肺がん治療薬イレッサ、女性に高い効果 臨床試験で判明
asahi.com(朝日新聞社)2010年6月24日6時1分
肺がんの治療薬「イレッサ」を使った治療法が、特定のタイプの患者に対して、従来の抗がん剤治療に比べ大きく効果があることが、東北大など国内約50施設で行われた臨床試験でわかった。このタイプは日本人に多く、とくに女性患者に多い。遺伝子診断で対象者を事前に絞れるため、患者はより効果の高い治療を受けられるようになりそうだ。
イレッサは2002年に、世界に先駆けて日本で初めて承認された。アジア人、とくに喫煙との関連が低い女性の肺腺がん患者によく効くと指摘される一方で、承認直後は副作用の間質性肺炎による死亡者が相次ぎ、社会問題となっていた。
イレッサは、がんの増殖にかかわるEGFRと呼ばれる遺伝子に変異がある進行がん患者に効果があると考えられていた。研究班は、この遺伝子に変異がある進行性の肺がん患者230人を、最初からイレッサだけを使う患者と、従来の化学療法を受ける患者に分けた。腫瘍(しゅよう)が大きくならずに安定している期間を比べると、イレッサを使った患者は平均10.8カ月間、化学療法の患者は5.4カ月間で、大きく差が出た。生存期間はそれぞれ30.5カ月、23.6カ月だったが、患者数が少なく、統計的に有意な差は出なかった。
日本人の肺がん患者は、約3割にEGFR変異があり、50歳以下の女性に限ると半数以上にのぼる。ただ、日本肺癌(がん)学会が05年に作成した指針では、イレッサを治療の最初から使うことは推奨されておらず、現在改定を進めているところだ。研究班は「QOL(生活の質)の点からも、今後は進行性肺がんの第一選択薬となる」と指摘する。
イレッサは重い副作用で死亡することがあるため、その使い方が課題となってきた。今回の結果を受け、遺伝子診断を徹底して対象者を絞りこむことで、効率的に使えるようになる可能性がある。
24日付の米医学誌ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディシン電子版で論文を発表する。(岡崎明子)
第1類販売、説明なし20% 大衆薬、厚労省が覆面調査
2010年6月18日 提供:共同通信社
医師の処方が必要ない大衆薬(一般用医薬品)のうち、最も副作用リスクが高い第1類医薬品を販売する際に、客に対して全く説明をしていない薬局・薬店が20%あるなど、昨年6月施行の改正薬事法が守られていないケースがあるとの調査結果を、厚生労働省が18日、公表した。
改正法では、第1類と第2類の薬は原則として郵送などで買えなくなったが、一般客を装った調査員が電話やネットで業者に申し込むと、10件中6件で購入できた。
厚労省は「自治体や関係団体には改正法の定着に力を入れてほしい。郵送などで販売している業者には指導を行う」と話している。
1〜3月に全国の薬局やドラッグストアなど約4千店舗を覆面調査した。
大衆薬はリスクに応じて第1〜3類に分かれている。第1類を扱う店舗のうち2%では、購入者が直接手を触れることができる不適切な陳列をしていた。購入前に文書を使い詳しく説明したのは51%にとどまった。
説明をできるのは第1類は薬剤師だけ、第2、3類は薬剤師か登録販売者と分かれており、名札などで職種の違いを明らかにする必要があるが、誰も名札をつけていない店舗が28%あった。
第1類には胃酸の分泌を抑える胃薬など飲み合わせや持病に注意が必要なもの、第2類は大半の風邪薬や解熱鎮痛剤、第3類はビタミン剤などが含まれる。
未承認薬を使用可能に 約200の医療機関で 政府、20年までに指定 経済成長戦略に
2010年6月16日 提供:共同通信社
政府は15日、抗がん剤など欧米で承認されながら日本で未承認の医薬品や医療機器を国内で使えるようにする仕組みを導入する方針を固めた。特例的に使用できる「選定医療機関」を指定、2020年までに全国で200機関程度を想定している。費用は基本的に自己負担。併用した保険診療の保険適用は認める方向だ。
医療先進国を目指す政府が、近くまとめる経済成長戦略に盛り込む。新しい治療法を待望する患者にとっては朗報となるが、日本医師会などからは安全性や有効性が確認できていないとの反発が予想され、調整が難航する可能性がある。
他国で最初に発売された新薬や機器が自国で承認されるまで長い時間がかかる状況は「ドラッグ・ラグ」「デバイス・ラグ」と呼ばれる。日本は世界で飛び抜けて長いとされ、解消策が求められている。
政府案では「必要な患者に世界標準の医薬品・機器を迅速に提供し、難治療疾患患者の選択肢を拡大する」と強調。使用できる未承認薬・機器の範囲は今後検討するが(1)選定医療機関の裁量に任せる(2)医療機関の判断で使用し、事後確認制度を設ける-などの案が浮上している。
現在は「混合診療の原則禁止」として、公的な健康保険で認められていない自由診療を一つでも受けると、併用した保険診療分まで全額自己負担となるが、この例外扱いとする。一部は保険適用とすることも検討する。
ただ、混合診療が広がれば保険医療の対象が狭まり、受診できる人とできない人の医療格差につながるとの懸念もある。
