのだろうか。
念のため使用人室1でシゲに聞いてみると、片岡は以前書生として住み込んでいたので、その縁で援助しているとのことだった。
■捜査編2
翌日、演劇界について調べる為に、巴たちは浅草の劇場街を訪れた。
桔梗館で片岡に話を聞くと、日向は元は銀星館にいたのだが、給金が安いって飛び出したのだそうだ。
しかし日本館の河村須美子の楽屋で本庄に話を聞くと、あの年頃にしてはかなりの額を支払っていたそうだ。
そして「あの娘はどうも金銭に卑しいところがありまして、いつも不満をこぼしてばかりいたのでございます。」などと言う。
浅草署に行くと栗山刑事がぼやいた。
捜査資料の台本「蜃気楼の一族」を、片岡から仕事に必要なものだから、早く返してくれとせっつかれているので、返しておいてくれと頼まれた。
桔梗館の事務室で鏡と話すと、台本は完成していて既に読み合わせに入っているとのことなりてである。
蜃気楼の一族は日向の代役を立てて上演する予定らしい。
台本は完成しているのに、なぜ片岡は警察署に返却をしつこく頼むのだろう?
三角館で丸木戸に聞いてみると、日向は部屋を205号室から206号室に移ることを嫌がっていたらしい。
片岡の話では、日向は自ら望んで206号室に部屋を移った筈なのだが・・・
どうも片岡は嘘をついていたらしい。
小野寺家に行くと、糸が大量の新聞を処分していた。
それは、全てシゲが読んで、切り抜きの後が大量にあるそうだ。
そしてシゲは妙に瓢箪池のことを気にしている。
瓢箪池に行くと、一郎太と守衛が話していた。
盗み聞きしてみると、どうやら兄に会いに出かけた一郎太を、守衛が咎めているらしい。
三角館でもぎりの男に丸木戸のことを聞くと、「兄弟に会うために」先程出かけたそうである。
その夜、片岡を詰問すると、片岡はひどく動揺し煙草に火をつけた。
すると突然苦しみだし、そして倒れ伏した。
最後に一言、「金庫」と言う言葉が聞き取れた。
■捜査編3
諸星警部に聞くと、やはりタバコに毒が入れてあったようだが、しかし毒が入っていたのは1本だけとのことである。
鏡の話では、金庫は文芸部にあるそうだ。
早速文芸部に行くと、確かに大きな金庫があるが、鍵が壊れているというのに金庫は開かないのだ。
鏡に聞いても確かに鍵は壊れていたそうだ。
そこへ事務員が現れて、あれは片岡が修理させたという。
そのため、ダイヤルロックの番号も片岡以外は知らないだろうとのことである。
三角館で丸木戸に聞いても、「あれは子爵夫人にせっせと貢いでもらった金が、ごっそり詰まっているだけじゃねぇのか?」と言うだけである。
久御山多聞に聞いても、子爵夫人の浮気など有り得ないと言う。
もともと、二人の結婚は喜久子の方が強く望んでのものらしい。
小野寺子爵家で野上糸に話を聞くと、「まったく・・・片岡さんといい、旦那様といい、どうして男の人って愛人なんか作りたがるのかなぁ。」と、口を滑らせた。
問い詰めると、倉庫の掃除中に、守衛宛の恋文が紐でくくられて長持の中に隠してあるのを見つけたそうだ。
相手は「とき」さんという人だという。
となると、一郎太がいう「兄」とは、守衛とときとの間の子供かも知れない。
その時期は、二葉亭四迷の「浮雲」が発表された直後らしい。
となれば、明治20年頃でおよそ30年ほど前のことになり、「兄」の年令像にも合致するのだ。
桔梗館では、踊り子と脚本家を立て続けに失った鏡が落ち込んでいた。
彼の話によると、『蜃気楼の一族』の台本には、モデルが居たらしい。
ただ、片岡が具体的に誰をモデルにしていたのかまでは知らない、という。
片岡の殺された部屋では、栗山刑事が検分を行っていた。
彼によると、片岡は呼吸器系に病を抱えていた為、煙草は一日二本と決めていた、という。
片岡は普段一箱20本入りの煙草を吸っており、遺留品となった煙草入れには12本の煙草が残っていた。
片岡の喫煙行動を知る人間が、まだ彼が小野寺子爵邸に居る間に煙草に毒を仕込んだ可能性が出てきた。
つまり、日向まき殺害当時子爵邸に居た人間全員が、片岡芳郎殺害の容疑者にもなるのだ。
すっかり捜査に行き詰った二人が日本館に行くと、河村須美子と出会う。
彼女は二人に気分転換をさせようと、ある暗号をパズル感覚で出題する。
暗号には
・C+○
・N×△
・◇÷Z
・□-V
と記されている。
須美子いわく、この四つの式はある日付について表しており、CやNは英語でなくただの図形らしい。
また、+や×は単純に数学記号と考えていいそうだ。
日付ということは、この暗号は0101から1231までの4桁の数字のうちどれかを表していることになる。
そのため、最初のC+○は0か1かのどちらかの数字を表していることになる。
同様に、◇÷Zは1か2か3のうちのいずれかだ。
ここでCと○には図中に折れ曲がりが一切存在しないが、その他Nや◇には折れ曲がりが存在することに注目する。
