インフル流行マップ、HPで公開 「前日の状況」一目で
asahi.com(朝日新聞社)2010年12月20日
地域ごとに前日のインフルエンザの流行が分かる地図が日本医師会(日医)のホームページ(HP)に登場した。日医が国立感染症研究所と共同開発した。感染研のこれまでの発表では、1週間から10日前の状況しかわからなかった。調査方法が違うので単純比較できないが、流行の傾向をより早くつかめると期待される。現在、参加医療機関は約660施設で試験運用だが、来年1月にも施設数を増やし本格稼働させる考えだ。
新しいシステムは、日医が病院・診療所から病名や検査、薬が記されたレセプト(診療報酬明細書)のデータを毎日自動的に集め、翌朝に全国約900の地域医師会ごとの状況を地図に表示する。赤は1地域で31件以上、黄色は10件以下などと流行の違いを色で示す。地図を拡大して詳しく見ることもできる。
日医の石川広己常任理事は「このスピードは画期的。大流行前に注意ができる」と話す。この仕組みはほかの病気に生かせるという。
各地域の流行を詳しく知るには全国で計3千〜4千施設必要だという。日医のHPのアドレスは、http://www.med.or.jp
感染研によると、最新の1週間(6〜12日)に全国約5千医療機関を受診したインフルエンザ患者は、全国で1医療機関当たり0.93人。流行開始の目安の1人に近づいている。
都道府県別では佐賀が4.87人で最多、北海道4.48人、長崎3.74人、埼玉1.93人、大分1.91人、沖縄1.45人と続いた。(杉本崇)
風邪薬飲んだら…半日後も眠る脳 東北大が初の実証実験
asahi.com(朝日新聞)2010年12月18日
市販の風邪薬や花粉症の薬などに入っている眠くなる成分(抗ヒスタミン薬)は、服用後12時間たっても脳の中から抜けきらず、強い眠気や判断力低下を招く状態だったという実験結果を東北大チームが発表した。経験的に知られる「薬の二日酔い」を世界で初めて実証したという。チームは「車の運転や受験を控えた夜の服用にはやはり注意が必要だ」と呼びかけている。
東北大医学系研究科の谷内一彦教授(機能薬理学)らの研究。抗ヒスタミン薬のうち眠くなるタイプと眠くならないタイプとを8人の被験者に飲んでもらい、12時間後の脳内の残存量を同大のPET(ポジトロン断層)装置で比較した。
この薬は本来はヒスタミンと結合する部分(受容体)をふさいで邪魔をする。服用直後は受容体の60〜80%が占拠され、眠くならないタイプは12時間たつと占拠率が15%に減った。しかし眠くなるタイプは50%も残っており、強い眠気と脳の機能障害が起きるレベルだった。(斎藤義浩)
インフル薬、妊婦に異常なし 産婦人科学会80万人調査
asahi.com(朝日新聞社)2010年12月11日
日本産科婦人科学会(日産婦)は11日、新型の豚インフルエンザに感染した妊婦に抗インフルエンザ薬を使っても問題はないと発表した。抗インフルエンザ薬のタミフルとリレンザを使った場合、お産と胎児にどんな影響があるかを分析する全国調査で、治療薬が原因とみられる異常はなかったという。日産婦は引き続き、インフルエンザに感染した妊婦は48時間以内に抗インフルエンザ薬を使うよう推奨していく。
日産婦は日本産婦人科医会の協力を得て、昨年5月以降に妊娠した妊婦約80万人を対象に調べた。治療薬の使用の詳細が分かっている162人のうち、とくに薬物などが胎児に影響を与えやすい妊娠4〜12週で治療薬を使った妊婦は30人いた。うち2人が妊娠6週目で流産、1人が妊娠36週で早産になったが発生頻度は通常の妊婦と同じだった。
アスピリンに「がん予防効果」
少量・長期服用→死亡率低下
1日に75ミリ・グラム程度のアスピリンを5年以上服用すると、がんで死亡する確率が大幅に低下する――。こんな研究結果が、7日付の英医学誌ランセット電子版に掲載された。
英オックスフォード大のチームが、循環器などに疾患がある患者約2万5500人を、最長20年間にわたり追跡調査したデータを解析。アスピリンを長期服用した人と服用しなかった人の、がんによる死亡率を比較した。その結果、アスピリンを5年以上服用した人の、がんによる死亡率は、服用しなかった人に比べて21%低かった。特に消化器系がんでの死亡率は54%も低く、アスピリンのがん予防効果は高いと結論づけた。服用量の75ミリ・グラムは、市販薬1錠に含まれるアスピリン約250ミリ・グラムに比べ少ない。
(2010年12月9日 読売新聞)
ファイザーとエーザイ、神経痛の情報サイト 治療法など紹介
ファイザー日本法人(東京・渋谷)とエーザイは神経の痛みに関する情報サイト「疼痛.jp」を開設した。痛みが気になる人に痛みの種類や原因を説明するほか、治療法も紹介。サイトを通じて神経痛への理解を深め、早めに医療機関を受診するなど適切な対応を取れるようにする。一般向けに神経の痛みをわかりやすく紹介するサイトは初めてという。
サイト内には7項目からなる問診票も用意。回答から神経障害による痛みの可能性を判定し、医療機関の受診を促す。神経の痛みを持つ患者の体験記も今後、公開する。両社は共同で6月から末梢(まっしょう)神経障害の痛みの治療薬を販売。神経痛の情報サイト開設を通じて同疾患の啓発にも役立てる。
[2010年12月3日/日経産業新聞]