高血圧症治療薬アルマールと糖尿病治療薬アマリールは名前が似ていて間違えやすいことはよく知られています。医師の処方間違いや薬剤師の調剤間違いが起こりやすいです。
この間違いが怖いのは、血圧が高い患者さんにアルマールを出そうとして、誤って糖尿病の薬アマリールを出してしまうことです。それは予期せぬ急激な低血糖が起こるからです。
そのような間違いが怖いということで、このたびアルマール錠を製造販売している大日本住友製薬がその名称の変更申請を出したそうです。
●PMDA:アルマールとアマリールの販売名類似による取り違え防止について
(大日本住友製薬株式会社)
http://www.info.pmda.go.jp/iyaku_info/file/kigyo_oshirase_201201_1.pdf
名前を変更すれば安心かというと、そうではありません。
ステロイド剤サクシゾンを出そうとして、筋弛緩剤サクシンを出してしまった事件を思い出します。
2008/11/20「サクシゾンとサクシンの間違い」
http://hello.ap.teacup.com/d-inf/1635.html
サクシゾンとサクシンが間違いやすいので、サクシゾンを採用中止したのですが、事件の半年前に赴任してきたばかりの当直医が、サクシゾンが採用されていなかったことを把握しておらず、電子カルテでサクシンをサクシゾンと思いこんでしまったために起きた間違いでした。
そのようなことが今回も起こりえる可能性があります。
つまり、アルマールの名称変更を知らない医師がアルマールを出そうと思い、アマリールを処方してしまうリスクは依然残るということは、頭の片隅に置いておくべきでしょう。
なお、アルマールの名称変更は昨年12月に申請をしていて、どのような名称になるかは公表されていません。
正直なところ、変更するのならもう少し早期にすべきだったのでは?
アルマールは後発医薬品も出ているので、このリスクを回避するのなら後発医薬品に変更すればいいんじゃないのかな?
と今更感がちょっとしたりもします。