すると上記の4式は
・C+○=0+0=0 (折れ曲がり数がそれぞれ0の為)
・N×△=2×3=6 (Nの折れ曲がり数は2、三角の折れ曲がり数は3)
・◇÷Z=4÷2=2 (◇の折れ曲がり数は4、Zの折れ曲がり数は2)
・□-V=4-1=3 (□の折れ曲がり数は4、Vの折れ曲がり数は1)
となり、暗号は0623、つまり6月23日を表していることがわかる。
二人が見事暗号を解くと、この暗号は彼女が後輩と一緒に遊びで考え付いたもので、
今では浅草の演劇関係者間で広くブームになっていると須美子は教えてくれた。
殺された片岡も、この暗号遊びを大変気に入っていたという。
二人は、片岡の遺した台本に記されていた演出記号もこの暗号だったのではないか、と気づく。
御神楽少女探偵団その21へ続く

2020/4/24 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その19
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蜃気楼の一族篇で、踊り子の日向まきが殺された所からである。
■蜃気楼の一族 前編 捜査編1 続き
殺害現場にいくと諸星警部がいて、「現物」を見ることができた。
首を調べると、のけぞった姿勢の為にまきの細い首すじがむき出しになっている。見ると首すじを一周するように細い青あざが出来ていた。
彼女の服は、昨日の夕方、滋乃が見た時と同じである。
玄関先には伊庭がいて、掃除のために女中頭のシゲに部屋を追い出されたそうだ。
202号室でシゲと話すが、主人の許しがないと話せないというので、久御山多聞に頼み、主人の小野寺子爵に了解を得て貰った。
木原シゲは、外部の犯行の可能性は低いという。
その理由は、この別館の玄関は鍵が掛かるようになっているので、宿泊客以外の者の出入りはできないからだそうだ。
会議室では、本庄ともう一人の男が演劇について激論を交わしていた。
相手の男は丸木戸貞蔵という名前で、若い頃、サドの「悪徳の栄え」に感銘を受けて、そんな芸名にしたそうだ。
■捜査編2
現場の206号室では諸星警部が待っていて、「いや、何ていうか・・・いわゆる密室殺人って奴らしいんだよ。」 などという。
警部らが調べに来た時には、鍵がかけられていたそうなのだ。
ベッドの枕もとには、開かれたままの本が載っている。
その本は芝居の台本で、「蜃気楼の一族」という、太閤秀吉に関した台本である。
廊下では片岡と丸木戸が罵り合い、本庄がそれを止めている。
本庄晋太郎の部屋である201号室に行くと、あの二人は犬猿の仲で、以前からあんな調子だとのことだ。
ここに集まったメンバーは正佐道徳委員会のメンバーだど、委員会の方針で二人は対立しているそうである。
本状自身は、そのような問題はそれぞれが決めることなので、一律に決められるものではないと、考えているそうだ。
伊庭に聞くと、どちらかというと丸木戸よりかな、と言う。
そして更に、「鏡や片岡の言ってる事は間違っていないと思うが、丸木戸への嫉妬が混じっているような気がする」とも言う。
丸木戸の三角館に人気が集まっていることへの嫉妬かも知れないとのことだった。
206号室で諸星警部に、なぜいっかいの踊り子に過ぎない日向が、この屋敷に招かれたのかを聞いてみた。
それは片岡に、「一度華族のお屋敷という所に行ってみたい」と頼み込んで実現したそうだ。
「ま、片岡の奴も愛人からそうおねだりされちゃ、むげにも出来なかったんだろうさ。」などと、警部は言うのだった。
207号室で丸木戸貞蔵にも話を聞いてみた。
彼が寝酒を飲んでいると、隣では言い争いの声が聞こえ、その後ドサッとものが落下する音が続いたそうだ。
男の声は誰だかわからないが、女の声は間違いなく日向の声だったというのだ。
■捜査編3
翌日、諸星警部はこのまま宿泊客達を屋敷に留めておいてもしょうがない、ということで屋敷の出入りを自由にしたと言う。
中庭花壇にいくと、爽やかな感じの好青年がいる。
滋乃はあの時のことを思いだしたが、小声で「違う・・・」と呟いた。
彼は小野寺一郎太と名乗り、この小野寺家の長男だと告げた。
そして「糸」を見なかったかと聞く。
糸は巴達と同年配の女中だそうだ。
小道へ行ってみると、女中服の少女がいて炒り豆をかじっている。
彼女が野上糸で、日向まきについては、ずいぶんと派手なお化粧している人と思ったそうだ。
そして、「―昨日のお昼にここでさぼっていたら、奥様とあの踊り子さんがやってきて、何か話し始めた」とのことである。
別館の203号室で鏡進一と話したが、その件は全くわからないそうだ。
ただ、まきは「今度の芝居では喜久子様の役をやるんだ」などと言っていたそうだ。
これは淀君のことらしいが、淀君と小野寺夫人に関係などなさそうなのだが?
