新規アルツハイマー治療薬2品目の承認を了承―医薬品第一部会
新たなアルツハイマー型認知症治療薬2品目が年明けにも承認される見通しとなった。11月24日の厚生労働省の薬事・食品衛生審議会(薬食審)医薬品第一部会で、第一三共のメマリー錠(成分名=メマンチン)、ヤンセンファーマのレミニール錠・OD錠・内用液(ガランタミン)の承認が了承された。現在、国内に同治療薬はエーザイのアリセプトしかなく、承認されると選択肢が広がることになる。
メマリーは中等度、高度のアルツハイマー型認知症での認知症症状の進行抑制が効能・効果。世界68か国で承認されており、海外では標準的治療薬の一つとして位置付けられているという。同薬はアリセプトと異なる作用機序(NMDA受容体拮抗薬)を持つため、アリセプトとの併用が可能。年内にも開かれる薬食審薬事分科会で再度審議(審議品目)される。
一方、レミニールはアリセプトと同じ作用機序(アセチルコリンエステラーゼ阻害薬)を持ち、世界71か国で承認済み。メマリーと同様、海外では標準的治療薬として位置付けられているという。効能・効果は軽度、中等度のアルツハイマー型認知症での認知症症状の進行抑制。薬事分科会では報告扱い(報告品目)となる。
( 2010年11月24日 22:59 キャリアブレイン )
製薬協「グッドコミュニケーション10-11」で「未承認薬への取り組み」をアピール
日本製薬工業協会(製薬協、長谷川閑史会長)は、一般生活者とのよりよいコミュニケーションを図ることを目的に毎年実施している製薬協メッセージ「グッドコミュニケーション」の今年度のテーマを「未承認薬への取り組み〜みんなのチカラで、未承認薬を、一日も早く。〜」に決定し、11月18日からキャンペーン活動を開始した。
キャンペーン活動では、医療機関でのポスター掲示や各種メディアでの広告展開、ウェブサイトの開設などを通じて、▽未承認薬問題解消のため、製薬産業や医療関係者をはじめ国を挙げての取り組みが行われている▽問題の解決に向けた取り組みが患者の希望の光となっている▽新薬創出のためには、患者・医療関係者の協力が重要である―ことを訴求する。
キャンペーン用のポスターでは、「効果があって、必要とされている『いいお薬』を海の向こうから日本へ鳥が運んで来てくれたらいいな、という純粋な願いと希望」を表現している。
厚生労働省は未承認薬問題の解消に向け、医学会や患者会などから寄せられた開発要望を「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で精査した上で、順次、関係製薬企業に開発要請を行っている。企業側もこれに積極的に協力する姿勢を打ち出しており、製薬協では「グッドコミュニケーション 10-11」を通じて、「患者の希望の光となっている未承認薬への取り組みについて、共感を深めていただく機会としたい」としている。
長谷川会長は18日の定例記者会見で、「未承認薬・適応外薬問題の解消に真摯(しんし)に取り組むことで、製薬業界としての姿勢を結果として示すことが大事だと考えている」と述べた。
新設したサイトのURLはhttp://www.jpma.or.jp/event/campaign/campaign2010/
( 2010年11月19日 13:39 キャリアブレイン )
人工心臓、国産植え込み型承認へ 年内にも 在宅で移植待機可能
重症の心臓病患者の体内に植え込んで使える国産の補助人工心臓2機種が、年内にも製造販売を承認されることになった。
厚生労働省薬事・食品衛生審議会の部会が19日、承認することを了承した。従来、国内の補助人工心臓は医療機関で使う体外式しかなかった。植え込み型によって、患者は在宅で心臓移植の機会を待つことが可能になる。
承認されるのは、サンメディカル技術研究所(長野県諏訪市)の「エヴァハート」と、欧州では3年以上前に承認されているテルモ社(東京都渋谷区)の「デュラハート」。
植え込み型は、海外の2機種が承認されていたが、製造が中止されたり、日本人には大きすぎたりして、現在は国内販売されていない。国産の2機種は手のひらサイズで、女性や体の大きい子どもにも使える。
国内では脳死移植数が少なく、心臓移植を希望しても長期間待つ必要がある。2機種は、電源などの付属装置も持ち運びでき、待機期間の生活の質が向上すると期待される。
「補助人工心臓治療関連学会協議会」代表の許俊鋭・東京大学特任教授は、「患者にとってメリットは大きく、ようやく欧米並みに一歩近づいた」と話している。