成長戦略では、難病治療などで医療先進国を目指すとの基本方針を掲げ、ドラッグ・ラグの解消のほか(1)日本発の医療機器や医薬品の創出・製品化で7500億円の市場創出(2)再生医療の実用化で500億円の市場創出-を掲げる。
処方薬の使い回し、約6割が「ある」
薬局などで誰もが買える「市販薬」とは異なり、医師が患者一人ひとりの体質や症状に応じて処方する「処方薬」を、自己判断で、家族や友人の間で使い回したことがある人が全体の約6割に上ることが、病院検索サイトを運営する「QLife(キューライフ)」(本社=東京都世田谷区)と医療経営コンサルティングサービスなどを行う「ネグジット総研」(神戸市)の調べで分かった。 QLifeでは「同じ症状に見えても、アレルギーを持っていたり体重が違っていたり、処方された本人と体質が異なれば、副作用を引き起こす可能性が十分にある。リスクの啓発に努めていきたい」としている。
調査は今年5月、処方薬の家庭内での保存や個人間での譲渡の実態などを明らかにするため、インターネット上で実施。1年以内に医療機関を受診した20−60歳代の、子どものいる女性1000人から回答を得た。
それによると、現在使用していない余った処方薬が「ある」は84.5%、「ない」は14.7%、「分からない」は0.8%だった。
「ある」と答えた人に理由を聞いたところ(複数回答)、「時々、服用するのを忘れてしまった」が49.7%で最も多く、以下は「意図的に、途中で服用をやめた」32.7%、「多めに処方してもらった」30.3%などの順だった。
また、処方薬を家族や友人・知人間で使い回したことがあるかどうかを聞いたところ、「家族間で」は 49.3%、「友人・知人間で」は3.8%、「家族間と友人・知人間の両方で」は6.6%、「どちらもない」は40.3%だった。
「どちらもない」と答えた人以外に、家族や友人・知人間であげたりもらったりすることが多い処方薬を聞いたところ(同)、「痛み止め、解熱剤」が60.5%で最も多く、次いで「湿布剤」54.4%、「風邪薬」46.7%、「塗り薬」40.0%、「胃薬・整腸剤」37.4%などの順だった。
本人向けに処方されたものではない処方薬を使ったり、使わせたりすることについては、「とても怖い」が23.1%、「やや怖い」が44.0%、「あまり怖くない」 29.8%、「全く怖くない」3.1%だった。
( 2010年06月14日 18:13 キャリアブレイン )
【大塚製薬】MR活動に「iPad」‐7月から1300台導入
薬事日報ウェブサイト 2010年6月10日 (木)
大塚製薬は、7月から医療用医薬品の新たな情報提供ツールとして、多機能情報端末「iPad」を1300台導入する。MRの情報提供活動の質とスピードを向上させるのが狙い。
同社は、ソフトバンクグループと連携することで、通信環境の構築を進め、7月から「iPad」を随時導入する。初年度の導入費用は、端末や通信費などを含め、約2億3000万円。導入台数は1300台で、MR1070人のほか、学術担当やマーケティング担当にも配布する。
これまで同社のMRは、紙資料を用いた情報提供を行うと共に、ウェブサイトを通じてコンテンツを発信してきたが、今回、パソコンに比べて起動が早く、タッチパネル上で操作できる「iPad」を導入することで、多忙な医療関係者に対して、電子書籍や動画を使った対話型プレゼンテーションが行えるようになる。
さらに、ネットワークとの連動によって、MRは常にアップデートされた最新情報を携帯でき、「iPad」1台で自己学習が行えるメリットが生まれる。
今後、同社は、「iPad」を活用した情報提供が世界同時に行えるよう、グローバルでの活用を検討する方針だ。
屋根裏部屋で覚醒剤密造 イラン人2人逮捕 製造マニュアルも
MSN産経ニュース 2010.6.10 10:33
自宅の屋根裏部屋で覚醒(かくせい)剤を密造したとして、警視庁組織犯罪対策5課と町田署は、覚せい剤取締法違反(営利目的製造)の疑いで、イラン人の男2人を逮捕した。同課によると、覚醒剤製造による摘発は極めて珍しく、背後に密輸組織などの関与の有無や流通経路などを調べている。
同課によると、逮捕されたのは相模原市緑区大島、溶接工、アリ・バフィ・モハマド(46)と、同市中央区中央、飲食店経営、ガフレマーニー・フーシャング(39)の両容疑者。2人とも「知りません」と容疑を否認しているという。
逮捕容疑は、昨年7月30日から今年4月21日までの間、モハマド容疑者宅の屋根裏部屋で市販のかぜ薬などから覚醒剤の原料物質を抽出し、他の化学薬品を調合するなどして覚醒剤を製造したとしている。
同課などによると、製造現場からは製造マニュアルや器具などが押収されており、器具からは覚醒剤成分が検出されたという。
今年4月に別の事件で逮捕されたモハマド容疑者宅を警視庁が家宅捜索した際、大量のかぜ薬の箱や器具などが見つかったため、捜査を進めていた。
両容疑者は覚醒剤を所持していたとして、5月に同法違反(所持)容疑でも逮捕されていた。