207号室では、丸木戸にも聞いてみたが、彼にもわからないらしい。
205号室の片岡芳郎は「帽子をまきの部屋に置き忘れていた」と言う。
しかしそれは、片岡とまきは部屋を交換したそうで、その際にクローゼットに置き忘れた、ということだそうだ。
部屋を変わったのは、まきの部屋からの眺めがよくないから、という理由からだそうだ。
もし、片岡の言うことが真実なら、犯人が狙っていたのは片岡、ということになるが?
201号室で木原シゲにその件を確認すると、それは本当だそうだ。
一同は一度事務所に戻り、事務所に入ると蘭丸ひとりでいる。
時人は時々何を言ってもまるで反応しなくなることがあるが、今回もソレらしい。
御神楽少女探偵団その20へ続く

2020/4/23 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その18
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ついに猟奇同盟の本拠地に乗り込んだのだが、ミニゲーム「迷路」でなにをすればよいのかがわからない、という所からである。
■猟奇同盟の本拠地
ここでようやくこのミニゲームの目的がわかった。
左上に赤い印が出ているので、チビキャラを操ってそこに到達すればよいらしい。
但し、チビキャラはこちらの思うようには進んでくれない。
数十回やり直してついにクリア。
面白くもないミニゲームはパスできるようにして欲しいものだ。
その後は牢屋2で伊達公夫発見、「甲」と書かれた鍵を手に入れ、配下の部屋2では「乙」の鍵を入手。
更に奥へ進んで、またミニゲーム「同時でポン!」となるが、これはあっさりクリア。
ここで巴の推理となり、
猟奇同盟の主宰は 美和だとすると矛盾がある
不自然な点は 蘭丸の部屋の鍵が壊されていた事
睡眠薬は お茶に入っていた
と選んで行く。
そして洞窟の最奥部、享楽の島という中枢へとたどり着いた。
しかしそこで、銃器で武装した猟奇同盟のメンバーに捕まり、部屋に監禁されてしまった。
■続猟奇同盟 解決篇
連れて行かれた所は、享楽の島だった。
そこは極彩色のスポットライトに照らされて、「剥製」となった少年少女たちが飾られていたのだ
先程の牢屋に入れられていた少年少女たちも、やがて剥製にされてしまうのだろう。
そして巴達にも同じ運命が待っている・・・
玉座には仮面をつけたこの猟奇同盟のリーダーがいる。
しかし巴にはその正体は既にわかっていた。
常盤省吾である。
そして、巴の剥製が楽しみだなどというのだが、それはプレイヤーの方も同じである。
その時早くかの時遅く、ゲーム作者から救いの手が差し伸べられる。
それは御神楽時人の姿となって現れたのである。
時人が重傷というのは、敵を欺くためのヘンタイ行為で、いかにもヘンタイオタクの時人らしい行為である。
こうして怒り狂った巴は、時人にお姫様だっこを強要して、事務所に戻った・・・
エルフ謹製 ご褒美グラフィック

■蜃気楼の一族
ある日滋乃は、父の久御山多聞子爵に呼び出された。
応接間に行くと、そこには「日本館」の館長、伊庭浩三が居た。
二人はこれから演劇関係者の集会に行くそうだ。。
その集会は浅草の劇場関係者が集まる集会で、そこに滋乃を一緒に来いということなのである。
滋乃は、二人と共に会合場所の小野寺子爵家へ向かった。
小野寺家は、これが始めてではない。
当時のことはほとんど忘れてしまったが、ひとつだけ想い出に残っているのは、中庭の花壇での出来事だ。
当時ままだ幼かった滋乃は、屋敷の中庭にあるバラ園で、棘を刺してしまった。
その時、一人の青年が滋乃を優しく手当てしてくれたのだが、その青年は滋乃の密かな初恋の相手となった・・・
小野寺邸のおちこちを散歩していると、伊庭の同業者である鏡進一、片岡芳郎、日向まき、本庄晋太郎などと出会い、伊庭から紹介された。
滋乃始め招待者は、小野寺邸の別館で宿泊することとなった。
ところがその夜、滋乃は父に突然起こされた。
「人が死んでいる」とのことで、滋乃が急いで別館の外に出ると、鋭い鉄柵に串刺しになった、日向まきの死体があった・・・