(2010年11月20日 読売新聞)
欧米は小型の埋め込み型が主流だが、日本では大きな機器を体につなぐ体外設置型が使われ、入院を余儀なくされる。海外で使用されている医療機器が日本で使用できない「デバイス・ラグ」の典型例だった。
今回承認が認められた機種はサンメディカル技術研究所(長野)の「エバハート」とテルモ(東京)の「デュラハート」。厚労省の検討会で「早期導入の必要あり」と認定され、優先的に審査されていた。
「今使われている体外設置型は海外なら博物館に展示される“骨董(こっとう)品”。やっと世界レベルの機器が使える」。東大大学院医学系研究科重症心不全治療開発講座の許俊鋭(きょ・しゅんえい)特任教授は今回の認定に胸をなで下ろす。
国産の人工心臓2機種を年内に承認 デバイス・ラグ解消へ一歩 - MSN産経ニュース 2010.11.19
治験拠点病院活性化事業費、「効果が疑わしい」
政府の行政刷新会議(議長=管直人首相)のワーキンググループは11月 17日、治験の拠点となる医療機関を選定し、体制整備のための補助を行っている厚生労働省の「治験拠点病院活性化事業」の「再仕分け」を行った。今年4月の行政事業レビューでは「本事業の必要性、執行の観点からの評価としては、概ね妥当であるが、引き続き効率的な執行に努めること」と評価されていたものの、「再仕分け」では「効果が疑わしい」などの理由から、仕分け人14人の評価結果は「廃止」が6人で最も多く、「予算計上見送り」3人、「予算の縮減」 3人で、「要求通り」は2人にとどまった。
同事業費は、選定された拠点医療機関30施設に対し、治験や臨床研究に携わる人材の育成や確保、治験の手続きのIT化などの体制整備を補助するのが目的で今年度は約6億円が計上されている。来年度は拠点医療機関を20施設に減らし、要求額も約4億円に縮減。2012年度以降、同事業は廃止されることが決まっている。
同事業の論点に挙がったのは、▽補助金のほとんどを人件費に充てる例があり、一部の病院に一定の期間だけ人件費を補助しても恒久的な体制整備につながらないのではないか▽最終的な受益者となる製薬企業の経費の一部を国が肩代わりしているのではないか―など。
仕分け人は、同事業による臨床研究コーディネーター(CRC)の増加数が06年からの3年間で24人にとどまっていることや、拠点医療機関1施設当たりの補助額が小さいことなどを問題視。取りまとめ役の田村謙治衆院議員(民主党)は、「治験拠点病院の体制整備の重要性は共有しているが、事業自体の効果は大変疑わしいというのが共通する意見だった。また、製薬企業もより治験費用を負担できるのではないかという意見も共通していた」と述べる一方、来年度で事業が終了することから、「予算縮減の割合は特に明確にしない」と判定した。
( 2010年11月17日 21:45 キャリアブレイン )
薬事日報HEADLINE NEWS 2010年11月16日 (火)
【日米ドラッグラグ】09年度実績で2年に
医薬品医療機器総合機構(PMDA)の試算で、2009年度における日米間の新薬承認時期の差で見た「ドラッグ・ラグ」が、中央値で2・0年となったことが分かった。
ドラッグラグ解消に向けて政府と製薬業界は、07年4月に、官民対話の場で「革新的医薬品・医療機器創出のための5か年戦略」を取りまとめ、新薬上市までの期間を欧米並みまで、2・5年短縮する目標を掲げている。
PMDAによると、ベースラインとなる06年度の日米間ドラッグラグは2・4年で、申請時期の差(申請ラグ)、総審査期間の差(審査ラグ)に分けると、いずれも1・2年だった。
その後、申請ラグが07年度2・4年、08年度1・5年、09年度1・5年と拡大したため、審査ラグが07年度1・0年、08年度0・7年、09年度0・5年と順調に進行したものの、3年間で縮まったラグは0・4年にとどまった。
http://www.yakuji.co.jp/entry21191.html
冬の一番風呂、ご用心
急激な温度変化、脳出血の原因に…浴室暖め、足からかけ湯
入浴時の急激な温度変化が原因で脳出血などを引き起こす「ヒートショック」で、神戸市消防局に2009年に救急要請した人は619人に上り、3人に1人が救急車の到着時で死亡したり重症だったりしたことが分かった。
症状を訴えた人の8割は高齢者で、同消防局は通報が増える冬場を前に、浴室が暖まった状態で入浴する「二番湯」の利用などを呼び掛けている。
ヒートショックは、寒い浴室などから熱湯を張った浴槽に入り、血圧が急に下がった時に起きやすい。