■蜃気楼の一族 前編 捜査編1
翌朝、巴・千鶴・滋乃は諸星警部らと捜査を開始することとなった。
時人は、相変わらず美和とのデートで忙しいとのことである。
日向まきの死因は鉄柵によるものではなく、絞殺とのことである。
死後に、二階の泊まっていた部屋の窓から投げ落とされ、その時に鉄柵に串刺しになったということらしい。
服装は昨日滋乃が会った時と同じで、誰かと会った際に、その人物に絞殺されたようだ。
御神楽少女探偵団その19へ続く

2020/4/22 | 投稿者: Hal
御神楽少女探偵団その17
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巴と諸星が調べたスクラップブックと、花柳が蓮花から預かった荷物とは、別物らしいという所からである。
■続猟奇同盟 捜査編2続き
早速、道具部で小谷内にも聞いてみた。
小谷内はあっさり白状した。
彼は蓮花をかばって、金庫の中にあった書類を隠していたのである。
その書類は、政治家などの名士が猟奇同盟の顧客であり、蓮花が猟奇同盟の一員であることを示すものだった。
こうして巴は、推理した。
蓮花が殺された際、楽屋が荒らされていたのは、犯人がこの書類を探したためである。
花柳と小谷内は、猟奇同盟のメンバーではないと言う。
二人が同盟のメンバーなら、すぐにこの書類を処分した筈だからである。
蓮花の死は、御神楽探偵事務所に目を付けられた時、猟奇同盟に派遣された監視役の篠原に殺されたのだ。
また、花柳が蓮花を尾行したのは、彼女の身を案じた小谷内の依頼によるものだった。
という推理である。
東京日報では増田と話して見た。
すると写真があるとのことで、
「なんか、マジックホールの建物とか、旭日斎蓮花のステージ写真とか・・・そういや変な仮装パーティーみたいな写真もあったかな。」と言う。
早速その仮装パーティーの写真を見せて貰うと、巴が声を上げた。
「この人私を誘拐した人だわ!」
その写真には、ハリソン邸の内部が写っていて、仮装した人物の中には巴に催眠術をかけた仮面の男の姿もあったのだ。
その写真は、ハリソン邸を監視していた志田が撮ったものらしい。
巴と諸橋はハリソン邸に駆けつけた。
鍵は警部が体当たりで破壊し、二階に上がった。
物置に入ると、どうやらここが志田が撮影した場所らしい。
しかし、写真には映っている日差しが入っていないのだ。
巴は「わかった!」と叫び、諸星と共に勝閧の渡しに駆けつけた。
船頭の相模陣兵衛に聞くと、「船から写真を撮っていた人間がいたが、新聞記者らしい」とのことだった。
渡し船に乗って確認すると、どうやら隠し部屋があるらしいのだ。
今すぐ踏み込もうと意気込む巴に、諸橋は待ったをかけた。
二人だけでは危険だから、本庁に連絡して応援を呼ぶ。
その間は待機していてくれとの言葉に、巴は不承不承頷いた。
しかし、待ちきれなくなった巴は、深夜只一人でハリソン邸に踏み込む・・・
■捜査編3
ところが、そこに滋乃と千鶴が現れた。
二人は諸星警部から連絡を受け、あの無鉄砲娘を一人で突入させたら、何がどうなるか危なくてしょうがないということで、同行することになった。
廊下に行くと隠し部屋があった。
隠し部屋には地下に降りる階段があり、その長い階段を下りると広大な洞窟となり、そこには地下施設が作られていた。
巴はここが私が囚われていたところだと言う。
そこには配下の部屋1から4があるが、4以外はゲームオーバーとなる。
4の部屋には仮面の男が一人でいるので、こやつを引っ捕らえて話を聞くことにした。
この男にはかせるためにはどうするか?
滋乃「こうするのよっ!」
滋乃は男の手をねじり上げる。
仮面の男「ぎえっ! 言います話します語ります!」
どうやらこれは、滋乃が男と接する時のいつものやり方らしい。
そして奥へ進むと、ミニゲーム「迷路」となるが、これがわからない。
わからないというのは、「なにをすればよいのかがわからない」という意味である。
御神楽少女探偵団その18へ続く