入浴20〜30分後に意識がもうろうとして脳内出血を起こした男性(64)や、入浴直後に激しい頭痛と嘔吐(おうと)に襲われ、くも膜下出血になった女性(76)などのケースがあり、血管などの機能が衰えた高齢者の発症が多いとされる。
619人のうち、救急車到着時にすでに死亡していたのが95人、重症だったのは114人。また、77%の479人が65歳以上の高齢者で、半数以上の383人が冬場(1〜3、11〜12月)の要請だった。
ヒートショックによる救急要請の統計の発表を始めた07年は322人、08年は349人で、09年はほぼ倍に増えている。
同消防局によると、増加の原因は不明。ただし、気象庁のデータによると、09年の冬場の平均気温は平年値より高めで、冷え込みの厳しい時期でなくても油断は禁物といえそうだ。
では、どうすれば防げるか。
同消防局によると、〈1〉服を脱ぐ前に浴室内を暖め、湯船との温度差を小さくする〈2〉入浴前には足元から上半身に向かって順番にかけ湯をし、湯船の温度も39〜41度にとどめて長湯をしない――ことが基本だ。
特に高齢者は、家族と同居している人は、浴室が暖まった状態で入浴できる二番湯を利用し、一人暮らしの人は蛇口ではなく、蒸気の出るシャワーで湯を張ると良いという。同消防局は「ヒートショックと感じた場合はいち早く119番を」と訴える。(岡本久美子)
(2010年11月15日 読売新聞)
歩く力高いと要介護の危険性低下
美唄の高齢者調査、健診受診者も好結果
歩く能力の高い高齢者は要介護になりにくい――。国立長寿医療研究センター(愛知県)と北海道美唄市などの研究チームが、市内の75歳以上の高齢者190人(平均年齢80歳)を対象に実施した調査から、高齢者の歩行能力と要介護になる危険性との関連が浮かび上がった。
調査は2005年、06年に運動機能測定を行い、その後3年3か月にわたって追跡調査をした。その結果、調査の期間中に新たに要介護認定を受けたのは34人。5メートル歩くのにかかる時間で高齢者190人を速いグループと遅いグループに分類したところ、34人のうち9人が速いグループだった。遅いグループは25人で、要介護になる危険性は倍以上だった。
センターの牧迫飛雄馬研究員は「歩行能力が将来の要介護発生に影響を与える重要な要因の一つであることが確認された。歩行機能を維持する取り組みが重要だ」と話している。
また、市内の高齢者1106人を対象に、介護予防健診と要介護の関係を調べたところ、健診を受けた人は受けたことのない人より要介護になる可能性が低いこともわかった。
04〜08年に健診を受けた人の要介護発生率が1・4%だったのに対し、1回も受けたことのない人では4・2%と3倍に上った。市では「健診を受けることが健康な生活を送る第一歩になる。まずは受診して」と呼びかけている。
調査は、貯筋体操などこれまで取り組んできた介護予防事業の効果を検証するため、市が同センター、札幌医科大、東京都健康長寿医療センターに協力を依頼して行った。
(2010年11月12日 読売新聞)
ノートPCの上でスヤスヤ…危険 ほおに低温やけど
asahi.com(朝日新聞)2010年11月12日
電源の入ったノートパソコンの上に突っ伏して4〜5時間寝てしまった長野県内の男性が、右のほおに全治30日以上の低温やけどを負ったと、消費者庁が12日発表した。
同庁によると、この男性は今年7月5日夜から翌日朝にかけて自宅でパソコンを使用中、キーボード手前の手首を乗せる平らな部分に顔をつけて寝てしまったという。低温やけどは44度で3〜4時間、46度で30分〜1時間、50度では2〜3分で負うとされ、パソコンの取り扱い説明書には注意書きがあったという。
同庁には他にも、携帯電話やゆたんぽ、電気あんか、電気毛布、カイロなどでの事故が報告されている。
厚労省研究班調査 国際共同治験、「言葉の壁」が浮き彫りに
日刊薬業WEB 11月8日 12時15分
国立病院機構大阪医療センターの楠岡英雄院長は6日、東京都内で開かれた国際共同治験をテーマにしたセミナーで講演し、昨年度の厚生労働省研究班が行ったアンケート調査結果を報告した。国際共同治験の経験がある医療施設に、不便・不自由・困難と感じた項目について聞いたところ、1位が「英語の症例報告書の読解」、2位が「同報告書の記載」と「英語のクエリー(症例報告書の内容に対する問い合わせ)対応」だった。1〜5位すべてが英語にまつわる問題点で、「言葉の壁」が国際共同治験の実施に当たり大きな障壁であることが浮き彫りになった。